⑮
「ただいまー」と玄関の扉を開けて帰りを知らせた。
「あ、おかえり。海」と俺を迎える声がリビンから聞こえてきた。
手洗いうがいをしリビングに行くと俺の長袖カッターシャツを顔を埋める刻星がいた。
「一様聞くぞ刻星。何故俺の長袖カッターシャツに顔を埋めている。それに何かものすごく荒い鼻息か息遣いが聞こえるのだが?」
少しイラッとしながら刻星に理由を聞いたところ⋯
「そんなの一つさ。海を感じるためにこうしているんだ!洗濯しているとはいえ海が着たのだから僕が嗅ぐのは普通なんだ」
開き直るよりこの行為自体正しいと当たり前とのたまう変態吸血鬼の頭に問答無用で拳骨を落とした。
刻星は自分の頭が少し腫れているところに手を当て痛がるというなんだか抜けている事をしている間、俺は晩飯をこしらえていた。
今日のメニューは
鮭のムニエル
ロールキャベツシ
白米
という感じになっている。
ロールキャベツは一般的なロールキャベツの2倍程の大きさに作っている。
2人して「「いただいきます」」と言ってから食事をしだした。
これは余談だ。
刻星が俺のことを主様から海と呼び方を変えたのは、俺が主様呼びを嫌い刻星も魔人種として認められたからだ。俺から下の名前を呼び捨てにしてくれと言ったのがきっかけだった。
のだがそれからやたらと変態吸血鬼を垣間見せるようになった。
「海、聞きたいことがあるんだけど良いかい?」
鮭の身を箸でほぐし口に運んでいたら刻星が話しかけてきた。
「答えれることであるなら教えるぞ」
口の中のものがなくなってから答えたので少し答えるのに時間が経ったが刻星も俺も何も気にせず話を続けた。
「進路とかどうするの?
海なら何処に行っても大丈夫だと思うよ。
でも、海のスキルでなら冒険者として食べていけるとも思う。
もちろん海がニート生活をしたいなら僕が養う。
その代わりに、グフフフ〜」
刻星も俺の進路について心配してくれていると思った矢先のこの変態吸血鬼ップリにはもお怒りより呆れが増し始めた。
「お前な―、外では鬼公子と言われるくらいのかっこよさなら家でも変態吸血鬼より鬼公子のかっこよさもう少し出せよ」
世の中の鬼公子ファンがこの場面見たら泣くだけで済まなそうだと思い苦言をいうが…
「家だからありのままの僕で居られるんじゃないか。
それに海が知っているだけで良いんだ。」
机に肘をつき手を顎に添えて言われた言葉に
(これだからあまり強く言えなんだよ)
と照れてしまう俺だった。




