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これでこのお話は、すべてお仕舞いでございます。
なぜプラスチックの小鳥が喋ったのか。
そして、飛んだのか。
なんてことに、疑問に感じた方もいらっしゃるかもしれません。これは、もっともな疑問でございます。しかし困ったことに、私にも説明することはできません。ただ、そういうようことが起こったとしか、言いようがないのでございます。
男がよっぱらっていて、そういう夢をみたから……という理由でも、一応の説明をつけることはできます。実際のところも、まあ、そんな理由なのかもしれません。
小鳥は女に辿りつけたのでしょうか?
家に入れてもらえたのでしょうか?
それについても、分かりません。
少なくとも男は、その後小鳥がどうなったのかを知りません。ですので、このお話はここでお仕舞いにするしかないのでございます。
さてさて。このお話のはじめに、私はホトトギスの話をいたしました。ホトトギスは、初夏の始まりを告げる鳥であると。
であれば、こんな考え方もできるのではないでしょうか?季節の終わりを告げる鳥もまた、ホトトギスであると。
初夏から見れば、ホトトギスは季節のはじまりを告げる鳥でございます。でも逆に春からして見れば、ホトトギスは季節の終わりを告げる鳥でございます。
誰から見てはじまり、誰から見て終わったか。
たったそれだけのお話なのかもしれません。
さてさて、そろそろお時間でございます。
短い時間でしたが、お付き合い頂きまして、本当にありがとうございました。これで本当に、お仕舞いにしたいと思います。