~113 お人好しがいましてね♡~
悪魔に対して異世界人かと問い詰めるサクラ。
ーー悪魔だっちゅーに(タケル談)ーー
(ハッ!! 悪魔だっちゅーの!!
しかもタケルの好きそうなワードがつい……)
アホな質問をしてしまったがセ◯コちゃん疑惑だけは
譲れない。
「そ、そうですね、異世界人は置いといて、
あなた魔法の名前はどうやって付けたのよ?
答えないと今度こそーー
アホ質問で慌てるサクラ。
身の危険を感じ慌てる悪魔。
しかし質問の内容は異世界人以外は
変わっていないため
変わらずアホ質問ではあるのだが……
サクラは手を緩め悪魔を解放してやる。
「ゴホッゴホッ、分かった、分かったから。
答えるから」
そう言う悪魔は昔行った国で
取り憑いた男の記憶に有った歌が気に入り
その題名を悪魔変換したそうだ。
「……理由は分かったけど
何なの悪魔変換って?
気に入ったんならそのままで良いじゃない。
なんかモヤモヤするわぁ!!」
イライラして頭を掻き毟るサクラ。
ーー何がそんなに……(タケル談)ーー
誰かの突っ込みと同じ思いなのか
今度は恐々ではあるが悪魔が尋ねる。
「そ、そんなにイライラしないでよぉ。
悪魔だし仕方ないじゃない。
そ、それにそれが分かるってことは
あなたも異世界人なんでしょ?」
その"悪魔だし"にもモヤモヤモヤモヤするが
それよりもモヤモヤ影響なのか
ウッカリ異世界出身であることが露見してしまう。
ハッとして黙り混むサクラ。
……
「へ、変な子ねぇ。
そもそもあなたここに来た目的忘れてない?」
ハッとするのに最上級があるのなら
まさに今のサクラがそうだ。
「そうよっ!!
タリス王子の精神本体がアッチに居るでしょっ!!
早く案内なさい!!
さぁ早く!! ヤレすぐホレすぐ今すぐに!!」
誤魔化すように捲し立てるサクラ。
徐に悪魔の手を取る。
「は? え、ちょ、キィヤァアアアアーーーー」
結局、案内させるのではなく
悪魔の手を引っ張って超スピードで目的の場所へと
向かうようだ。
……
(フッフッフ、これでさっきのことは
忘れるでしょう)
ーー忘れるわけないでしょう(タケル談)ーー
かなりの距離を一気に潰し走り切ったサクラ。
「ハァハァ、ちょ、ちょっとあなた
どんな身体能力してんのよっ!?
手が、手が千切れ飛ぶかと思ったわ」
引っ張って来てもらったにも関わらず
疲れ切って四つん這いになっている悪魔に
束の間の休息を与えつつ質問をするサクラ。
「完全に消滅しない限り
千切れても元に戻るでしょうが。
ちなみに転移は使えないでしょここ?」
息を整えながら答える悪魔。
「フゥ、あなたホントに良く知ってるわねぇ。
そうよ私以外は使えないわよ。
それにこの男の本体の位置も探ってたわね?」
頷き続けるサクラ。
「しっかりと存在が確認できたんで良かったわ。
そこ開けなさい、でないとーー」
タリスの精神本体が閉じ込められているのか、
赤いバラで包まれた人の背丈くらいの球体の前で
悪魔に指示するサクラ。
「分かってるってば!!
