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魔装変身 レビルオン  作者: 川端 大夢


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一軒家紹介して! (3)

 シィルの話によると、もともとストーリア公爵時代、まだ地方の一宿場町だったハーゲンに派遣されていた文官のために建られた仕事場兼住居……というには絢爛豪華な豪邸だったらしいのだが、それをキリル建国時に公爵家から分家したパフス伯爵家が譲り受けたはしたものの、維持管理に費用がかさむために改築のたびに減築を繰り返して、今の姿になったという話なのだが、それでもエイムたちの実家とは比べるべくもない、十二分に豪華な屋敷だった。

 そんな経緯もありつつ、場所も街の北西部で、旧市街地より東へ東へと新市街地が発展しだしたこともあって立地的な利便性も次第に下がり、ついには伯爵家に仕える者にも、住む者はいなくなってしまった。一般に売りに出しても、早々売れる価格の物件でもなく、ついには相談があって、ギルドで預かることになったのが十年前だそうである。

 ギルドも最初のうちこそ、催事場に使ったり、その際の宿泊先などとして使っていたそうだが、その頻度も次第に減り、ついには知る人ぞ知るだけの存在になって今に至っているらしい。


「ほんとにすごいですね。もともと貴族が建てたと言うだけあって、何頭も入れる立派な厩までありますし、建物がどんどん小さくなった代わりに庭も広い。まわりもいい感じでしなびて閑静ですし。こんな邸宅を当面の間とは言え、ただで貸してくれるなんて……」


 リアが最後に言葉を濁したように、どうも話がうますぎる。エイムはそう感じていた。


「お兄ちゃん、早く!早く入ってみようよ!」


 リアと話しながら、エイムが考え込み始めている間に、ナディとレオンは、あっという間に門をくぐって、玄関先まで歩を進めていた。


「あいつら、まったく警戒してないのか?」


「ふふ、そうかもしれませんが、半分は何があっても、きっと旦那様が何とかしてくれるという安心感があるのですよ。私もそうですし。」


 そう言ったリアに目を向けると、リアは緊張も見せずに微笑んでいて、それはそれで悪い気がしないのが半分、三人の嫁を守らなければならない責任半分で、やはりエイムは完全に気を抜くことなどできずに、やれやれという気分になって、頭を掻いた。


 そんなエイムが到着するのを待つことなく、ギルドから預かった鍵で両開き戸になっている玄関扉を開けて、ナディが、そして、それを追いかけるようにレオンも入って行った。


「ひろーい!」


 その小綺麗に見えた建物の外観に似つかわしくない古めかしい音を立てる扉が閉まりきる前に、何とか玄関口にたどり着いたエイムは、ナディの感嘆の声が響き渡る館内に先にリアを中に入れてから、自分も中に入って見渡した。確かに広い。というか広すぎる。

 入るとすぐ吹き抜けのホールになっていて、その左右には二階への階段があった。エイムの基準からすると、まっすぐの階段ではなく、途中に踊り場のある階段があるというだけでも、高級な住居の証しで、しかも、それが左右に一つづつとなると十分に豪華な邸宅であると断言できた。


「エイム!二階にもいっぱい部屋があるよ!」


「お兄ちゃん!こっちもすごいよ!」


 二階からはレオンの声が、一階の奥の方からナディの声もする。まだここに住むと決めたわけではないのに、明らかにはしゃぎすぎだ。


「私はレオン様と一緒に二階を見て回りますので、旦那様はナディ様の方へ行ってあげてくださいませ。」


 そう言って、そそくさと二階へ上がっていったリアも興奮を隠しきれてない様子だった。


「リア!ユダを出しておいてくれないか?」


 エイムの要望を聞いて、リアは一度、踊り場で立ち止まって、そこでユダを解放した。


「ユダ、ナディと一緒にまず一階から探索だ。簡単なものでいいから、この屋敷の見取り図を作って欲しい。ついてきてくれ!」


 ナディの声がした一階の奥の方には、玄関と同じくらいのサイズの、これも両開きの扉があって、その向こうには長大なテーブルと、数十脚の椅子が並ぶ食堂で、そこにすでにナディの姿はなかった。


「お兄ちゃん、こっちこっち!」


 その食堂の左手には、また大きめの両開きの扉があって、開きっぱなしになっていた。その奥から聞こえるナディの声を追っていくと、そこは厨房になっていた。


「薪オーブンまであるよ!すごーい!」


 なるほど催事にこの館を使っていたことが納得できる、ちょっとした宿屋並みの広さと装備の厨房だった。

 そこにはテーブルと椅子もあり、おそらく厨房で働く者達が食事や休憩に使うためのものと思われたが、エイムたち夫婦四人が食事するならここだけで十分過ぎる広さだった。

 間口の広い立派な勝手口まであって、掃除など普段はこちらの扉を使うのだろう。軽快に開くその扉を開けると、目の前には厩があって、馬車を引いて止めて置くための十分なスペースと水場まである。


「こっち来てよ!お兄ちゃん!地下室まであるよ!」


 もうずいぶん奥まで探索を進めていたナディに呼ばれて、側まで行ってみると、そこの床には開閉できる扉があった。

 開けてみると、はしごがあって、中はかなり広そうだった。

 しかし、その地下室に降りていく前に、エイムとナディを目を合わせた。


「お兄ちゃん、これって……」

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