1話 これからの国の勢力図
コイツはクセェ!
ゲロ以下の匂いがプンプンする!
とか何とか言っちゃってねぇ、リュウガの股間を殴りましょう。
さて、時を現在に戻してみよう…
今は、優を追って疲れ果てたナーフェルが、ネリアに話し掛けてきた所からだ。
☆
「何ですかいきなり?ナーフェル女王、私をユウサマから突き放すに足る理由を今っ!述べて下さいっ!」
明らかに不機嫌なネリア。だが、次にナーフェルから放たれた一言で押し黙る。
「あの…【ガバナ大陸】の内戦が、終結しました」
「―――ッ!?」
「それだけではありません。内戦に勝利した【グロドナ新王国】の国王がいきなり交代、内戦にてグロドナ新王国に勝利をもたらしたとされる男が王座に座ったとの事。そしてその彼は三国を統一した新国家【リュウガ大帝国】を立ち上げる事を表明したのよ」
「………あの何年経っても終わらなかった戦争がいきなり…音沙汰も啼く終わったのには正直びっくりしてるけど、それで…どうしたの?」
「実は、その新国家【リュウガ大帝国】は兵士を集わせ戦争の準備をしている事が分かったわ。それも、確認している数では三百万」
「なっ!流石六大陸内でも最大の地。内戦続きで兵士の数が足りてないと思っていたけど…圧倒的。それよりも、戦争の準備をしている、ですって?」
「えぇ、あのリュウガとか言う男。他の国へと侵攻を仄めかす事を言っていた。その通りに、どんどんと兵士達や資源を得ている。それも…私達の比じゃない位に…」
「三百万って大軍だけでも、こちらの総兵力の十倍に近いわね。それにこれからも増え続けるとなると絶望的戦力差か。てか、内戦が終わった後によくもまぁこっち側に仕掛けられるわね。血気盛んなことよ」
話をするにつれ、ネリアの顔は険しくなる。彼女の眉間にしわが寄り頭を悩ませる。【ガバナ大陸】はその他の大陸よりも広大であり強大だった。もし、この国らに攻められでもしたら我々の国は直ぐに滅んでいただろう。
だが、あの大陸内では目先の領地争いと下らない派閥争いのお陰でその強大な力が他国の脅威になり得なかったのだが…
後、3世代位は争いは鎮まらないと思われていた内戦が何の前触れもなく、謎の男の介入で終結させられたと思ったら直ぐ様3国を統一、もちろん兵力も…
そうして集まった強大な兵力が我々の前に姿を現さんとしているのだ。頭を抱えたくもなる。これは紛れもない国家を揺るがす問題だ。
「他の国には…何か呼び掛けとかなかったの?」
「いいや。辺境の大陸は論外だったけど、不思議な事にまだ残り二つの国からの応答が来ないの…こんな緊急事態だってのに!そもそも、この宣戦布告も相手側からのリークだもの。伝わってないって事はないはずなのに!」
(もう手を回されたの?イヤ、それもと抱き込まれた?イヤイヤ、それにしては早すぎない?そんな事よりも何か…もっと何か別の…)
「ねぇ、ネリアさん。私からの…頼みを聞き入れて下さいますか?」
「…大方の予想は付いています。我らと同盟関係を結びたいと、言う所ですか?」
コクリ、とナーフェルは無言で頷きティーカップに注がれていた紅茶を一啜りした。そしてこう話す。
「奴らはまず私達…二つの国を順番に潰していこうとしている。もう1ヶ月もすれば奴らの部隊は完成し侵攻を始めるでしょう。いくら私達が魔法技術に精通しそれでいて個人が強い力を有したとしてもやはり圧倒的数の利では厳しい。それにリュウガが自身も恐るべき力を持っているとの事だし、何よりアイツが従えている二人の女が厄介極まりないのだ。何せ、そのリュウガ直属の二人の女が先の内戦を終結させたらしい。圧倒的力で蹂躙して…」
彼女の情報収集力はニエンティの事を想う余り鍛えぬいたとはここでは言わないでおこう。
