20話 話?するわけないじゃん
約2週間ぶりの更新です。
何としてでも11月中に三章を終わらせてやりますんで!
「ユウサマ…嗚呼!…嗚呼っ!!足止めなら私が行ったものを…あんなアルトだかタルトだか知らない人と一緒に…クソッ!?何ででさかチカさん!私はっ!ユウサマと一緒に居たかったのにィィィィィィ!!!」
「だから言ってるでしょ?今回はネリアの助力が必要不可欠なの!あの二人には足止め要員としてが最適だったの!それにね♪アレはねネリア、優が貴女の為を想って引き受けてくれたものなのよ……………多分?」
「えっ?えぇぇぇぇえっ!?ユウサマが、ユウサマが…私の為にっ!」
「ソウソウ、マジマジ~」
(チカっち!?棒読み過ぎっ!)
「ウフフッ♪ウフフフフフフフフッ!ユウサマったら、可愛いわぁ~~~♪それなら仕方ありませんわね!行きましょうぅ!さぁさぁさぁ!!」
「チカっち?これで良かったの?」
「大丈夫じゃなぁ~い?どっちにしろ、被害を受けるの優って決まってるし」
「黒い…黒いわ」「私も引くよ…」
まぁそんな雑談を交えた末に、城の地下を通り更にその外れにある立ち入り禁止区域に突入した。
そこには対侵入者用のトラップが設置されてあったが…
「ほいっ!」
地香が自力で全てぶっ壊した。
落とし穴も、毒矢の雨も、鉄球、ギロチン、爆薬、猛獣達等々を説明をするのがメンドイ…まぁとにかくっ!全て地香が粉砕して皆難なく通り抜ける事が出来た。
「まさかあの獰猛な危険度Aのバーンガルルを威圧だけで大人しくさせるだなんて…」
「あれ一体だけで大きな村を一夜で蹂躙する超凶悪モンスターを…こんな所で番犬代りにしているのも驚きでしたけども…」
「「流石は姐御…」」
(今…何か変なあだ名を言われたような気がする?)
これから一生、サーナとユレーナに心の中で密かに“アネゴリラ”と呼ばれるニックネームで慕われる様になる地香だった。
☆
「ここが…“奈落”ってとこね」
「文字通り奈落の底に続いてそう」
人為的になるのか自然的になのかは定かではない。地下の空洞と化した空間の下には半径5キロメートルにも及ぶ巨大な深い深い穴がぽっかりと開いていたのだ。
そこは一般的には不要物や腐り果てた死体等を処分する為に使われているのだろう。その証拠に、腐敗臭が微かに溜め込んでいて気持ち悪い。
この奥の奥に奴らがいるのだとナーフェルが言っていた。奥には今まで捨てられていた腐った死体やらが大量にありその腐敗臭もこんな所とは比較にならないと思ったら一同口を抑え吐き気を堪えるのに必死だった。
だが、だが、だが!
「私の“重力操作”なら皆を安全に運んでいける。この人数は試した事がないけど、来てくれるかな?」
地香は、臆したりしない。皆に向けて右手を差し出した。彼女の声、彼女の笑顔は少しずつ侵食していってた心の中にある恐怖を一瞬で浄化させてくれた。
「わ、私は元々っ!ユウサマの為なら火の中水の中っ!腐ったゴミ山の中には~少し躊躇いがありますが、恐らくは魔族の闇の瘴気も少なからず立ち込めているでしょう。それなら…私の魔法で中和しますんでご安心をっ!」
ユウ・ラブを掲げ拳を天に突き上げ自分を鼓舞するネリア。流石、ブレない乙女っ!
