前へ目次 次へ PR 2/5 第2話 荷紐 目をつぶれば、あの眩しさが追ってくる。 私は何を恐れて生きているのだろう? テレビで、有罪から無罪になった男が叫んでいる。 会見で、その男の家族が「やっと」と、ハンカチで涙を拭う。 フラッシュがあちこちで焚かれる。 リモコンで画面を黒くする。 その指は震えていた。 カーテンを閉め切った部屋で、自分の呼吸音だけが広がる。 窓を開ける。 子どもの笑い声。 「また、はじまる」 明日、荷紐を用意しないと。 あの日の喉仏の感触だけが、消えない。