6話 地香…心乱す
さぁさぁ更新のお時間ですよ!
そして、これから少し投稿頻度は遅くなりますので…
さぁさぁ廻はニエンティの話を聞き、どう決断を下すのか!?
「おい…どーしたんだ?二人と―」
「止めないでくれ!廻!」「私達は行かなきゃ!」
「いやだから。何がどーなっ―」
「もう僕は止まらないぞぉぉぉ!!」「私だっ―!?」
「…《時間の凍結Ⅱ》」
そして時は止まる。
静寂が全てを等しく包み込む。空中のチリや空気すらも、この力の前では等しく止まる。
視界が心なしかモノクロとなり、幻想的な空間と化している。この力の効果は今はさほど長くない。
だが、2人を止めるのにさほど時間は掛からない。今の廻にとっては、たった5秒でも十分な事なのである。
まずは、優のがら空きのボディに腹パンを深くに…食い込ませた。次いでに、股間も2~3回容赦無く蹴りつけた。
そして地香は、まずはローキックを地香の両足と腹に叩き込み。飛び膝蹴りを地香の後頭部にぶちこんだ。
効果がそろそろ終了する為、あのお決まりの台詞を言って締めるとしよう。
「そして時は動き出す」
その瞬間。モノクロだった背景は消え、色鮮やかな背景に…全ての時間が皆等しく動き出した。
「―ふべっ!?」「―っきゃ!?」
バタン!?…と、時が動き出して事であの痛みも現れ、突然の苦痛に耐え兼ね気絶した。
「えっ…?な、何が!?どうなって?」
たった1人、この状況を飲み込めず硬直してしまったニエンティ。
「黙らせた。それだけ」
俺はただ真実だけを伝えて、2人の襟首を掴んで別室に連行する事にした。ニエンティも連れて…
☆
「よしっ!これでいいな」
「あの…ここまでする必要が、あるのですか?」
俺は別室に連れていき、2人を魔力抵抗を付与した頑丈な鎖で椅子に括り付けた。こうでもしないと、また意識を取り戻したら暴れそうだした。
「話はコイツらが起きたら聞くが…そろそろ起こそうかな。おいっ!」
俺は2人の首根っこを掴んでから、2人の頭と頭をゴッツンコ!させた。地香は石頭だがこれで起きない事はない。
「「―イデッ!?」」
頭と頭同士が衝突した時に出る、痛快な音が鳴り響きその痛みに耐え兼ね2人は意識を取り戻した。だが、その直後で自分達が何故鎖に括り付けられているのか…その異変をまず先に把握し、それから多分不敵な笑みを浮かべているだろう俺の方へと顔が向けられた。
「「廻…ほどいてよ!」」
「まず、事情を話したらな。それからほどいてやるからさ。まぁコイツらに説明出来る脳ミソがある事は期待してないからニエンティ!説明よろ!」
「はっ、はいっ!」
そして、ようやくニエンティは俺に全ての事を話してくれたのだった。
☆
「あれは…私がまだ百歳越えたばかりの頃です」
普通百歳越えてるとかいっても信じないが、エルフの寿命は俺ら人間よりも…他種族よりもかなり長い部類だ。冗談じゃ済まないが、今のニエンティの年齢を安易に聞けなくなったな。…もしも、聞いたら見た目とのギャップに打ち砕かれそうだ。
特に…優がだが。
「あの時の私はまだまだ子供でしたね。周囲からシスコンだのマザコンだの言われましたが、それが何を意味してるいるか分からず誉め言葉として捉えていた程でした」
かなりのド天然だな。
「その後です。母…初代女帝の謎の失踪が起こったのは…」
「えっ!?今…間違いじゃなけりゃ~初代女帝って…言わなかった?国が建国して何年経ったの?」
「えっと…ざっと五百年以上は経ってるかな」
「長生きし過ぎるだろ…初代女帝!」
「えぇ…当時は七~八百歳位だって噂されてたけれども、能力の加護のせいかちっとも老いてなくて現役バリバリだったらしい。とても美しかったわ…」
「ウチの馬鹿並の超チートじゃね?それ…てかさぁ!何で突然失踪なんてしたんだ?」
「理由は…置き手紙通りだったら鬼神さまともう一度合う。らしいです」
鬼神さま?
聞き慣れない言葉がまたしても俺の耳に入る。鬼神って…一応神の類いだろうけど、話が読めん!
「それが、エルフの国から出ていき建国する前の事。お母様一行は突如現れた危険度A以上は越えるモンスターの住み処に足を踏み入れてしまったの。勿論応戦したけどお母様がちょっとしたミスをしてしまい危うくピンチに陥ってしまいもう駄目かと思った瞬間。突如として、たまたま通り掛かった鬼神“シナ”様によって窮地を救って頂いたらしいのです」
これがシナ様のお姿を写した絵です。と、首に掛けていたネックレスを外し飾りに書かれている絵を見せてくれた。
外見は、もっぱら男。結構2枚目だな。立派な一対の角がはえ、紙はオールバックの深紅。目付きは鋭く極悪人面ってのが相応しい。赤が主体で繊細な作りの着物を着ている。
これ…どう見ても男だな。男の神を崇拝してんの?
