6話 負けず嫌いな人間
さて、決着の時!
両者の技が唸るぜぇ!
ついでに師匠も登場するのだす。
(回想でな)
双方の信念が交差し、閃光が走った。目映いばかりの光が人々の視界を奪い、立ち眩む程の騒音が耳元で鳴り響く。
2人の姿も、声も、形や輪郭、気配すらも見えない状態だ。まだ、辛うじて意識があることが幸いだった。風が吹き荒れ砂利が混じり少し口に含んでしまう。
多少顔をしかめてしまうが、目を開けてみる。砂嵐が吹き荒れるがやがてだが、辛うじて周りを見ることができる様になった。勝者は誰なのか?立っているのは、影だけしか見えないがたった一人だけだ。
そこに立っていたのは……………
☆
一年前
俺はある時柔術の師匠の言葉を思い出した。
それは、一年前俺が3人の師匠達を打ち倒し、それぞれの流派の秘伝の技や奥義を正式に継承、習得し〈卑先天凰流〉と言う俺だけの独自の流派を命名された後の話だ。
俺はある日突然柔術の師匠でもあり〈昇竜天寿流〉の現師匠、九頭宮朗色。現在80歳………のはず。俺にも分からねーんだよなぁ、もっと上かも知れないしなぁ、そこは謎なのさ。
その朗色からの呼び出しを食らって俺は内心困惑と同時に嫌悪感を抱いていた。と言うより、苦手意識があるのだ。
だって、この人………超が付く程変態だからである。
入門したての新人女性門徒へのセクハラに始まり、女子更衣室に女子が着替えてる最中に突入したり、着替えた後の女子更衣室に侵入して持ち物を物色したりに止まらず、近くの女子高生達に近づいてはスカート捲りを散歩の最中にやるのが日課になっている程のエロの塊が具現化した存在。
高齢者の癖に小1のクソガキレベルの事を続けるモンだから何度警察のお世話になったか…もはや小学校1年生であろう下校中の女の子達に接触して、たまたま通り掛かった清き善人の通報によって捕まってしまった辺りから数えるのがめんどくさくなった。
こんな羞恥心と言う言葉を老化のせいで忘れてしまったのかと突っ込みたくなる程のエロ仙人だが、腕前は常軌を逸してる程の実力を持ったエロ仙人なのだ。
この人の全盛期、俺と同じ高校生から20歳の頃から常軌を逸した実力のピークだったらしい。今は衰えていて全盛期よりキレとスピードは落ちてはいるが、そんな事を思わせない位に強かった。正直、あの人に勝てたのはある種の奇跡だとも思っている。80代でも俺とタメ張るスピード、パワーを持っていた。
俺がもし全盛期時代の師匠と戦っていたら、正直な所負けていたかも知れない。
エロ化け物仙人の話し相手をしていたら、そのエロ化け物仙人の部屋に着いた。
「おぉーーー、やっときおったなぁ~~~!廻よ」
「よお、朗色師匠。んで、話しってのは?」
「あぁ、ちょっと待っとれ!」
朗色師匠が自分の部屋で相変わらず門下生達と話していた。夜中にだ。しかも内容はいつも猥談だよ。呆れるったらありゃしない。朗色はいつもの先輩門下生を部屋の外に出した。
「また夜にのぉ~~~」
「はい!女性の〇〇〇〇の魅力についての続きはその時にでもしますか!」
「そうじゃのぉ~~~」
それじゃ、と敬礼し彼らは退出した。こんな…伏せ字を入れなきゃいけない程の内容を毎晩話しているのだ。
「さて、廻よ。まずは儂らを初めて倒した事について…おめでとう…廻よ」
「まぁ、最初で最後の勝利だろうがな!」
「ホォッホォッホォッ!かもなぁ。だが、お前さんは確かに儂ら三つの流派の技と奥義を継承する資格と強さがあると儂らが保証しよう」
「………ただ褒める為に呼んだのか?」
「そう焦るでない。将来モテなくなるぞ?」
「モテなくていいわ!てか、モテる以前に問題ばっか起こしてる独り身の爺さんに言われたくねぇーなぁ!」
「ウッセェーワァー!若造がぁーーーー!!!」
「図星付かれて怒ってんじゃねーぞ、モテなくなるぞ!てか、もう手遅れだったか…」
「哀れむような目で師匠を見るな。全く………お前は儂が見てきた中でもとんでもない逸材と同時に失礼すぎる奴じゃったよ」
「うっせぇ…」
そんな憎まれ口をお互い叩き合った後、師匠がそろそろ…というか直々に話しをした。
「のう、廻よ。儂はお前さんに前々から言っておきたい事があったのを思い出してのぉ~、いい機会だからこうしてわざわざ女でもない…性格悪いお前と二人きりで、そう゛二人きりで!゛だぞ!」
何故二人きりで!を2回言ったのか輪を掛けて謎だ。少しイラッとも来る。お前、自分で呼んでおいてその言い草はねぇーだろ!と思っております。
