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魔装変身 レビルオン  作者: 川端 大夢


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本当の気持ち (2)

 エイムが教会に戻って少しすると、アンナ司教も今日の予定を終えて戻ってきたので、そうそうに晩餐となった。


「ナディさん、素晴らしいです。鮮明にマイアさんの料理を思い出します。ほんとに懐かしくて、美味しいです。」


 最初のスープに口をつけた時点で、アンナ司教から早くも合格点が出た。


「あなたたちは冒険者として旅してらっしゃるのに、いつもこんなおいしいものを食べているの?うらやましいですわ。」


「さすがに野営の時とかは、もっと簡素なものになりますけどね。どうぞ、こちらメインの鶏肉のソテーです。パンはさすがに買ってきましたけど。」


 そう謙遜するナディが用意した料理は結構なボリュームに見えたが、それをナディやレオンのここに至るまでの話を楽しく聞きながら、何一つ残さず、皿を洗う必要がなくなるほどきれいにソースまで、アンナ司教は食べ尽くしていた。

 司教と呼ばれる地位を得ている以上、ある程度の年齢のはずなのに、このスタイルにこの美貌。さらに食べっぷりを見せつけられて、エイムはミネルバと重ね合わせずにはいられなかった。


「料理上手でかわいいナディさんに、優しくまっすぐなレオンさん。こんな二人を妻にするなんて、エイムさんは本当に果報者ですね。」


 少し褒められすぎのような気もするエイムだったが、当然、悪い気はしなかった。


「本当に美味しかったです。毎日、こんな料理を食べられるあなた方は本当に、もっとナディさんに感謝すべきですよ。そうだ。もし、エレーニアに来ることがあれば、是非、ピレスノアにもいらっしゃい。歓迎するわ。そして、ピレスノアの豊かな食材で、ナディさんに腕を奮っていただきたいですわ。」


 その言葉にエイムはひらめいた。それを躊躇せずにそのまま口にした。


「それ、方便でなければ、俺たちをピレスノアまで連れて行ってもらうことはできませんか?もちろんただでとは言いません。司教様の帰路の護衛をさせていただきます。」


 いきなりそう切り出した。


「エイム、なに?いきなり。」


「マルタに戻っても、このリオキリルでも、もう選り好みができるほど依頼はギルドに集まってこない。かといって、ハン帝国は言葉も違うし、ならいっそ、伝手でも何でも頼って行けるものならエレーニア王国まで行くのも一手かと思ってな。」


 戸惑うレオンを横目に、アンナ司教はエイムの目をじっと見た。


「真剣ですのね。では私も真剣に、正直に答えます。ピレスノアまでお連れすることは、私の力ではできません。私も慰問ということでここに招かれ、途中、ゲート(転移の門)を使わせてもらってやって来ているので、私の一存で、ゲートをくぐる人数を増やせません。」


 だろうなと、自分でも少し短絡過ぎたと反省したエイムは頭を掻いた。


「ただ、そのゲートはキリルのパフス領にあるので、そこまでであれば、道中、ナディさんに食事の準備を手伝ってもらうことを条件に、私のポケットマネーであなたたち四人を護衛として雇ってもかまいません。」


「本当ですか?」


 ひらめき半分博打半分で言ってみた話だったが、言ってみるもんだとエイムは思った。


「最初に言っておきますが、大した依頼料は用意できません。その代わりと言ってはなんですが、道中の食料費、宿泊は教会になりますが面倒を見させてもらいます。それでもよろしい?これはエイムさんだけではなく、ナディさん、レオンさん、それにリアさんにもお聞きします。」


「エレーニアだろうとハンだろうと、エイムが行くところが僕の行くところだから。離れないから。」


「ふふ、レオンさんは父上様に似たのですね。きっと。」


 迷うそぶりすら見せずに即答するレオンを、アンナ司教はそう評した。


「そう言えば、お父さんのことも、司教様はご存じなんですか?」


「ええ。私たちが修行をしていた町では、豊穣の天使を攫った男として、あなたの父上様は有名ですよ。御両親の馴れ初めとか、お聞きになったことはなくて?」


 それはおそらく、両親のことでレオンが最も興味のなかったことの一つだろうと、エイムもナディも思っていた。


「武道家を目指して修行の旅をしていらしたゼスさんは、一目惚れしたマイアさんのために自ら聖職者になってまで近づいて口説き落としたんですから。レオンさんが一途で情熱的なのは、きっと父上様に似たのですね。きっと。」


 レオンは頬を赤くするほか、どんな顔をしていいか決めかねている表情だった。

 今のゼスからは想像もつかないその話、村に帰ったらゼスにじっくりと聞いてやろうと、エイムとナディはほくそ笑んでいた。


「ナディさんもよろしい?」


「私も同じです。リアさんもそれでいい?」


 ナディの問いに、リアも迷うことなくうなずいた。


「あらあら、エイムさんは本当に果報者ですね。それでは出発は明後日の早朝になります。準備をしておいてください。」


「ありがとうございます。本当に。」


 エイムがそう言って頭を下げると、ナディもレオンも、そして、リアもならって頭を下げた。


「こちらこそ。これで十日ほどですけど、道中の食事がより楽しみになりました。よろしく願いしますね。」


 そうと決まった次の日、エイムたちは朝から行動を開始した。


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