プロローグ2 商談は双方の利益を考えて…
王都だ王都だおう吐はまだだぜ!
王都か、何故なんだ?
「まずは私達が一週間の間に調べた一週間前のあの出来事について分かった事を話します」
「まぁ気になってた所もあるし、聞くぞ」
「まずは、粗相を仕出かしたオーシルスの事についてだが、アイツはある協力者を使ってモンスターを用いたの。それも、腕利きの調教師よ」
「強いのか、ソイツ?」
「最高でも調教師が扱うモンスターの数の上限以上の数を彼女は使役してるわ。それに危険度Aのドラゴンまでも使役してるとの事」
女なのか、そいつは。何とも危ない奴だな。出来ればもう、関わりたくはないけど。
「彼女の通り名は【風鈴の弓女】鈴の音が風と共に耳に響き、上空からドラゴンに乗って弓を引く少女の姿が由縁なのよ。相当に強いわ」
「へぇ~~~」
「オーシルスは彼女に取引をしたの、ある物と条件で」
「それって、何か大事なモンか?」
「えぇ、それは私の町の博物館に展示されてる超重要品《竜玉の腕輪》。それが彼女が提示した条件なの。当時のオーシルスは博物館の警備責任者だったから容易に盗めたらしいの!全く…何て事を!」
「そんなに大事なモンなのか?」
えぇ、と答え肘をテーブルに付き落ち着こうとしている。相当イライラしてるご様子だ。
「あれは、初代エルトンの者が町を龍から守り倒した時、龍の体にあった宝玉を腕輪の装飾にはめ家宝にしたの。それは代々受け継がれる大切な物なんです」
「そりゃ、一大事だな」
「そして、彼女から家宝を取り戻さなければいけません。その為、彼女の潜伏先を調べました。そしてやっと今日、吉報がありました」
「それが王都って訳か…」
「その通りです。私達はポーションを売る為の商談をしに行くと同時に貴方達にも同行をとお願いしたくて…」
「……………」
要するに、家宝の奪還を要求したいのか。人手は王都と言う位だから、広いんだろうし猫の手も借りたい程なんだろう。家宝ってのが大事なのは分かる。人の大切な物だし、相当な価値があるらしい。
だが、正直受ける気はない。そんな事は俺やアイツらには関係ないし、これはラーシャ達の問題だ。そもそも、俺達に助ける義理すらない。
だから………
「俺は受けないぞ」
「そう、ですか…いえ、そうですよね。受ける義理は貴方達にはないですもの。巻き込んでしまってすいま―」
「だが、俺は受けないってだけでアイツらはどうなのか知らねーよ!いや、大体は予想が付くからさぁ、テメーで聞きな!」
「えっ!?わ、分かり…ました」
少し動揺していたが、何とか頷いた。
「じゃっ、ちょっと待ってろ!」
「えっは、はい」
俺は一度席を外した。
☆
それから、約5分後に紅茶を嗜むラーシャの元に廻は優と地香よ寝首を持ってスタスタとやって来た。2人共、何故か白目を向いている。どうやら気絶させてからやって来たらしい。
「おら、起きろ馬鹿ども!」
「ごはっ!」「ぎゃっ!」
そんな状況に呆然となるラーシャを無視して2人を床にぽいっと放り出した。結構ゴツンッ!って音が響いたが、2人の意識は戻ったようだ。
「ん~、イッテェ~。何?廻、何かやったんなら謝るからさ!なぁ!」
「ヘルプゥ~~ヘルプミィ~~助けてぇ~!!!ジニタクなぃよぉ~~!」
必死過ぎる弁明を涙ながらに土下座をやっている。可哀想だ。だが、当の廻本人は何故か優越感に浸った顔をしている。それが、とっても怖い位に笑顔なのだ。私以外にこれを見たら絶対ゾッとするだろう。
「おい、チゲェーって、そもそもテメーらが何かヤラカシタら即座にこの世から消してるから。でも、今は生きてるだろ」
「あっ!そうだよな。でも…」
「よかったぁ~。でも…」
「「今はって、どゆこと?」」
「…黙れ」
凄みのある一括で優と地香は黙りこくりら廻はさっきまでの提案を2人に説明した。
「つー訳だ。一応テメーらにも話しておいてやった。んで、どーすんだ?」
「「う~~~ん」」
話しを終えて、優と地香は黙って紅茶をすすっていた。そして、悩んでいる。
俺の場合は面倒な事はやりたくないし、巻き込まれるのも御免なので承諾しないのを選択してほしいが、コイツらなら、絶対に…
「よし、やろうよ!」
「同じく、やるよ!」
「…やっぱかぁ」
何故コイツらを連れて来たか、それは俺の気まぐれだ。まぁそんな事しなくてものちに話しが回ってくるだろうから結論を早くに着けただけだ。まぁ、結果通りだったけどな。
「でも…廻は本当に行かないの?」
「行くか!んなもん!」
「やっぱねぇー、あっ!ふふふ…」
「?」
優の良いこと思い付いた!って言うニヤケ顔をしてやがる。どーすんだぁ!
