地香に近づく物語2話 森を探検するときは迷子になんなよ!警告したかんなっ!
早くに投稿できて良かった。
地香の過去篇2話です。どうぞ!
さてさて、そんな“幼馴染”の関係を笑いあり涙ありで過ごして早数年。
中学3年になり現在は夏休み真っ只中。
町に照り付ける太陽の蒸し暑さが人々を引きこもり精神を加速させ腐敗していく。
だが、そんな中でも地香達は違った。
「さぁ皆ぁ!バケモノ退治にレッツゴォーー!」
「その格好。仮にマジでバケモノ退治するんだったら百パー着ねぇよ!そんなの高難易度クエストに何の策も無しにノリで挑む三流ゲーマーと同じだぞ!」
廻の言う通り。彼らは、今町から離れた裏山に足を運んでいる。地香と廻と優は勿論の事だが、今回は同伴者として美里と優の妹でまだ中学二年生の“可憐なる才女”と吟われる優衣が付いてきている。
そして地香の格好はと言うと、まるで虫取をしに来たガキの様に麦わら帽子にTシャツの上に半袖と短パンと言った服装で赴いている。しかも、虫取編みに虫籠もセットだ。こんなの、冗談でもバケモノ退治する格好とは到底思えない。
夏だと言えばこの格好にも納得はいく。何故なら優も両腕に美里と優衣がベッタリくっついていて歩きにくそうにしているが、半袖に短パンと比較的に動き易い服をチョイスしている。そしてちゃんと虫除けスプレーも巻いている。他の二人も同様だった。だが、少し露出面では些か胸をドギマギさせてしまう位に大きい。
だが、対して廻は半袖と短パンと言う面では他の四人とは同じだが、パンパンに詰まったリュックを背負い山を登っていた。
廻曰く『山の恐ろしさは師匠の修行の中で身に染みてる。だって何の装備も無しにジャングルやら無人島やら山やらに放り込まれて一ヶ月間サバイバル生活してたんだぞ!死ぬほど準備はそりゃするわ!』との事。
とまぁこんな面子で山を登っている。だが中にはこのメンバーで登るのを不満に感じる者も少なくなく…
「そもそも地香先輩。えっと…バケモノ退治でしたっけ?何ですかソレ?新しいごっこ遊びか何かですか?例えばそこにいる羽虫とは、最初にバケモノに襲われて凌辱の限りを尽くされるチョイ役とかですかぁ~~~?」
ピキッ!
優の左腕に腕を組んでベッタリと引っ付いていた優衣が、同じく優の右腕に腕を組んで胸を押し当てながら優の反応を楽しんでいた美里を挑発した。
そして直ぐ様美里もやり返す。
「アラアラアラ~~~そういう貴女だって、物語の序盤で仲間に裏切られてバケモノ足止め用に使われて悲しい最後を迎えそうな後輩キャラが良く似合いそうねぇ~~~?」
「言ってくれますねぇ?美里セ・ン・パ・イっ!(お兄ちゃんに群がる羽虫風情がっ!一刻も早くお兄ちゃんを私のモノにする前に…)」
「私は事実を言ったまでですけどね。(この糞が!優君の妹だからって調子こいてんじゃないわよ!何としてでも私が優君と結婚する前に…)」
(この女を消すっ!!!)
両者が睨みを聞かせている中で、優はもうそろそろ腕の感覚がなくなってきて限界に近かった。
「ねぇ地香。優衣の言う通りホントに人を拐うバケモノがいるの?それって…何かの間違いなんじゃ…」
そもそも、事の顛末は地香が知人から裏山での神隠し騒動を聞いたからだ。そしてその裏山にはもう廃れてしまった神社の当時の神主が昔に人を拐い喰らっていた蜘蛛のバケモノを封じ込めたと言う伝説が残っていたらしい。
この裏山付近に住む老人曰く、その蜘蛛のバケモノの封印が解かれ裏山に来る人間達を拐っては空腹を紛らわせているのではないか…と。
普通の良識ある人間ならそんな話は信じる価値なしと断定するだろう。だが、バカで間抜けな地香は実際にここ数週間裏山に行ったきり帰ってこない人がいる事からすんなりとそんな伝説を信じ廻達を誘いバケモノ退治に繰り出したのだ。
だが、もう一度言って置く。地香はバカで間抜けなのだ。地香の浅はかでスッカスカな脳ミソが考えるには『所詮は虫っ!この虫取編みで拘束してからボコボコに殴ってやるっ!』などと物理的に退治してやろうなどと非効率的な事を考えいるのだ。
そもそも、もし仮に人を拐い人を易々と食らう蜘蛛のバケモノがいるとしよう。当然その蜘蛛のバケモノは通常の蜘蛛より何千倍…何万倍大きい事かっ!人を易々と食らう時点で人間大よりも大きいと想像は付く筈だ。だが地香はそんな事を気にせず必要もない物を持ってきている。明らかに邪魔過ぎる。
(虫は虫だし、なんとかなるっしょ!)
