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【日給5万】番長の俺、生徒会長に雇われて異世界ダンジョンへ行くことになった  作者: 竹屋 兼衛門


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第七話:第二階層

俺達は、

ダンジョン内部の主道を進んでいた。


軍が整備した、

地下の軍用道路だ。


二十分ほど歩いたところで――


「止まって」


生徒会長が小さな声で言った。


どうやら、

例の第二階層へ繋がる脇道らしい。


生徒会長は、

道の左側にある岩壁の窪みへ近づく。


「ここに通路があるの」


そう言うと、

大岩へ手を掛けた。


ゴゴ……。


重そうな岩が、

信じられないほど簡単に動く。


その奥には、

人ひとりがやっと通れそうな穴が現れた。


「さあ、通って」


「こんな狭い穴を?」


俺が通れるか微妙なんだが……。


「アナタが先を歩きたいって言ったんじゃないの」


……確かに言った。


仕方ない。


俺は腹を擦りながら、

穴の中へ入る。


肩が岩に引っかかる。


息苦しい。


「っ……せまっ」


しばらく匍匐前進を続けると、

急に視界が開けた。


そこには、

広い空間があった。


地面は未舗装。


岩だらけで、

足場も悪い。


主道とは全然違う。


俺は立ち上がり、

服に付いた土を払った。


その時、

生徒会長も後ろから出てくる。


「この先が、

 第二階層へ繋がる支道よ」


生徒会長は、

さらに奥の岩を押し退けた。


暗い通路が現れる。


「さあ、行きましょう」


「はいはい」


俺達は、

第二階層へ足を踏み入れた。


◆ダンジョン第二階層


空気が違う。


湿気が肌にまとわりつき、鼻の奥に獣臭がこびりつく。


第一階層とは明らかに違う生物の匂いだ。


「なあ。

 第二階層って、

 どんな奴が出るんだ?」


「コボルト」


生徒会長は即答した。


「犬みたいな人型のモンスターね」


また人型か……。


「ゴブリンと比べてどれくらい強い?」


問題は強さ、だ。


ゴブリン程度なら、

まだ何とかなる。


だが――。


「単体ならそこまで差はないわ」


生徒会長は指を立てる。


「でも、

 集団戦が得意なの」


「集団戦?」


「囲んだり、

 投石したり、

 連携して襲ってくるわ」


……なるほど。


ゴブリンより面倒そうだ。


「軍が管理してるから、

 まともな武器は持ってないはずだけど」


生徒会長は続ける。


「その辺の石くらいは普通に投げてくるわね」


投石か。


確かに危険だ。


だが――


俺にはバットがある。


飛んできた石くらい、

打ち返してやる。


「だから、

 ちゃんと護衛してね」


生徒会長が、

ニヤニヤしながら言う。


……俺を弱いと思ってやがるな。


悔しいが、

今はこいつの方が強い。


だが、

こうも見下されるのは腹が立つ。


俺が不機嫌そうな顔をしていると、

生徒会長は肩をすくめた。


「まあ、

 コボルトは経験値が高いから」


「経験値?」


「効率良くレベルアップ出来るわよ」


また、

ゲームみたいな単語が出てきた。


だが――


ハチマキ。


安全靴。


あれだけで、

体が強くなった実感はある。


だから今は、

その“レベルアップ”ってやつを、

少し楽しみに感じ始めていた。


そんな俺の様子を見ていた生徒会長は

また面白そうに笑った。


「なんだよ」


「べっつに~♪」


……ほんと、

分からん女だ。


俺は頭を掻きながら、

再び前を歩き出した。


しばらく歩くと、

また行き止まりへ出た。


生徒会長は岩をずらし、

小さな通路を作る。


「じゃあ、

 ここへおびき寄せるわ」


「おびき寄せる?」


「そう」


生徒会長は、

バッグから細長い棒を取り出した。


「コボルト専用誘引香よ」


火を点ける。


すると、

妙な臭いが漂い始めた。


獣臭いような、

肉が腐ったような、

気持ち悪い匂いだ。


煙が、

岩の向こうへ流れていく。


生徒会長は目を閉じ、

耳を澄ませた。


「五匹……」


生徒会長の眉がわずかに動く。


「……いや、

 六匹ね」


そう言うと、

誘引香の火を吹き消した。


そして、

俺を見る。


「私が適当に暴れるから、

 最後はお願いね」


「おいおい。

 俺の仕事は護衛だろうが」


「そうよ?」


生徒会長は平然としている。


「私が攻撃されそうになったら――

 ちゃんと庇いなさい」


……随分と無茶な注文だ。


だが、

日給五万。


それだけ貰ってるんだ。


やるしかない。


「わかったよ」


俺はバットを肩へ担ぐ。


「ちゃんと守ってやるぜ」


そして、

バットを握り直した。

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