「ネリアっち。何時から私と同じ武闘派スタイルにジョブチェンしたの?これじゃあ私の影がまた薄くなっちゃうじゃん!だから、私も一発かますよぉ!」
「うんうん。多少の援護は出来るから私も行くわ。サーナ同様、私も活躍しないとそろそろ存在忘れられそうだし…」
もう影が半分まで薄まっている勇者一行のお二人、サーナとユレーナも同行を決意する。
『エメルナ様。貴女は私が乗せて行きます。チカ様の負担もこれで軽減しますし、これくらいの大きさなら私も竜に戻っても何の支障もありません故。それで、ゆきますか?』
「フッフッフッ…こーーーんなっ面白そう場面に立ち会えないとか論外だからっ!行くに決まってるわ!お願い、フゥ―」
『後、もし間違えてもフゥ~ちゃんなどと、ふざけた名前を口にしたなら…分かってますね?エメルナ様』
「フレシアス…ちゃんさんっ!」
『宜しいです。はい…』
夫婦かっ!とツッコミを個人的に入れたくなる何だかんだ仲良しコンビのエメルナちゃんフレシアスさんも恐怖を振り切った。
「それじゃあ、いくよっ!」
「「「「「おうっ!!!」」」」」
全員が、地獄の淵へと落ちて行った。
☆
「地香達。もう行った頃か…」
「僕らはどうします?」
「もう倒しちゃったしね~」
その頃優達は…
魔族達の屍の上で佇んでいる。
所処で焼き焦げた匂いが鼻にこびり付いている。優がハリキリ過ぎたのか、アルトは優の凡ミスで少し髪の毛に縮れ毛が見える。
「ぶっちゃけ助けに行きたいけど、地香なら大丈夫っ!」
「いやでも、相手はニエンティさんって言う人質がいるのに…上手くやれますか?」
「やれるさ」
そう、彼は確信していた。
“地香なら何とかなる”そう確信しているのだ。
これは優の中では既に決定されている事で、今更自分らが手を出すまでもないとは思ってはいるが、本心ではニエンティさんの事が心配で堪らない為、早々にゴミ掃除を終わらせたかったのだ。
「じゃあ、地香の勇姿を間近で見るかい?」
「個人的には、見たいです!」
アルトを上手く誘導し、地香の元へ行く口実が出来た優の行動は早かった。優は直ぐ様地香達が向かった方角へと一直線。一瞬反応が遅れたアルトも追い付こうと必死に足を動かした。
途中。足腰を挫き欠けたがそれを口には絶対にしないアルト・ラーケンスであったのだ。
(足腰を挫きましたぁーーーー!?)
☆
遂にっ!遂に遂に遂に遂に遂に遂に遂に遂に遂に遂に遂に遂に遂に遂に遂にぃ~~~~っ!!
我が計画が成就するっ!我が恋も成就するっ!一石二鳥過ぎて俺様って幸せもの~~~♪
計画を邪魔する奴も、俺様達の恋路を邪魔する糞どもも居ないこの場所で…俺様のフィアンセはこの国が俺様達の手で壊される所を見て、どんな顔をするのだろうかつ!
ケヒッ!ケヒヒヒヒヒヒヒヒッ!
ヤベーッ↑テンション急上昇♪
「くっ!」
『もう抵抗なんてしなくてもいいんだZE☆我がフィアンセよ…ここまで来れる奴なんて限られてるし例え来たてしても、万が一の為に数時間前に既に俺様は“パワーアップ”済みさっ!手下達を大量に取り込んだからな。だから余計カッコ付けてるんだZE☆気付かなかったかい?』
「知るわけ…ないじゃない。あんたなんか!」
『ふっ…そうだともそうだとも!我がフィアンセは俺様の事をまだそんな知ってはいないだろうな』
俺様は、俺様特製趣味全開の花嫁衣装を我がフィアンセことニエンティちゃんに着させ観賞をしている。これが中々どうして止められないっ!彼女の恥じらう顔をとても美しい…サイコーだっ!サイコーだっ!思わず鼻血が垂れる。
『俺様は君の事なら何でも知ってる。だけど君は俺様の事を殆ど知らない。これは非常に残念な事だっ!まずはお互いの事を知ることが恋仲を発展させる鍵だってのにぃ』
俺様はそっと、優雅に彼女の顎をくいっと持ち上げる。彼女の鋭い目線は尚も鋭さを増していく。この短時間で君の豊かな表情を間近で見られるなんて…嗚呼!嗚呼っ!!
幸せだ。俺様は魔界1の幸せ者だっ!