すぐ開けるわよ」
悪魔がバラ球体を開けると中には
眠っているかのようなタリスが体操座りの状態で
そこに居るのが見える。
「はい、開けたわよ。
で、コロすんでしょ?」
そう聞かれたサクラであるが、
先程からどうもこの悪魔のことが憎めない。
なのでもう少し質問をしてみる。
「……とりあえず王子さまはシんでないわよね?」
サクラには敵わないとみて
腹を括っている様子の悪魔。
「ええ、魂のエネルギーは少しもらったけどねぇ――
そう答える悪魔は
思い出したのか続けて話す。
――そうそう、王様も私が少しづつ魂のエネルギー、
生命力を抜いてるから弱ってるわよぉ。
まぁ私が消滅すれば徐々に良くなるでしょ」
肩を竦めて答える。
それを聞いたサクラは少し質問を変えてみる。
「そう。
それで誰に頼まれてこんなことしてるの?」
更に質問してくるサクラに合点がいった表情で
答える悪魔。
「ああ、あなた情報が欲しいのねぇ。
……まぁ良いか」
もう最後だと言わんばかりに語りだす悪魔。
はじめは第四聖守護、第五聖守護に召喚され
拘束されたが、
あることを条件に生きることを許される。
その条件が現王と第1王子を
傀儡化することであった。
現王と第1王子を良いように操ることで
暫くはこの国を裏から支配できるからである。
悪魔召喚については
膨大な魂のエネルギーが必要なため
そうポンポンと出来る訳でもなく
あと何体か召喚しているのは聞いたことが
あるそうだが詳しくは知らないとのこと。
また行方不明の王妃と第2王子について
聞くサクラ。
「知らないわ、私はとにかく王様と王子を操って
質の高い魂を集めることを言われたわ。
質、格の高い魂はエネルギーも多いし
スキルも豊富だからねぇ――
聖光神の目的であろう魂とスキルの話が
ここでも出てくる。
何のためにという疑問も少し解けたサクラ。
ひとつは悪魔召喚で使用するエネルギーの
確保であり
その悪魔を使って更に魂を集めようとしている。
まだまだ魂のエネルギーが必要ということにも
なるため更に疑問が浮かび上がるのだが、
今は置いておき話の続きを聞く。
――悪魔族は魂の扱いに慣れてるしねぇ。
で、強制契約させられたんだけど、
あとはお決まりの裏切ればってワケ……
あ~あ、気に入った男に取り憑いて
ゆっくりまったり過ごすつもりが、
まさか人間如きに使役されるとは
思ってもみなかったわ」
そう言うと、
足元から少しづつ塵になっていく悪魔。
「まぁあなたにコロされても良かったんだけど。
アイツ等に一矢報いるほうが良いもんねぇ。
最後に会えたのが
あなたみたいな面白い子で良かったわぁ」
変わらないゆったりとした口調なのは
諦念からだろうか。
徐々に塵になってゆく悪魔。
その様を見て即座に反応するサクラ。
「契約魔方陣を出しなさい!! 今すぐ!!」
サクラの勢いに呑まれ
ビクッとしながらも
強制契約させられている件の魔方陣を
掌の上に出現させる悪魔。
「こ、これよ。どうするの――
答える時間が惜しいサクラは
直ぐに魔法を発動する。
――マキシマム・ホワイト”純身無垢”!!」
強制契約の解除は難易度が高い。
間に合うか分からず、
また効果は分かっていても初めて使う魔法で
実際の効果の詳細が分からないが
今は祈るしかない。
自ら進んで聖光神に協力していた訳ではないのだ。
そんなバルバスのような悪魔がここにも居る。
タケルの一番の理解者であるサクラが
助けない訳にはいかない。
名前の通り純白の光が辺り一面を包み込む。
……
サクラのオリジナル魔法、
色を冠するマキシマムシリーズの白。
効果は全てのバッドステータス、
体力、魔力を全回復に加えて一定条件下での蘇生だ。
光が収まり、悪魔を確認すると、
塵になり始めていた足元からの崩壊も止まっており
元通りの妖艶な美女の姿がそこにあった。
「ハァ~、どうですか?」
目を瞑っていた悪魔だが、
薄く目を開き
次に目を見開き掌の上にあった魔方陣を確認する。
「消えた……」
そう言って放心する。
一拍置いてサクラに目を遣り問い掛ける。
「……助けてくれるの? なぜ?」
その問いに答えるサクラ。
「フフ、ウチには超の付くお人好しがいましてね。
その影響かな、ウフフ♡」
分かったような分からないような答えに戸惑い、
首を傾げる悪魔であった。