「そのシナ様に救って頂きお母様は国を建国する際に『種族問わず男は軽蔑せし!だが、我らが救世主最強の神。鬼神“シナ”様を崇拝すべし』を国のルールとしようと即決したんです。今でもエイリュフォンの住民は、この鬼神様のみを信仰しています」
成る程…自らの命を助け、建国を成せた大恩人的な存在だし。崇拝したくなるのも必然?なんだろう。
「そのシナ様を探し出して添い遂げるとか何とか書き残して出ていったので国中が大騒ぎだったのですが、重役の人達がこの事態を解決するためにお姉様をまだ若干百二十歳ながらも国の女帝に祭り上げたんです」
エルフの寿命は長いしな。人間で言う所の1才がエルフで言う所の10才に相当すると考えると…ニエンティの姉貴はたったの12歳で一国の主にイキナリなったって訳か!?やばくね?
「そこからお姉様は変わってしまいました。女帝を支えていた家臣から毎日受ける重圧。国民の大きな期待の眼差し。女帝としてのプレッシャー。その全てが、お姉様一人の背中に…重く…重くのし掛かっているのを、当時の私は知りながら支えて事が出来ませんでした。お姉様と私は、女帝として君臨したあの日から疎遠になってしまったんです」
悲しい顔で過去を語るニエンティ。その様子を、これまた悲しい顔で見守る優達。
「そしてあれから、約百年の時が経って頃です。お姉様はすっかり女帝として板に付き様々な政策を取りこの国を政治的にも経済的にも軍事的にも発展していきました。それは…私には自分達を、国を見棄て何処にいるかも分からない神様を探して行った白状なお母様への当て付け…と感じました」
「つまり、今の国の基盤を定着させたのがアンタの姉貴で、母親は何やってたの?」
「母は、国の法律の元となるルールを幾つか定めシナ様を奉りその日その日を好き勝手に過ごしていたと家臣の人から聞いておりました」
「そんなのがウチの母親だった日にはグレるよ。俺!」
「私はともかく、お姉様は恐らく…本気でグレてるかも知れないです」
まぁそんな育児放棄紛いは戴けないよな。どこの世界でも、子供を責任を持って育てるのが親の役目だって言うのに。更には、嫌悪した男の(神様らしいが)ケツを追い掛け回すとか…
「そして…ある時。遂にお姉様は、手を出したしまったのです。誘惑に…負けてしまって」
更に険しい顔付きになっていくニエンティ。身体中がプルプルと震えている。話すのも、これ以上は辛くなるだけなのだろう。けれど、必死に彼女は言葉を紡ぐ。
「私が、そばに居れれば…お姉様が、魔族と契約する事も、無かったんです!」
「なっ!?―」
その衝撃の告白を聞き、俺は…驚愕した。
「お姉様は更なる国の繁栄の為に、何処で知り合ったかは知りませんが恐らく上位の魔族とある契約をして国を発展させたのです。私は…止めようとしたのですが…」
「魔族相手に、手を出せる訳無い…か?」
「えぇ。それにお姉様は“これは全て貴女の為だ”と言って私を地下の牢屋に幽閉したのです」
あの時の事がフラッシュバックしたのか、もうニエンティの顔は涙で滲んでいる。
「だから!私は隙を見て逃げ出しました。お姉様をたぶらかすあの魔族を倒す術を手にする為に…私は、お姉様をすくいたいんです!」
「なるへそ。そんなお姉ちゃん思いのニエンティの話に感銘受けて彼女の代わりにその魔族をぶちのめそうって言う訳か?」
「僕はそのつもりだけど…」
優は困った顔で、地香の方を向いた。その本人は、結構険しい顔をしているじゃぁありませんか。
「私は…こんなお姉ちゃん思いの子の気持ちを理解してやれないダメなお姉ちゃんに…喝を入れてやるんだ!上の子は後から生まれてくる下の子を守るのが第一の使命だってウチのお姉ちゃんが言ってたから!」
そう言えば…地香は無類のシスコンだったな。家のカーストでは第一に母親。第二にお姉ちゃんが来てから第三に父親が来る。地香の親父は、地香のお袋とお姉ちゃんに頭が上がらない程家では尻に敷かれてるのを何度か目撃している。
そんな大好きなお姉ちゃんの言葉を肝に銘じてるからこそ、今回の件は見過ごす選択肢が無いのだろう。
よしっ!今やっと分かった!!
俺が取るべき選択は…
(アルト達呼んでコイツらに同行させてから隙を見てさっさと逃げよ)
面倒は他人に押し付けるのさ!
面倒は他人に押し付けるのさ!
廻「いい言葉だ…」
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