本当の気持ち (4)
それ以上の言葉は、レオンがいくら口をパクパクさせても音にならず、どんどん顔を赤くして、そして、やっと次に出た言葉がこれだった。
「あ、あの、僕、女の子だよ?一応……」
「だめですか?強くて美しくて、何より優しくて、私の心を救ってくれた……性別なんて関係ありません!私、わたしはレオン様のことを……」
もうリアは止まらなくなってしまっていた。
エイムが自分の口を塞いだままにしているナディを見ると、さすがのナディもこの展開には驚きを隠せないのか、きょとんとしていた。
レオンに至ってはもう完全に固まったままになっている。
「私のことを愛してくださいとは言えません。レオン様は誰よりエイム様のことを愛していらっしゃる。それは分かっています。だからこの気持ちも一生しまっておこうと……でも、それが、ずっと……ずっと……」
ナディがエイムの口を塞いでいた手をそっと退けた。そして、ゆっくりレオンに近づいて、肩に手を置いた。
「お姉ちゃん、応えてあげなよ。リアさんの気持ちに。大事なんでしょ。リアさんのことも。」
ナディに促されて、レオンは座っていた椅子から一度、立ち上がってリアの前にひざまずいた。
「あの……あのね、リア。僕はエイムのことが一番好きで、それは変えられなくて……だからね。どうしていいか分からないけど……でも僕のことを好きだって言ってくれるのは、すごく、すごく嬉しい。」
いつの間にか涙が止まらなくなっていたリアがレオンに抱きついた。そんなリアをレオンも強く抱きしめた。ひとしきり抱き合ってから、そっと身体を放して二人は見つめ合った。
「ごめんなさい、困らせてしまって……レオン様、こんな私が、その……ずっとお側にいさせていただいてよろしいのですか?」
そんなリアをひとしきり見つめてから、レオンはリアを抱きしめると、その身体は震えていた。そんなリアにレオンはキスをした。強く強く、リアの涙が止まって、身体の震えが止まって、レオンに預けるようになるまで、長く長く。強く強く。
「れ、レオン様。」
「そうだよね、女の子同士だからって関係ないよね。僕もずっとそリアに側にいてほしいもん。離れたくないもん。これって、リアのことが好きだってことだよね。」
そう言って、意を決したようにリアの手を取ってレオンは立ち上がった。そして、レオンに引かれて立ち上がったリアの手を引いてエイムの前まで来た。
「僕はエイムのことが好き。でも同じくらいリアのことも好き。だからエイムも、リアを愛してあげて、お願い。」
『え?!』
驚きの声を重ねたのはエイムとリアだった。
「リアはエイムのこと嫌い?」
「そんな!嫌いなはずありません!命助けてもらってからもずっと面倒を見てもらって、このご恩は一生かかっても返したいと思ってます。」
「エイムは?」
「嫌いなはずないだろ。でなきゃ、助けもしないし面倒も見ないよ。」
「あぁ!もう!二人とも、お姉ちゃんが言ってるのはそういうことじゃないの!」
今度はナディに我慢の限界が来たようだった。
「好きのなの?嫌いなの?はっきりしなさい!お兄ちゃん!」
「あ、あのなぁ。俺にはナディも、レオンもいてだな……」
「それはいいから!リアさんのことはどうなの!」
「好きだよ!側にいてくれるってんなら、ずっと守ってやりたいと思ってるよ!」
その言葉を聞いたリアは、手で顔を隠してずっと涙を流していた。そんなリアをレオンは後ろからそっと抱きしめた。
「やっと僕にもリアの本当の気持ちが分かったよ。僕と同じくらい、エイムのことを好きだからつらかったんだよね。次はリアの番だよ。僕たちのことはいいから、リアの素直な気持ち教えて。」
顔を隠していた手を退けて、リアはレオンと見つめ合った。それから、エイムの方を見たリアから、そっとレオンは身体を放した。
「あの、エイム様。私、ずっとレオン様やナディ様がうらやましかったんです。こんなに優しいエイム様に、一生懸命、愛してもらえるレオン様とナディ様が。でも、レオン様に、エイム様にもナディ様にも嫌われたくなくて……ずっと気持ちが……だからその……」
エイムはぎゅっとリアを抱きしめた。
「え、エイム様。」
リアのこわばった身体を放さずに、そのままエイムはキスをした。さらに一度、リアの身体がこわばったが、唇を合わせたままでいるとだんだんと力が抜けていくのがエイムには分かった。
「リア、愛してる。」
すでに赤くしていたリアの目からまた涙がこぼれ落ちてきた。
「あぁ、私もずっとお慕いしておりました。これからもずっと側にいさせてください。」
レオンが後ろから抱きしめるとリアの身体はまた震えていた。
「れ、レオン様。」
「幸せなんだね。リア。」
「はい……はい。今までで生きてきて一番。一番、今が幸せです。」
「じゃあ決まりだ。これでリアさんも、お兄ちゃんのお嫁さん。ただ一つ条件があるの。」
そう言ってナディも笑顔で近づいてきた。
「私のことも愛してほしいな。」
リアはひざまずいて、ナディと視線を合わせた。
「ナディ様……もちろんです。私、一人っ子でしたので、ナディ様のようなかわいい妹がずっと欲しかったんです。」
「ふふ。うれしいな。私、お姉ちゃんが二人になるんだ。」
「はい……はい。私、わたし……」
今の悦びの言葉を探しきれずにいるリアに、今度はナディがキスをした。
「リアさん、私もリアさんが大好き。家族になろう。今までも十分に幸せだったけど、これから四人でもっと幸せになろう。」
そう言ってからもう一度、ナディはリアに、今度は長く熱いキスをした。
その後、すっかり力が抜けて、床にしゃがみ込んでいたリアをエイムが抱え上げた。




