ケルト人を押し込める蓋
私がローマ兵を倒した二日後、ファーディアが泣いてしまった二日後でもあるが、私達はようやくケルト人を押し込める蓋の製作現場へとたどり着いた。
そして、ローマ兵がわらわらいて、壁を製作している奴隷のような人達がわらわら働かされる中、この目立つ私達がどうやって踏破するべきかの問題にぶち当たった。
「俺が犬に変わって暴れまわる。その隙にお前がここを超えろ。」
「エセルをあっちに行かせる目的でしょうが。何をとち狂った事を言うかな。」
「じゃあ、どうする?」
「夜もこんな感じなの?」
「あ、そうか。夜か。」
私はエセルの額をぱちりと叩いていた。
「この間抜け。」
「ミミは夜は眠るものだって言ったじゃないか。」
「物事は臨機応変でしょう。状況は刻一刻と変わるものなんですよ。」
「ミミはそうなのか?決めたら変えてはいけないものだろう?誓いは絶対なものだろう?」
「誓いと戦術を一緒にするなよ。いいですか、ここであなたと私がかくれんぼをします。探す人は十を数えなければいけません。隠れる人は一度隠れた場所から動いてはいけません。私達はそう決めました。だから、十を数えることも隠れた場所から動く事も、これは絶対に変えちゃいけない誓いです。でも、数える十を早く唱えたりゆっくり唱えたり、あるいは、隠れないで家に帰っちゃったりすることは誓いに入っていないからやってもいいでしょう。ねぇ、どうなの?」
ファーディアは私の顔を十秒ぐらい無言で見つめると、私がさっき彼にやったように私の額をぱちりと叩いた。
「痛い。間違っているの?」
「いや。ミミが正しい。ただ、俺が十を数えている間に家に帰るのは許さない。」
子供かよ。
「わかった。帰らない。ちゃんと隠れている。でもさ、探す人が探さないで帰るっていうのはどうなの?」
「それも駄目。俺が隠れていたら、絶対に見つけるまで探してくれ。」
「エセルこそ、私を絶対に見つけてね。」
私達はお互いに馬鹿なことを言っていると思いながらも、互いの右手の拳をごつんと当てて、約束だと誓い合った。
そうでもしないと不安だったからかもしれない。
目の前の障害を突破できなければ、私達は確実に死体になる。