「ねぇーラーシャちゃん!その子ってさぁ、とーっても強いのぉ~?」
「ひゃぁ!え、ええ!それは、弓術においても一流で調教師の中では最強ですよ」
ピクッ!
「………最……強……」
「おおっ!おおおおおっ!!!どーしたのかな?廻くぅん。そのフレーズに興味を示したのかな?」
「あっ、いや、ちっげぇよ!」
くそ!安すぎる挑発だってのに乗っかりそうな自分がいる。くっ、何てこった。少しだけだが興味を持ってはいたが最強…だと!
戦いてぇ~!!!
俺が最強だという証明の為。ひいては己の成長の為。ひいては本能的に。やべっ!奴の術中に嵌まってしまった。だが…その程度、抑えてみせる。
「ふっ、この程度で俺が―」
「ねぇ、ラーシャさん。王都って所には美味しいものとかないのかな?」
「えっ!?そりゃあもう、沢山名物がありますよ!」
「沢山…だと!」
なっ、何ィ!!!くっ!地香め、今度は貴様か!だが、沢山…あるのか。王都には!
「王都は、この地方…ひいてはこの世界随一の名店が並んでいると言っても過言ではない程ですよ」
「世界…随一!」
「それに、最近人気があるのは、スイーツ店ですかね。それが、とっても美味でして王都に立ち寄る際には必ず寄るようにしてる程です♪」
「ス!…スイーツ」
やべぇ…………超食いたい!
この衝動は流石に抑えられない。食に関してはうるさい方だと自分でも自負してる。そして、グルメ通だ。実際この世界の料理も食したいと何度も思った。それが、王都に行けば俺の知らない料理との出会いが…
「ジュルルルル…ゴクリ…」
「あの、どうなされました?」
「えっ、いや別に!」
ぷいっとソッポを向いた。
「廻がジュルジュル音鳴らしたぞ!」
「そして、飲み込んだ。よっしゃ!」
「えっ?」
「ほらっ!ラーシャさん!チャンスだよ。廻はねぇ、強い相手と食べ物で釣れば大抵は頷くよ!」
人の事を戦闘馬鹿かあるいは美食家か何かだと思ってんのか!だが、合ってはいる。認めたくないが。
「あの、メグル殿。取り引きをしませんか?」
「ん?あぁ!」
「メグル殿が、先程の件を受けてくれるならば、前金代りとして私の行き付けのスイーツ店の数量限定のスイーツを食べさせてあげます」
「まじか!」
「えぇ。それにさっきの件を解決してくれたら、メグル殿が満足するまで料理をお出ししましょう」
「何だって!」
「それも、王都でも選りすぐりの料理店の料理を…」
「よしっ乗った!」
勢いよくラーシャの手を力強く握手した。そりゃ、もうギュッと!握ったよ。
「あっ、ありがとうございます!」
ラーシャさんもそんなのお構い無しで力強く握り返して来た。結構強くて痛かったけど。そんな訳で俺達の王都行きは決定したが、あの勇者(笑)一行はどーしよ?ってな事を思った瞬間に…
「ユウシャマァ~~~王都に逝かれ―いや違った、行かれるのですね!」
意味不明な間違いをして、突如やって来たのはザ・ストーカーの親衛隊長ことネリアさんじゃあないですか!
「そーですけど、ネリアちゃんはどーしたの?」
「いや、あの~ユウサマが行くのであれば私も喜んで~いや、いやいやいや、グランティーアは私の故郷ですから色々ユウサマ達に案内出来るのではと!」
「おぉ!それ、名案じゃん!ん?でもさぁ、アルト君達はどーすんの?」
「その点は大丈夫ですよ」
「「「「ん?!」」」」
「私達も王都に行きますから!」
「えっ?!」
何か面倒な事になった。どーしよぉ。俺があんな…あんな…魅力的な誘いに乗ったばかりに!
プロローグは次で終わりかな。
さぁ、面倒な事の予感がプンプンすっぞ!




