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3話『一年前』

ー今から1年前にさかのぼること聖歴3673年



急に伯爵家に聖女が現れた、と新聞記事に乗るようなことが起こった。

その女の名はルイトール・アルド、一見ただの顔の良い伯爵家の令嬢だった。



彼女はなぜか教会に行った時に教会から「貴方は聖女です」と言われて聖女になった。

ただそれだけのことだったのに彼女は祭り上げられ、称えられ、多くの称賛をあびた。



彼女は何もしていない、しかし誰もが彼女が聖女だと疑わずに信じた。

一部の貴族はそう言って彼女を祭り上げる奇怪な行動を何かがおかしいと思いつつも黙ってみていることにした。

王族も教会の奇怪な行動を疑ったが表面上は何も言わずに黙って記録を続けた。



彼女が聖女になったことにより名前はルイトール・スミアルドとなった。

スミと言うのは彼女の希望でそうなったようだ。




彼女のお披露目パレードの時彼女は初めて王太子の近くにいけた。

伯爵家の令嬢だから割と不自由ない暮らしをしているがいつも彼の周りには公爵家や侯爵家の上流貴族が群がっていたため一度も話す機会がなかったのだ。

今回のパレードで一人では心苦しいだろうから、という国王の進言で王太子が横にいることになったのだ。

彼女は王太子に向かって微笑んだ。



「ごきげんよう、殿下」



普通、王族に挨拶もされずに話しかけるのは非常識だが、礼儀作法をしっかりと受けてこなかった彼女はそのことを知りもしない。

まったく笑った表情を変えない彼はその表情のまま言う。



「ごきげんよう、貴方は元気そうだね。そうか、良かったね。私は仕事をしているから疲れているんだ」



と彼は彼女が「お加減は大丈夫ですか?」と聞こうとしたのを先回りで答えた。

その言葉を聞いた彼女は「仕事をして疲れたということは私に癒してほしいっていうことよね」と勝手に勘違いして彼に向かって微笑みながら手を組んだ。



「そうなのですね...では、神のご加護があらんことを」



と彼に向かって祈った。

彼は笑みを深めて言う。



「ああ、ありがとう。さすが、聖女だね」



彼にそう言われた彼女はその言葉をポジティブにとらえて「少しでも疲れが取れたのなら良かったです」と言う。

完全に満足した彼女はその後に王太子がぼそりと呟いた言葉を知らない。







「...ああ、そうだね、君の言葉のおかげでまた疲れが増したよ。さっきのは『ああ、私の言葉を勝手に貴方の足りない頭で変換したみたいで加護をくれたことに関してはありがとう。さすが、聖女と言われるだけあるほどの脳がお花畑な人だったのだね』という意味を込めていったのだけどね。君はやっぱり気付かなかったか、聖女を婚約者になんて話が出てきていたけど私は絶対貴方とは結婚、いや、婚約もしたくないね」

『聖歴3764年 闇の月』コンプリート率:3/10

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