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123、ト型街灯

 空を見ると天井のように暗い蓋がされているような気がする。

 俺は宿舎の部屋に戻り、窓際でそれを感じた。座卓の上には幕の内弁当が置いてある。晩飯だ。

 どんなに悩んでももがいても明日は見えない。そんな蓋だ。闇に浮かぶ街灯は中立だ。ただぼんやりと真下を照らす。景色は知っているのだろうか。きっと知らないのは人間だけなのだろう。


 水は流れ、火はゆらめき、時はさすらう。

 人は安らぎを求め、暗闇に手を伸ばす。


 缶コーヒーを開けて一口飲んだ。

 味がする。

 無色の世界の中でそれは最後の味のようだった。


 ラジオをつけるとそこから流れてくる声が魂を鎮める呪(まじな)いのように聞こえた。

 現実感が薄れてくる。


 この世の分岐点だ。


 それが起きる前夜だ。

 世界が祈る。それが音もなく感じられたような気がした。

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