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「ほととぎす 鳴きつる方を 眺むれば
ただ有明の 月ぞ残れる」
……なんて詩がございます。
明け方に、ホトトギスの鳴いた方に目をやります。するとそこにはホトトギスの姿はなく、ただ月が見えるだけ。
まあ、そんな風景を描いた詩でございます。
ホトトギスは、初夏の始まりを告げる鳥として、知られております。姿は見えないのだけれども、ホトトギスの鳴き声で、たしかに初夏の訪れを感じる。そんな詩だと、私は解釈しております。
さて、季節の始まりを告げる鳥がいるってことは、季節の終わりを告げる鳥なんてやつも、もちろんいるわけでございます。
そんなわけで、今日皆様にお話しさせて頂きます演目は、まさにその「季節の終わりを告げる鳥」についてでございます。
ちょっと変わった鳥でございます。
生きた鳥じゃあございません。なにしろ、プラスチックで出来ているんです。
はてさて、プラスチックでできた鳥が、いったいどんな風に季節の終わりを告げるんでしょうか?
短いお話でございます。お手元のポップコーンでもつまみながら、どうかゆったりと、最後までお付き合いください。