そんで次は逆ギレでもして俺を殴りに掛かるのかと警戒していたが、そんな事はせずに落ち着いてから話を始めた。
「まぁ、これは長年者の教訓って言うか…師匠らしく、弟子に一言授けやろかなぁと…な!まぁたまにでもいいから思い出して貰ったら嬉しいかのぉ」
何からしくねぇーな。こんな性犯罪者の端くれから学べる人生の教訓は数少ないだろう。大方『こんな大人に…なるんじゃないぞ』って面会室の硝子越しに言うことしか出来ないと思っていたが。
「よいか廻。勝負ってのは…―――」
この言葉を、俺は忘れなかった。
☆
現在
煙がだいぶ晴れてきた。まずはネリアが先に気がついた。そこに立っていたのは―
「あっ、シャーロット!」
そこには剣を地面に突き立て、肩で息をしながら軽装はボロボロで、砂がこびり付いている。立っているのがやっとな状態の様だ。
「………無事………よかった………」
「やるにゃあ!やっぱリーダーにゃあ」
「ハラハラしましたよ。正直…」
他の仲間は彼女の勝利に安堵し、歓喜している。だが、アルトやネリア達は…
「し、師匠が、負けた………あの、師匠が!」
「でも、あのシャーロット相手に本気を出させた程です。十分頑張ったと思います」
アルトはあり得ないと嘆いて、ネリアは廻の勇姿に感動して(優の魅力程ではないが…)称賛している。
だが…
「皆さぁ、やっぱ廻の事ペロペロし過ぎの様だねぇ!てか、皆の方が僕より馬鹿じゃないのぉ~~~?ククッ、アッハッハッハッ!ワロスだよw」
優だけが、優だけがこんな時に頭をどっか打ち付けたのかおかしな事をほざき、笑っている。
「ユウサマ、こんな時に何を仰って―」
「廻ならこう言うと思うなぁ~」
ネリアの質問も意に介せず、そして空の方を見つめクスッとほくそ笑む。
「「周りを良く見てからモノを言え!脳味噌の中身詰まってるかどうか怪しいな!マヌケども!」」
良く見ると、地上には廻の姿形すらなかった事に気付かなかった。
そして全員が上空に目を向けると、そこには!
「俺の師匠が言っていた。『俺のルールで負けなきゃ、お前はまだ負けてない』ってな!」
上空から落ちてくる廻がいた。
☆
優の奴、言うじゃねぇか。確かに頭が足りてないのは、アイツらの方かもな。そこは同意見だ。
俺が今もこうして、空中浮遊…いや、落下の最中なのは俺が放った奥義〈四聖獣伝〉朗色が俺に教えてくれた四つの奥義の総称だ。
四つの奥義の一つ〈朱雀天昇拳〉はある構えを保ち、足を地に、拳を握り締め、地から天へと飛ぶ朱雀の様に拳を天に突く奥義だ。
でも、その程度じゃ終わらせないのが、俺のやり方。あの師匠が言った台詞の意味は、当初から考えてみたが
『解釈は勝手にせい』と投げやりな事を抜かしたから、そこは少し腹を立てたが、まぁ考えに考えた末に答えを編み出してみた。
これは俺の勝手な解釈だ。俺の勝負のルールで、俺が敗北する時は死だと考えている。相手が俺が倒れたり、気絶したりしたのを確認して俺が負けたと思ったとしても、俺が…死んでなきゃ、諦めてなきゃ、勝ちたいって思ってんなら…
勝つために俺はどんな汚い真似だってしてやる…
負けないために俺は卑怯な手を躊躇わず使う…
あの師匠が言いたかった事は多分だが…
『死ななきゃ何しても構わんから生きろ!』
てかっ、こんな解釈した俺も馬鹿かも知れないなぁ、しかし…こんな事しか思い付かなかったよ…
「全く…」
ツンデレか!っての。
だが、礼は言っとくぞ。
後、勝負にケリを付けとくか。俺はただ空中浮遊して遊んでるのではない。最後の仕上げの下準備って所だ。〈四聖獣伝〉の中でも〈朱雀天昇拳〉ともう1つコンボ技がある。もう1つの奥義を〈朱雀天昇拳〉を放った後にやると効果的な奥義だ。
空中で体制を立て直して、シャーロット目掛けて落ちていく。上手くいけば気絶位はしてくれるだろう。
「ぐっ!」
シャーロットはすぐに守ろうとするが、ろくに動けず剣を盾にする事しか出来ないようだ。
(さっきの必殺技みたいなのの反動か?何にしてもチャンスだなこりゃ!)
だが、相手もただガードするつもりは更々無く、防御を徹底しようとしている。
「【破綻障壁・十枚重ね】!」
彼女の周りに透明なドーム状の障壁が形成される。それも薄そうだが、10枚…いや、10層と言うべきかそれら重なる事に数センチにもなる厚さになった。
(これが私が産み出せるだけの障壁。それにこれを突破した者は未だにいない!)
