決心。
そうやって俺たちの関係はうやむやなまま続いていた。
今日もあなたは俺を置き去りにして、あの屋敷へ帰っていく。
お願いやから、帰らんといて。
ここにおって。
あなたは辛そうな顔をするが、どうせ帰っていくんだろう。
もういい、もう別れる。
こんな関係はうんざりや。
つい口をついて出てしまった言葉は、もう取り返しがつかない。
あなたは、泣くかと思ったが、不思議と泣かなかった。
いつかこんな日が来ると思っていたわ。
今までありがとう。さようなら。
微笑みさえ浮かべて去って行った。
こんなに簡単に?
確かに俺が別れると言ったが、そんなの俺が甘えてただけや。なのに…。
連絡が取れない。確かに俺が出て行けと言ったけど…。
これで本当に別れなのか?こんな簡単に?
何でもするから許してほしい。
そんなメールを何度送っただろう。
俺がバカだった。Tはいつも言ってたじゃないか。
私に飽きたら言ってちょうだい。
いつでもきれいに別れてあげる。
俺は寂しかっただけ。
愛しい人を誰かと共有なんてできない。
俺だけのものになってほしい。ただそれだけ。
毎日そんなメールを送り、許しを乞うている。
この俺が?
今までだったら、去るものは追わずだった。
別に女なんて星の数ほどいる。
女と面倒臭いやり取りをするのも俺の主義じゃなかった。
それなのに、どうして?
今までの女と何が違うのだろう。
あぁ、Tほどすばらしい女はいない。
この年になって、あんな出会いだったが、出会ってしまった。どうしても諦めきれない。
今日もメールを送った後、返信があるかどうかチェックする。
どうせないだろうと思いつつ、携帯を開いてみれば…。
あなたからの返信?
私も会いたいわ。もう一度会いたい。
そんな短い文章が俺の目に飛び込んできた。
俺は、急いで携帯を鳴らした。
お願いだから出てくれ。
俺も会いたい。待ってる。
俺のマンションに現れたTは相変わらず美しい。
俺と別れたダメージなんかどこにもない。
あなたは、何物にも汚されることなく、神の祝福を受けた奇跡の存在だ。
俺たちは言葉もなく、涙に濡れた頬を擦り合わせていた。
不精髭?くすぐったいわ。
Tが居なくて、髭を剃るのも忘れてた。
俺の言葉に微笑んだTは、もう少し待ってほしいと言った。
もう私も耐えられないの。離婚したいわ。
でも少し時間を頂戴。
クリアにしていかなきゃいけないことがたくさんあるの。
俺たちは再び忍会うようになった。
でも、あなたは離婚を決意してくれた。そんなあなたは、どこがすっきりした表情していた。