「もうこうなったら貴女達の国と同盟を結び、共にこの危機を乗り越えたいと思っているのだが…」
「こちらとしてはありがたい頼みです。分かりました。この【グランティーア王国】外交官であるネリア・グランティーアがその頼み、しかと聞き届けました。即刻国に帰り次第、国王に報告致します」
「ありがとう。なら、こちらは交渉役として…」
そこで、ナーフェルは少し口をモゴモゴさせていた。何かと思っていたネリアだったが、ナーフェルはヤケクソだぁ!と叫んだ後にこう言い連ねた。
「ニエンティを貴女達に同行させる!」
「えっ?」
「ほ、ホラ!アレだよ。ニエンティは前にその国にいたと聞いていたしな、交渉する国の事を知っている者ならば幾分かは話しが纏り易いと言う訳だ!あぁそうだっ!そうだともっ!文句は言わせんっ!……………以上!解散!」
「えっ、あの…―――」
「かーいーさーんー!」
そう言って、ナーフェルは何やら顔色を悪くしながら強制的に密かな会議を終わらせて部屋へと勢い良く出ていった。
「そっか…ここを離れちゃうと、ニエンティさんがユウサマと居られなくなるから…一緒に居られる口実を…フフッ、私が気分を悪くすると思ったのか?それとも…自分の言葉で言うのが余程辛かったのか?フフッ…私はそんな事では怒りませんよ。それにしても…」
“優しいお姉さんですね…”
ネリアが呟いたその一言は…窓から聞こえてくる風の揺らめきと共に掻き消されていった。
☆
【リュウガ大帝国】新設中の王国。玉座にて…
「でぇ?何の用~お二人さぁん?」
玉座にふんぞり返り美女達を周りに侍らせているくそムカつく顔をしている男。龍雅は、自分の目の前に知人。フードを被った一組の男女を見下ろしていた。
「…………………」
女と思われる方は常に無言。彼も彼女の声を聞いた試しがない。常に喋らずただ立っているだけだ。だが、彼女から滲み出てくる死のオーラには…本能的にコイツに逆らうと死は確実なモノと化すと言う。未知の恐怖には思わず震えてしまう。
「デ…デ、ゴンッ!」
もう1人のカタコトの男の方はフードで良く見えないが口元が何かで覆われているかの様に声にはエコーが掛かる。そして、言葉遣いがつたない。
「今のは…〈伝言〉で、いいよな?」
「ヴン!」
これは因みに〈うん!〉と言っているつもりだ。コイツらに会ったのは2ヶ月前に俺を神様がこの世界に連れて来てくれた後に度々顔を出すようになっていた。彼らは曰く、神の使いらしい。
この男のカタコト口調には1ヶ月で解読するのは慣れてきた。今では苦にはならない。
「それで?なんだい?」
「シグ…ジナ」
「ん?んぅ~~~~~?これは、多分ぅ~~~~~~〈しくじるな〉か?」
「ヴンヴン!」
「へいへい、分かりましたよぉだ!んじゃ、さっさと帰ってくれ。勿論、見送りは必要ないだろ?」
呆れたように龍雅は2人玉座から追い出した。今は王位に就いたその優越感を誰にも邪魔されたくなかったのだろう。それに、一々忠告に来る2人を少し疎ましく思っているのも無理はない。
そして何も言わずに去っていった。
「心配することなんかないでしょ?既にグランティーアとエイリュフォン以外の国には手が回っている。俺達の邪魔をするモノなどない。さぁて、さっさとこの大陸全土を俺のモノにしてハーレム帝国作っちまおうかなぁ!アッハハハハハッ!!」
中々にゲスい事をほざきながら彼は玉座に座りメイドに運ばせたワインを揺らしながら高笑いを上げていた。
☆
グランティーア最大戦力約30万。
エイリュフォン最大戦力約50万。
リュウガ大帝国現最大戦力約300万。(尚も増幅)
次回、遂に本編に優衣ちゃんが異世界に登場するよぉ!
ドコニトバサレルノカナァ?




