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魔装変身 レビルオン  作者: 川端 大夢


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アンナ出陣 (5)

 そうして、村に帰って、そのままアンナ司教に随行し、依頼者である村長へ討伐完了の報告すると、ささやかなお礼として、昼食に招待された。


「女性陣が大活躍だったとお聞きしましたぞ。本当にありがとうございました。」


 村の代表者数人と、アンナ司教とそのお付きの女性助祭、そして、エイム一行で催されたその昼食会で、ナディたちにも村長から感謝の言葉があった。

 ナディとリアは照れたように下を向いて、レオンは照れ笑いのような表情を浮かべたが、それが愛想笑いであることは、エイムにはちゃんと分かっていた。


「すみません。薬が効きすぎたでしょうか?」


 昼食会も終わって、そそくさとナディたち三人が部屋に戻ったあと、アンナ司教はエイムにそう謝罪した。


「謝らないでください。ほんとに。俺、あんなふうに怒れないですから。でもそうしないと、あいつらの事、いつか本当に危険にさらしてしまう。それは絶対にイヤなんです。」


 その言葉を聞いて、アンナ司教は安心したような笑みを浮かべた。


「エイムさんは本当に奥様方を愛してらっしゃるのね。女性として、彼女たちがうらやましいですわ。」


 そう言われるともうエイムは照れることしかできず頭を掻いた。


「ちゃんと俺からも言って聞かせますんで、どうかハーゲンに着いたら、あいつらのこと、褒めてやってください。」


「それはもうもちろん。」


 その返事を聞いて、ようやくエイムもアンナ司教と笑顔で会話することができた。




 しかし、自分たちに用意された宿の部屋の前まで来て、エイムは再び躊躇した。

 さて、どんな顔をして、部屋に入ったものか。しばし、考えを巡らせて、結局、なにも思い浮かばず、できるだけ神妙な表情を作ってドアを開けると、うつむき加減でテーブルを囲って座っていたナディたちが、言葉も交わさず、雰囲気だけで反省会の様相を醸し出していた。

 この空気に、どう切り込んでいいか分からず、ひとまずエイムは空いている席に腰を下ろした。


「落ち込みすぎだぞ、お前ら。よくやったよ。誰にも怪我はなかったし、依頼は結果として完遂できたわけだから……正直、レオンの技も、リアの魔道具もびっくりするぐらいの威力だったじゃないか?」


 言葉を選びながらエイムがそう言うと、三人は一斉にエイムの方を向いた。と言うか、睨まれた。


「そうじゃないの!」


「旦那様、私たちは確かにアンナ司教様に叱責を受けたことには真摯に反省しております。」


「それならそれで、もうそろそろ気持ちを切り替えてだな……」

 

「僕たちは!エイムに謝らせてしまったことが悔しいの!!」


 エイムが言い切る前にレオンに一喝されてしまった。


「そんなこと、気にしなくても……」


「そんなことじゃない!私たち、大事な夫に恥かかせたんだよ!」


 今度はナディに一喝されてしまった。


「あれはお前らの旦那として謝ったんではなくてだな、パーティのリーダーとして……」


「そうだとしても、それが私たちにとって悔しいのです。私たちはパーティーのメンバーとして、旦那様の足手まといだと言われたようなものですから。」


「あのな、俺は決してお前たちを足手まといだなんて……ただ俺はお前たちに怪我はさせたくなくてだな……」


 バン!

 レオンがテーブルを叩いた音が響き渡った。


「僕は!エイムが僕たちのことを大事だと思ってくれて、守っていてくれることは嬉しい。けど、それだけじゃいやなんだ!冒険者になった以上、僕はエイムと並んで戦いたい!エイムにも頼ってもらえるくらい僕も強くなりたいんだ!」


「私は、やっと自分が扱える武器も手に入れて、やっとレオン様や旦那様のお役に立てると思っていたのに、調子に乗ってしまって……」


「私なんか、ただ怒られただけだもの、お兄ちゃんに恥かかせただけだもの。」


「お前ら……」


 ようやくナディたちが沈んでいる理由がエイムにも理解できてきた。怒られたこともそうだが、それで自覚させられた自分のふがいなさが許せないのだ。


「だったら明日からそれを態度で示してくれればいいじゃないか?」


「だめ!お兄ちゃん、優しすぎ!お兄ちゃんが、私たちをちゃんと叱って!お兄ちゃんにちゃんと謝らないと、私たち気が済まないの!」


 そう言ったナディが席から立ち上がって、エイムの前まで来てそう言い放った。もはやエイムの方が叱られている気分になってきていた。

 それに叱られたことは覚えきれないほどあっても、叱ったことは、ましてやナディにそれをしたことなど記憶にないエイムは、ナディを前に躊躇するしかなかった。


「だ、だめだぞ!戦場にいるときに抱きついてきたりしたら。」


 ナディに対してせいぜい振り絞って、これがエイムの限界だった。

 そんなエイムにこらえきれずにナディが笑い出した。


「もう、お兄ちゃん。私を甘やかしすぎ!」


 そう言うとナディは椅子に座るエイムの膝の上に座って、抱きついてきた。


「おいこら!怒られたいんだったら、もっと真面目に怒られろ!」


「だって、お兄ちゃん、優しすぎるもの。だ・か・ら……ナディがこれから肉体謝罪します♡」


「はあ?!」

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