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エースアタッカー

「そんなんじゃ勝てる訳ないだろ!」

酒場は珍しく荒れていた。

行き交う怒号のなか白い青白いコートを纏った彼女はそのコートとは相反した顔色で討論を交わしていた。

ここは北門攻略会議が開かれている酒場の一角。

チーム編成は下評判とランクによって難なく結成された。今はチーム編成後の作戦会議といった所だ。

ニールの所属するC班は主にメインアタックを仕事とする班で基本的に最大火力の強い者、名の通った冒険者が所属する。そして、この班はエース班としても認知されているので、参加者の注目を引ける一方、期待の高さや、仕事に対するプレッシャーは人一倍強く、更に戦闘において一番敵の懐まで入るといったことにより死亡率は他の班より数段高い。よって必然的に集まるのはよっぽどのプライドの持ち主か、拒否権のない上級ランカーしか居ないチームにもなっている。

そんなメンバーも相まって参加者同士で大きな討論が起こりやすいのもこの班である。

もはやこの討論の中ではピザやパスタを嗜む余裕などあるわけが無い。

「まぁ、ニールよ、落ち着け」

討論の間に颯爽と割っては行ってきた一人の男は少し強引ながらも場を纏め始めた。

「ですが、班長…」

ニールは落ち着いたようだったが、どこかやりきれない顔にもなっていた。

ニールが班長と呼んだこの男はニールの所属するC班の班長で、背中に背丈ほどの大剣を担いだ男で、これといってあまり特徴のない印象だが、実力は折紙付きである。剣術はもちろん、魔術、格闘術そして卓越した統率力まで持ち合わせると言った万能型である。

「よせ、ニール、班長なんて呼ぶんじゃない。自己紹介しただろ、俺の名前はヴィンセント=バレルだ。ヴィンスとでも呼んでくれとな、そっちの方が親近感が湧くだろう。」

「分かりました、それではこれからそう呼ばせて頂きます。ですが…」

ニールはそこまで言うと言葉を詰まらせた。

「しかもだ、喧嘩みたいな討論はいい結果をもたらさない、時には休憩も必要さ」

とニールの詰まらせた言葉の後を予測するように答えた。

「わかりました、ではその様にさせて頂きます。」

そう言うとニールの顔からはもうすでに火照りのような赤さは抜けていた。

「ところでニールよ、例のあの少年は明日来るのか?」

ヴィンスがいきなり話題を変えてたずねてきた

「例の少年とは?」

ニールは首をかしげて聞き返す。

「あぁっと、あれだよ、魔道師認定会で精錬魔法を使った奴だよ、あいつC班なんだろ、一度会ってみたいんだよなぁ…」

おそらく、フォレンの事だと察すると、今まで討論に費やしていたエネルギーがいつの間にかフォレンに向いていた。

大丈夫だと思ってはいてもいつの間にか頭の中で顔を思い浮かべるようになっていた。

「きっと、明日は来ますよ。早く元気になって貰わないと困りますからね。ふふっ…」

多少の願望の含んだ言い方だったことに少しの驚きを覚えたがすぐ平静を取り戻そうと思考を瞬間停止した。

「そうか、それは楽しみだな。」

ヴィンスはニールの表情を読むと何かを察したようにその会話を終わらせた。

それは丁度時計の針が1時を示す頃だった。

こんにちは、遊星歯車です。

今日は新たなキャラが出てきました、今後大事な鍵を握る...かも。

今後ともよろしくお願いします。

気に入りましたら感想、ブックマーク、評価お願いします。作者が狂喜乱舞します。

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