短絡的過ぎて困りますよね。
「でもさぁ、廻が来てるんだよっ!その話を吹っ掛けてから駄目元で誘ってみからすんなりOKくれて…私でもビックリしてるんだ」
「なぁ何で来たんだ廻。お前なら、こんなホラ話に付き合う義理はないって切り捨てるのに?」
「あぁ、まぁその…アレだ。地香の奴が持ってきた蜘蛛のバケモノの噂。あれはあながちホラじゃないかもだと思って、確かめに来たんだよ」
「えっ?」
廻は淡々と歩きながらそう答えた。
不思議がってる2人を横目に“しょうがねぇーなぁ~”と思ってそうな顔をしてから話を続ける。
「ウチのとこの…来光師匠がまだ若かった頃にこの周辺である依頼を受けてたんだ。あの人が受け持つのはいつも暗殺だからさ、今回のターゲットはくそみたいなマッドサイエンティストだった訳よ」
“あっ!ここからは極秘の事だから誰にも喋るんじゃねぇぞ。もしうっかり口を滑らせてみろ?その翌日にはいなくなってる事になるかもだから”と、滅茶苦茶物騒な事を言ってから続ける。
「数年前、この裏山の地下の工房で秘密裏に昆虫について研究している科学者がいたんだ。その科学者、まぁ皆にウザがられる系の奴だから他の人達との交流を絶ってある事に熱を注いでいたんだ。それが何をトチ狂ったのか“生物兵器”を熱心に作ってやがった。それは俗に害虫の類いの虫を品種改良するかの如く実験繰り返して人間台のサイズにする事に成功したとか…既に某国と取り引きをして世界各地でその人間台の虫を解き放つ計画を企んでいたらしい。だがその前にその科学者を暗殺し、実験場を壊滅させ実験体の虫を一匹残らず駆除したのが来光師匠だったって訳」
「スケールがデケーなぁ」
「そして今回の神隠し。もしかしたら、師匠が仕留め損ねた実験体が人を今になって襲い始めてるんじゃないかと思ってな。丁度、エサもあるし確認しにきたんだ」
「え、エサって?」
「ホラ…」
廻は何の躊躇もなくステップを踏んでいる地香を指差した。
「被害に遭ってるのは殆どが子供だ。今の地香みたく虫取に熱中してたら門限越えても帰ってこなかったって話だ。バケモノもそんなお気楽なバカを目の前に恰好のエサだと思って食い付く筈」
何にも聞かされていない地香以外3人ともドン引きした。だから地香の服装やら持ち物には一切口を挟まず地香に最前線を歩かせている訳だと納得した同時に廻の非人道さを痛感した。
「あの子も不憫ね」
「同情しますわ」
「もしそうじゃなくても、実際に人が居なくなってんだ。人攫いの可能性も考慮しておけ!」
そんな廻を尻目に、地香は先々と進んだ。今彼女が向かっているのは行方が知れない子供達が遊んでいたと思われる虫達が集まる有数のスポットの1つ。
地香はその付近にこどもの国達を拐った犯人はいると確信していた。
「ここかな?おーーいっみんっ―」
ガサッ!?
「な…あ、あぁ…」
そこで地香が見た光景は…
それは人間よりも一回りも二回りも大きな体躯。鋭く長い8本の長い長い足。雄々しく太い腹部。強靭な顎といつも光る赤る目。その後ろ姿を見たのだ。これこそ、私達が探し求めていたバケモノに違いなかった。
私は、余りの恐怖に足が透くんでしまった。こんなモノホンの蜘蛛のバケモノに遭遇したら誰でもビビるに決まってる。
地香は廻達を呼ぶ気力も上がらず、ただ何時振り返って私の方へ来るのかと、怯えてるしかなかった。
『ビックワーム計画』
発案者:ミスター・ヘラクレス(本名不明。男性。53歳独身)
幼少から口ベタで虫だけ彼の唯一の友達だった。だが、それが原因で周囲からキモがられより一層孤立していった。
それでもめげずに大学に出て成長した彼は昆虫の生態についての論文で賞を受賞し博士号も取得した。
だが、元来の口ベタは治らず。更に大の昆虫好きと人間嫌い、そして尊大な自尊心、プライド等から世間から離れ1人、裏山で開発した実験場に引きこもる。
そして彼は、昆虫の中でも害虫に該当する虫達を人間台サイズにする研究を始めた。
それは、小さな体でも人体に悪影響を及ぼす害虫達が人間と同等の大きさになり世に放たれたらどうなるかと言うほんの些細な好奇心から来るモノだった。
だが彼は実験を重ねる内に偶然にもその実験を成功させたのだ。
始めに産み出したのが、人間サイズのススメバチ。その危険性は以前自分の事を苛めていた1人の研究者を人間サイズのススメバチ、通称“グランド・ビー”と同じ空間に閉じ込め観察した。
するとグランド・ビーがその研究者に特大サイズの毒針を突き刺すと、その研究者は血ヘドを吐き悶え苦しみながら死んだ。
これにより彼は人間サイズのムカデやゴキブリ、蚊にハエやアブ、サソリから毒蜘蛛まで様々な害虫を産み出した。
そして彼は某国に自分の実験体達、通称“ビックワーム”を生物兵器として売り出した。
彼は、世界を憎んでいる。余りにも理不尽な理由だが自分がこんな惨めな生活をしているのはこの世界が悪いと考えている。だからそんな世界を変える為に、腐った人間共を一層しようと世界各地に“ビックワーム”達を世に解き放つつもりだった。
だが、それも来光師匠の介入により、計画は終わった。実験場も実験体達も、某国に売り出された実験体達までも資料全てチリ残さず処分されたのだ。恐らくは…




