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T  作者: 水面
12/22

決心。

そうやって俺たちの関係はうやむやなまま続いていた。

今日もあなたは俺を置き去りにして、あの屋敷へ帰っていく。


お願いやから、帰らんといて。

ここにおって。


あなたは辛そうな顔をするが、どうせ帰っていくんだろう。


もういい、もう別れる。

こんな関係はうんざりや。


つい口をついて出てしまった言葉は、もう取り返しがつかない。

あなたは、泣くかと思ったが、不思議と泣かなかった。


いつかこんな日が来ると思っていたわ。

今までありがとう。さようなら。


微笑みさえ浮かべて去って行った。

こんなに簡単に?

確かに俺が別れると言ったが、そんなの俺が甘えてただけや。なのに…。



連絡が取れない。確かに俺が出て行けと言ったけど…。


これで本当に別れなのか?こんな簡単に?

何でもするから許してほしい。


そんなメールを何度送っただろう。

俺がバカだった。Tはいつも言ってたじゃないか。


私に飽きたら言ってちょうだい。

いつでもきれいに別れてあげる。


俺は寂しかっただけ。

愛しい人を誰かと共有なんてできない。

俺だけのものになってほしい。ただそれだけ。


毎日そんなメールを送り、許しを乞うている。

この俺が?

今までだったら、去るものは追わずだった。

別に女なんて星の数ほどいる。

女と面倒臭いやり取りをするのも俺の主義じゃなかった。

それなのに、どうして?

今までの女と何が違うのだろう。

あぁ、Tほどすばらしい女はいない。

この年になって、あんな出会いだったが、出会ってしまった。どうしても諦めきれない。


今日もメールを送った後、返信があるかどうかチェックする。

どうせないだろうと思いつつ、携帯を開いてみれば…。

あなたからの返信?


私も会いたいわ。もう一度会いたい。


そんな短い文章が俺の目に飛び込んできた。

俺は、急いで携帯を鳴らした。

お願いだから出てくれ。


俺も会いたい。待ってる。


俺のマンションに現れたTは相変わらず美しい。

俺と別れたダメージなんかどこにもない。

あなたは、何物にも汚されることなく、神の祝福を受けた奇跡の存在だ。

俺たちは言葉もなく、涙に濡れた頬を擦り合わせていた。


不精髭?くすぐったいわ。


Tが居なくて、髭を剃るのも忘れてた。


俺の言葉に微笑んだTは、もう少し待ってほしいと言った。


もう私も耐えられないの。離婚したいわ。

でも少し時間を頂戴。

クリアにしていかなきゃいけないことがたくさんあるの。


俺たちは再び忍会うようになった。

でも、あなたは離婚を決意してくれた。そんなあなたは、どこがすっきりした表情していた。




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