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嫌われ者の世界征服  作者: 芋けんぴん
レッツ、世界征服!
7/8

嫌われ令嬢の石、自我がすごい

「石って言わないで。アタシには、オタっていうオーリア様がつけてくれた、世界一素敵な名前があるんだから」


その声は僕の言葉を否定することなく、要求だけ突きつけてきた。

オーリア様が持つ、ネックレスの装飾である石は、オタという名前らしい。

この世には、喋る石があるんだ…。

まぁ、そうだよな。魔法だってあるんだし。


「それと同時に、この世界の全てを操ることができる。さぁ、ひれ伏しなさい!」

「オーリア様、この石、やっぱりやばいんじゃ…」

「オーリア様をそそのかさないで!」

「2人とも、仲がいいんだね」


オーリア様に向かって声を潜める僕と、喚く石と、トンチンカンなことを言うオーリア様。

場の収集がつかなくなってきたので、一旦リセットするために、僕は咳払いをした。


「で、この、オタが、オーリア様をここまで連れてきた、ということですか?」

「そう。オタはすごいんだよ。お義姉ちゃんよりも強い魔法が使えるの」

「…へぇ」


オーリア様の言う、お義姉ちゃん、とは、ヒエナ様のことだろう。

…前世でいくら徳を積めば、僕はヒエナ様の弟になれたのだろうか。

しかし、そんなこといくら考えても意味が無い。

僕は気持ちを入れ替えて、オーリア様の話に集中することにした。


「私が捕まりそうになった時、風でロウソクの火を消してくれたのも、風でここまで私を運んでくれたのも、家を建ててくれたのも、全部オタ」

「そうだったんですね…」


オーリア様の不自然な現象は、全てこの石、オタの仕業だったらしい。

誰もオーリア様がこんなチート級の石を持っているなんて思わなかったのだから、見つからないのも納得である。

何より、この村は地図には載っていない。

オタはそれを知った上で、オーリア様をここに連れてきたのだろうか。

しかし、現在お尋ね者である、オーリア様が今ここにいるという状況は、この村を守る身としてはいただけない。


「…オーリア様、これからずっとここに住むおつもりですか?」

「ううん。旅人がここにずっと住んだら、変じゃん」

「たしかに…」


そう言えば、ここでの彼女はお尋ね者の元令嬢ではなく、旅人のリオだった。

その言葉を聞けてホッとした僕は、酷いやつだろうか。

少し罪悪感を覚えた僕は、少しだけ考えて、口を開いた。


「あの、何か必要なものや助けて欲しいがあれば、手助けしますよ」

「大丈夫。オタがいるし」

「そうよ!私がオーリア様に不自由な思いもさせないし、オーリア様のお望みも叶えてさしあげるわ。だから、貴方の助けは必要ない」


後半にかけて、オタは僕を牽制するように声を低くして言った。

この石っころ、オーリア様への執着がすごい。

どうしてそこまで、彼女に心酔しているのか分からないが、それは特に興味はなかった。

謎も粗方解けたし、この村に長く滞在するつもりもないのなら、もう聞くこともないだろう。

話をひと段落させるために、僕はまとめるように言った。


「本当に、旅人になるおつもりなんですね」

「ううん」

「え?」


否定されるとは思わず、思わず聞き返した。

今までの話をまとめると、そういうことだったではないか。

それとも、僕は何か大切なことを聞き逃したのだろうか。


「じゃあ、これからどうするおつもりで?」


目を瞬かせる僕を、オーリア様は真っ直ぐに見た。


「世界征服」


それは、夢を見る子供のように、純粋で、迷いのない瞳だった。

どうしてだか、僕はその瞳に、ゾクリと体の内側が震えた気がした。


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