「貴女が自己チューでサイテーなクズサド野郎だって事は知ってるけどね!」
『もうっ、強がる君もまたいと尊しってヤツさ!』
「意味不明です」
『兎にも角にもっ!君に出来る事ない。勿論、奴らにも君と言うある種の人質がいるかねぇ~そう簡単に手を出せる訳がない。きっとどうにかして君を助けるだろうねぇ?』
「…………っ!」
『俺様はソイツらにちょいと脅しを掛けながら時間稼ぎをすればいい。もうじき術式は完成されこの国も君も俺様のモノになる!ケヒッ!ケヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒッ!』
「…………私は、何て無力なのでしょう」
『君は無力なのではない。現に、君の魔力のお陰でこうして術式は完成しつつある。勿論、俺様のフィアンセと言う重大な役目もある。全然無力などではない。誇るといい』
(そんなのになる位なら、無力な存在になった方がマシだわっ!)
嗚呼、気分がいい。とても爽やかだ。
だって、俺様の計画はもうすぐ成功する。それに邪魔者どもは俺様に傷一つ付けられずに指を咥えながら黙って崩壊までのカウントダウンを待つしかないのだからぁ!!!
『さっさと奴らの屈辱で歪んだ顔を拝みて―』
「うおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉりゃあああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!」
『へっ―――』
刹那。ほんの一瞬、イグラムは勝手に至福の一時を噛みしめ愉悦に浸っていたそのほんの僅かな間に、彼女はっ!
八重坂地香はっ!彼の眼前にその重くも痛い到底女の華奢な拳とは思えない。そう、例えるならゴリラみたいな鋼の拳が視界に写っていたのだ。
「チェストォォォォッ!!!」
『ハブッギャアァァァァァァッ~~~!?!?』
そして彼が地香の拳を視界に入れた後に、彼女の拳は彼の顔面に見事クリーンヒットした。もう見事な程にっ!何度でも言おうっ!見事だった。
そのまま彼は殴られ体を壁に思いっきり叩き付けられたのだった。
「マダマダマダマダマダマダマダマダァァァァァ!!!ニエンティちゃんをもくもラチったわねぇぇぇぇぇえ!!!このこのこのこのこのこのこのっ!」
岩の壁に叩き付けるだけでは飽き足らず尚も殴り続ける。
渙発入れず、休み無く、情け容赦なく、心のままに、力ある限り、痛みなぞ知らず、疲れなど感じず、ただただ友の為にその拳は憎き敵に幾度と無く降り注ぐっ!
(ば、馬鹿なっ!なんで…オレサマが、一瞬気を抜いただけ、なのにっ!こんな、こんなこんなこんなこんなこんなっ!こんな事になる、なんて…何だ?この女は、強すぎる!)
どんどんどんどんどんどんどんどん壁にめり込んで意識を、命を散らしていくイグラム。
地香は知ってか知らずか、イグラムが編んだ術式は彼を殺す事によって術式はキャンセルされ消滅する。地香は、まずニエンティの安全の為に隙を付いて彼への奇襲を仕掛けたのだ。それが項を制した。
地香曰く。
「話?するわけないじゃん。あんなの話を聞いてタイムオーバーになるより殴るからっ!」
このまま殴り続ければ、ギリギリではあるが彼の術式は、彼の計画は阻止される。
だが、ここで終わるクズ野郎ではなかった。
『舐め、るなぁぁぁぁっ!!ア”ア”ア”ア”ア”ア”ァァァァァァァァァァァァッ!!』
彼は強化を施した際に溜め込んでいた大量の魔力を自らの鎧とし《魔装》を編み出した、だが、只の《魔装》ではない。彼が自らの魔法の特製、結合の力を使い多くの眷属や手下から力と生命力を奪い我が物とした力の全てを《魔装》に纏めて編み込んだのだ。名付けるなら《結合魔装》並の《魔装》の悠に10倍以上の硬度。更にそれを長時間と言わないがほんの数分。術式が完成するまでの間までは持つと自負している。
(これならばっ!てっ~アレ?)
何故だ!何故だ!何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故何故なんだ!
オレサマは不可解だ!理解できん!分からんっ!
何故…
あの女はまだ―
笑っていやがる。
次回で決着…かな?




