俺だけにしろ! (3)
宿に戻ると、盗賊三人をノックアウトしたご褒美が欲しいと、レオンがエイムにお尻を振ってねだってくるので、後ろからたっぷりとご褒美をあげると、その様子を見ていたリアもたまらずおねだりしてきて、余韻に浸って横たわるレオンの目の前で、レオンと同じようにおねだりしたら、ご褒美をやると言うと、恥ずかしがりながらお尻を向けてきたので、約束した通りレオンと同じように後ろからご褒美をあげた。
「だ、だんにゃしゃま、しゅ、しゅごいぃぃぃ……」
壁の薄い宿の部屋だというのに、我慢しきれずに声をあげようとするので、レオンにキスでリアの口を封じさせ、罰にお尻をはたいてやると、あっという間にビクビクと痙攣し始めた。
溢れ出すほどのご褒美をもらって熱くなった身体をレオンとリアが、絡め合わせるように抱き合いながら余韻を反芻している様子を、エイムが椅子に座って眺めていると、風呂から上がってナディが戻ってきた。二人の姉の様子を見て何があったかをすぐに察知したナディは、その表情を艶めかせた。
「ふふっ、お姉ちゃん二人にご褒美あげたんだ……頑張ったね、お兄ちゃん♡今度はナディがご褒美にお掃除してあげる♡」
ナディの日に日に巧みになるお掃除で、すぐに活力を取り戻したエイムにお尻を向けて、レオンとリアに魅せつけるようにナディから跨がってきた。しかし、ナディも自分の中で感じるエイムの熱さと、レオンとリアの視線を感じながら、すぐにビクビクし始めて、必死に声が漏れないように、両手で自分の口を塞いでいたナディをベッドに横たわらせてから、その口をキスで塞いで、そのままお風呂でキレイにしてきた壺の中に、残り全部のご褒美をたっぷりと注ぎ込んだ。
そこでエイムも力尽きて、ナディを抱きしめたまま眠りに落ちてしまった。
そんな濃密な一夜ですっきり出し切ってしまったおかげで、朝一番には起きられず、朝食を済ませてから昼前に西のギルドを訪れたエイムたちを、お待ちしておりましたとばかりに職員に案内された応接室で、シィルの机の前に立ったときには、エイムの怒りはすっかり峠を越えてしまっていた。
「はめたな?」
「いきなり、人聞きの悪いことを言うね?」
それでも、なんとか精一杯怒りを目に湛えたエイムの、その目を真正面から受け止めても、このシィルという女はまったく動じない。そこに格の違いというものをエイムは感じさせられて、次に攻め入る言葉が浮かんでこなかった。
「あの屋敷にこそ泥が入ったところまでは聞いてる。今、検分に向かわせてるが、折角だから詳しく聞かせてくれないかい?」
この時、シィルが笑みの一つでも浮かべていたら、エイムの怒りも再点火できたと思うのだが、そんなミスをこの女がするはずもない。
「一回、座って落ち着きなよ。エイム。」
レオンにそう諭されても、エイムはシィルの前から離れようとしない。
「いいか?試すのは俺だけにしろ!俺の嫁たちを巻き込むな!」
エイムは今ある残り精一杯の怒りを込めて、机に拳を叩きつけ、シィルを睨みつけ、目を離さなかった。
「エイム……」
「お兄ちゃん……」
「旦那様……」
やっとエイムの怒り元になっている理由を理解し、レオンたちは誰もエイムを止めようとは思わなくなった。
「なんだい。怒ってるのはそこかい?」
そう言ったシィルは、エイムから一度目を離して、ささやかな幸福感で頬を染めるレオンたちの表情を見てから、エイムに視線を戻してからこう言った。
「あんた、いいオトコなんだね。世の中には、女一人、幸せにできない男もいるって言うのに、こんな別嬪三人も……」
その突拍子もない一言で、エイムの方が面食らってしまった。
「ギルド長としてではなく一人の女として、今回の件は謝罪する。正直、あの屋敷に何者かが不法侵入しているかも……とは聞いてたんだけどね。実害もなかったし、まさかあそこで徒党を組んでアジトにしているとは知らなかった。」
そう謝罪しても、まだ目を離さないエイムに、さらにシィルは続けた。
「詫びとして、あの屋敷はまず一ヶ月、無償で貸そう。それで宿代だけでも浮くだろう。もちろん今回の件は、あんたたちの実力を測るためのクエストの一つとしてカウントさせてもらうし、査定させてもらって相応の依頼料も支払おう。あと一件、引き受けてくれるかじっくり一ヶ月、あんたの大事な嫁たちと一緒に返事を考えてくれればいい。」
「その案件、今度は中身をちゃんと教えてくれるんだろうな?」
「もちろんだ。依頼はゴブリン退治だ。今、うちで握っている情報は全て開示する。」
そこまでの譲歩を引き出したことで、エイムは納得はしなかったが一度引いて、空いていたナディの横に腰を下ろした。
「お嬢さんたちにも、依頼料とは別に、私のポケットマネーの範囲で謝礼を出そう。何か欲しいものをあるかい?」
やっと腰を下ろしたエイムと入れ替わるように、その言葉を聞いて三人が同時に立ち上がって、シィルの前に争うように駆け寄った。
『特大ベッド!』
その要求に今回も多少、虚を突かれたようだが、すぐに笑みを浮かべたシィルは、頭を抱えていたエイムにこう声をかけた。
「おやおや。女を三人も幸せにするのも、楽じゃないんだねぇ……」
エイムに向けたシィルの表情に初めて笑みが浮かんだ。しかし、それは明らかに好奇に満ちたニヤニヤしたもので、エイムの怒りに火をつけるものとはまったく違っていた。




