⑳
「やっと帰れる」
げんなりとした声でつい本音が出てしまう僕。
海との通話から丸々2週間。
僕が所属しているパーティー[流星]は他国にある冒険ギルドからの緊急要請を受けた為ギルドに招集されそのまま他国に渡っていた。
緊急要請の内容は他国の街にモンスターが大群で押し寄せて来たというものだった。
その為援軍として即刻向かったのだが⋯
殲滅に1週間、事務的な事から戦場となった街道の後処理と帰国に1週間
計2週間を要した。
今回の緊急要請を終え僕たちは帰路に付いていた。
「で、なんでリーダー達は付いてきているのかな?皆の家はこっちではないと僕は記憶しているんだが」
そうなのだ僕以外のメンバー全員帰る家の方向が違うのにも関わらず同じ方向を向いて歩いているのだ。
海と僕の愛の家に向かっているかのように。
「本倉君のご飯を食べたくなったからに決まっているじゃない」
リーダーの華陽姉が何を今更といった風に言い切った。
「ぼ、く、と、か、いの家でご飯は僕たちのです!」
反論はしたが聞き入れてもらえそうにないとわかり諦めた。
それはそうとと僕は海への指南を頼んだ輝鈴姉に聞きたい事を聞いた。
「輝鈴姉、海に指南する気、無いよね。
海に教えた内容からすると輝鈴姉は海に刀の才能が無いと感じた」
「無いさ。彼は刀の才能どころか戦闘の才能が無い。あっても一般人と変わらない」
輝鈴姉の辛辣としか言えない言葉を聞き僕はたまらず笑ってしまった。
皆から訝し気な目で見られながら僕は自分の予想というより確信に近い気持ちを口にした。
「すまない、驚かした。確かに海は一般人と変わらない。
でも、確信に近い予想だけど海は一般人じゃない」
言い終わると8人でご飯を食べた和式の屋敷に着いた。
海から輝鈴姉から指南を受けた部屋に居るとメールが来ていたので一旦皆でその部屋に向かった。
メールにあった部屋に辿りつき「海ーただいま~」と言いながらこの部屋と廊下を遮る木製の引き戸を開けた。
パン!
「雷ちゃん…なんで僕の海を殴ろうと・・・いや、殺そうとしているの?」
僕の手に掴まれている雷ちゃんの拳は今もなおを海を殺そうとしている。
ドン!!
海が後ろに倒れこみ尻もちを着いたようだ。
「刻ちゃんが何を考えているかは知らないけど2週間前僕たちが会った本倉くんはそいつみたいなおぞましい気配はしていなかった!」
雷ちゃん以外の皆も自分の仕事道具を手にし臨戦態勢に変わっていた。
「おぞまい?誰がおぞましの?もし海の事なら皆だとしても容赦なく・・・・・・ 殺すぞ 」
皆がSランク冒険者とはいえ僕の混じりっ気のない感情に顔を歪ませ後ろに一歩、足を引いていた。
そしてまじかにいた雷ちゃんは顔を青くし、海を殺そうとしていた拳を引きみんなのところへと飛んだ。
ドサ
睨み合う僕たちを他所に海は気絶してしまった。