「さぁこい!」
全力の防御で迎え撃つと言う意気込みかな。相手ももう追い込まれている寸前の様だ。だがなぁ!
「もう、止まらねぇーよ!」
これがもう1つの奥義だ。
「〈卑先天凰流柔術奥義・青龍降脚撃〉!」
右足を垂直に出し、シャーロットの頭部目掛けて踵落としの体制になった。しかも、上空からの…だ。
威力は普段のよりも桁違いだ。天昇拳であのエネルギーの塊の軌道を無理やりずらして俺は空に飛翔?して、急降下の最中に踵落としだ。
全ては計画通りだよ。
もうそろそろスピードもピークを達する。この瞬間、俺の奥義の威力は未知数となる。あの障壁を破るのが先か、破り切れずに俺の足が砕けるのが先か…
「「勝負だぁぁぁーーーーーーー!!!!」」
また衝突する2人。激しく火花を散らして、気を一瞬たりとも抜けない攻防を繰り広げる。
まずは1枚目…障壁の1つが衝突と同時に虚しく散る。その後に2枚目…3枚目の障壁が砕け散る。残りは7枚となった。
そしてすぐに4枚目も砕ける………
パリーーーンッ!
更に、5枚目…
パリーーーンッ!
6枚目…
パリーーーンッ!
7枚目…
パリーーーンッ!
計4枚も砕け散ったのだった。残りは3枚、何とも心もとなくなってしまった。
続け様に聞こえてくるまるで硝子が割れるようなパリーーーンッ!を砕ける音は、彼女の信念にヒビが入る程響いた。彼女の信念もこの様にパリーーーンッと音を成して砕けてしまうかも知れない。
だが、そんなに彼女の心はヤワじゃない。
「まだまだぁーーー!」
「うぐっ!」
彼女の【破綻障壁】の硬さは心の…信念の硬さを表している。彼女の意志が…信念が折れなければ強度はサラに増す。それこそ、鋼鉄の意志の様に…。
異変を感じたのは廻の方だ。さっきより、障壁の強度が増している感覚がした。いや、実際そうなのだろう。
(ちぃっ!メンドクセェなぁ!意志の硬さと比例して強度を増している。追い詰められてる程、彼女本来の力…恐ろしい程のネバーギブアップ精神によって強度が増して俺も骨が折れるこれ!やべぇーな。俺が相手を有利にした様なモンかねぇ)
皮肉ったらしく愚痴っちゃってはいるが、内心焦ってる。彼女は追い詰められる程力を増すタイプだと分かってはいたけど、ヤバくなったのは俺の方だな。
さっきより勢いが落ちている。8枚目にヒビが入り割る事は出来るが、残り2枚は骨が折れるわ。
彼女の精神力…集中が途切れない限り、俺に勝機はない…
だから、何だ!
それで諦めるとでも?
相手も諦めが悪いが俺の方が諦めは悪い方だぞ!
だって、勝つ為の下準備は終えているから…
後、5………4………3………2………1……………―
「……ゼロ」
俺がそう言い終わった瞬間、シャーロットに僅かな隙が産まれた。まぁ、俺がやった布石だが。
「がはっ!」
突如シャーロットは腹を片手で押さえててうずくまりかけた。俺は、3分前に《時間の修復》をした。シャーロットに腹パンかました後にだ。
3枚目がすぐ割れ、2枚目も直ぐに砕けてしまった。
「どーした?調子悪そうだなw」
「あぐっ…な、ぜ…」
「まぁ、俺が言える事としたら…俺も…お前も…」
そう、似ているよ。お前…
「負けず嫌いだからだぁーーーーー!」
最後の1枚が割れた。
パリーーーンッ!
その砕けた音がこだました。彼女の後頭部に、見事踵落としが炸裂した。
皆一同が驚愕する中、シャーロットは意識が途絶える前に俺の顔を見て…
「認め……たくは…ないけど、そう…かも…―」
バタッ!
彼女は意識を手放した。
たくっ、そんな素直じゃない所も俺に似てるのかなねぇ?
「俺も…何だか………眠く…」
バタッ!
廻も、深い眠りに入った。眠るように…力を抜き、倒れた。
この勝負、信念の強さと言うより、ただ負けず嫌い同士の争いと化したが、廻の勝利に終わった。
九頭宮朗色伝説#001
(女子高生に限る)
スカート捲りの回数・35148回
スカートの中盗撮回数・14587回
女子更衣室侵入回数・8562回
ストーカー回数・6531回
※補則、何故女子高生に限った回数かと言うと、ターゲットは主に女子高生だが、気分によってターゲットを変える事がある。それら全て含めるとなると、前文の回数を余裕で3乗位かける数になります。
その為、参考になりやすい女子高生のみを表記させて頂きます事をご了承下さい。
何かご不満な点や、質問等が御座いましたら感想にどしどしお送り願います。
後、更新が1週間の間事情により遅れる事を先に謝らせて頂きます。どうか、ご理解の程を宜しくお願いします。




