コーヒーとマグカップ
「帰ったぞ!フォレン、エール!」
いつもより威勢よくあけたそのドアは付いていたベルを力強く鳴らした。
「あらっ、お帰りなさいニール」
店主はそんな荒っぽいドアの音にも驚いた様子は微塵も感じさせない。むしろこれが日常と言わんばかりの反応だった。
「エールよ、今日のフォレンの働きはどうだった?」
エールはカウンターに腰掛けると屈託の無い笑顔で尋ねた。
「そうね、フォレンにはいっぱい働いてもらったから助かったかな、それよりも、ニールはなんでそんなに嬉しそうなの?なんか良い事でもあった?」
すると、さっきの笑顔から一変、ニールの表情はまるで疑問の多い子供のような表情になった。
「そんな風に見えるか?全く気にしていなかったが…」
ニールは首をかしげながら呟く。
「なんか、吹っ切れた顔してる。」
「そうか…、自分では自覚はないのだが…エールが言うならその通りなのだろう。」
やはり、疑問は隠せないと言った顔で淡々と言葉を紡ぐ。
「そういえば、フォレンはどうしたんだ?」
「ふふっ、フォレンなら今二階で休憩中だよ。行ってあげたら?」
「いや、今はいいさ、きっとあいつも疲れているのだろう。今はゆっくり休ませてやるさ。」
「やっぱりそういうと思った。ほら飲みなよ」
エールがそういうとカウンターの奥からマグカップを二つ持ってきてコーヒーを注ぎ始めた。片方のシンプルな緑の縦ラインが入ったカップにはブラックコーヒーを。もう片方の小さな猫の描かれたカップにはミルクと角砂糖を2つほどを入れる。
ニールはその片方を受け取ると少しずつ口をつけ始めた。
「すっかり好みまで把握されているとは…さすがエールだよ」
「ニールの好み知るのって結構大変だったんだよ、それをえらそうに…」
エールはやれやれと首を横に振る。
「最初にブラックコーヒー出した時は明らかに苦そうな顔してたし、かといって砂糖入れすぎたら甘すぎみたいな顔するし、好み聞いても教えてくれないし…」
「そ、そりゃあな、人の出してくれた物にケチつけるのもどうかと思ってな。」
「まぁ、でもニールが猫のマグカップ持ってきたときはびっくりしたよ、びっくりっていうか、可愛いな、ってかんじだったかな…」
エールが少し考えながらそういうとニールは顔を赤らめてそっぽを向いてしまった。
「しかたないだろう、猫は好きだが、触れないんだから…」
「本当にかわいそうな体質だよね、猫好きの猫アレルギーなんて、天は二物を与えずってかんじなのかな…」
「もういいだろ…勘弁してくれ…」
まるで降伏したかのように両手を挙げながら呟いた。
「まだ、フォレンに猫好きなこと言ってなかったんだっけ?」
「い、言えるわけないだろ…」
と頬を赤らめながらニールはエールの頭にデコピンをした
「いてっ」
デコピンされたエールは額を押さえながら
「まったく、ニールは素直じゃないね…」
そういうと、ブラックコーヒーに口をつけていたエールからはわずかな笑い声が聞こえた。
お久しぶりです。えぇ、本当にお久しぶりです...更新空いてしまいすみませんでした。季節の変わり目の猛威とパソコンの不調には敵いませんでした...
感想を書いていただいた方ありがとうございますmUTェTUm
さて、今回は私がどうしても書きたかったところの一つです。お楽しみいただければ幸いです。
それでは、これからもよろしくお願いいたします




