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第1話 信じた時間

テレビの中で、有罪から無罪になった男が声を荒げる。


「再審を原則禁止なんて言葉には、到底納得はできませんよ」


画面の中の空気が、頷きで満ちていく。


ピッ、と乾いた音がして、液晶の光が消えた。

静まり返った十畳の和室に、線香の匂いだけが微かに漂っている。


父親は、リモコンを置いたまま立ち上がり、部屋の隅の仏壇へと向かった。


並ぶ二つの遺影。


理不尽に命を奪われた娘の、幼いままの笑顔。

制服のまま止まった時間が、そのまま額縁に入っていた。


そして、「有罪」の報を聞き、ようやく報われたかのように病院のベッドで静かに息を引き取った妻の、穏やかな顔。


この人は、何を信じて死んだのだろう。

【次回予告】第2話『荷紐』


ニュースを見て震える指。あの日届かなかった「真相」と、男が用意する荷紐の意味とはーー。

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