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四章 10 『貧困区域』


 翌日、進藤は王都でセシリアと合流した。セシリアから事情を聞かされたルイズも一緒だ。占い師リサを訪ねる為にクラウド家当主のリチャードの元を尋ねたがその姿はなかった。代わりに応対したのは息子のデミウスだ。


 「え?父さんかい?ちょっと父さんは今は私用で王都にはいないんだよ」

 「そうだったのか・・・ちなみにデミウスは占い師リサのことは知ってるかい?」

 「あー・・・以前父さんが話してた人だね。悪いけど俺は直接的な関りは無いんだよね。その人がどうかしたのかい?」

 「ちょっとその人に会いたいからまたリチャードさんの協力を得たかったんだけどいつ帰ってくるのかわかる?」

 「残念だけどちょっとわからないね」

 「そっか・・・わかったよ。もし帰ってきたら教えてくれるかい?」 

 「わかったよ!その時はすぐに連絡するよ!」


 クラウド家を後にした進藤達。こうなったらリチャード抜きでリサの所に行くしかない。薄っすらだけど道は覚えてる。馬車を手配してセシリア達と共にリサの所へ向かった。


 「そのリサって人本当にこっちの方にいるの・・・?」


 馬車で向かう道中セシリアが不安そうに進藤に尋ねてきた。


 「ああ、確かこっちの方で間違いないはずだけど・・・どうかした?」

 「ううん・・・ただ、確かこっちは貧困区域で王都の中心に比べると治安も危ないところもあるって聞いたことがあるの」

 「そういえば確かに街並みは正直廃れた感じはあったけど、治安が悪いような気はしなかったけどな?セシリアは来るの初めてなのか?」


 セシリアはこくんと頷いた。


 「本来セシリアお嬢様がここに来ることは禁じられています。ただ今回は事情が事情ですので私も許容しますが・・・くれぐれもケイデス様の耳に入らないように気を付けてください」

 

 ルイズが念を押すように言った。


 「そうだったのか・・・それは悪かったな。そんな事情があるのなら俺一人でも良かったけど?」

 「ッ!?駄目よそんなの!これはサラスにとって大事な事なんだから!私だって最後まで責任もって付き合うわよ!健一に押し付けたりしないんだから!」


 セシリアが興奮気味に言った。それだけサラスの事を思っているのだろう。セシリアの一生懸命さが伝わってくる。


 「そっか・・・」

 「・・・何笑ってるの?」

 「いいや、別に何でもないよ・・・とりあえずこの辺りだったような気がするんだけどな」


 進藤が馬車から顔を出して辺りを見渡す。なんだか以前来たところと似ているような違うような・・・はっきりした目印があったわけではないのでぼんやりとした記憶でしか確認しようがない。


 「うーん・・・たぶんこの辺りだったような・・・一回馬車止めて降りてみよう。セシリア達は馬車に乗っていてくれ」

 「健一大丈夫・・・?」

 「ちょっと見てくるだけだからさ。すぐ戻ってくるよ!」


 進藤は馬車を路肩に止めて降りた。とりあえず微かな記憶を辿ってリサが居たであろう方角に歩き出した。


 「なんかこの建物見覚えがあるような・・・こっちだったかな」

 

 次の瞬間、進藤の頭に激痛が走った。


 「!?痛っ・・・!!」

 「おら!抵抗するな!金目の物出しなっ!!」


 前に倒れそうになりながら進藤が後ろを確認するとそこには角材を手に持ったすこし瘦せこけた男の姿があった。どうやら進藤は角材でこの男に殴られたらしい。物盗りの類のようだ。


 なんとか倒れる寸前のところで踏みとどまった進藤。頭を押さえながら男と距離をとる。


 「イってぇな・・・!殺す気か!!」

 「うるせぇ!!死にたくなければ金出せ!」

 

 男は手に持った角材を振り回している。


 くっそ・・・!こんなところでこんなやつの相手してる場合じゃないっていうのに!


 武器を持って暴れている男を前にどうするか進藤が考えていたその時、突然目の前に人影が現れた。


 「やめなさい!!お金ならあげるからこの人に危害を加えないで!!」


 そこにいたのはセシリアだった。進藤の前に両手を広げて立って男に向かって叫んでいる。


 「セシリア!!何やってんだ!危ないから離れろ!!」

 「いいえどかないわ!この人の目的はお金なんでしょ!このままだと健一が危ないわ!お金で済むなら私がなんとかするから!」

 「セシリアお嬢様!!」


 ルイズが慌てて馬車の方から走ってきていた。おそらくセシリアが一人で行動したのだろう。じゃなければルイズがこんな危険なことをセシリアにさせるわけがない。


 「へへ・・・!女か!これまた極上そうな女じゃねーか!お前らみたいなやつらのせいで俺らがこんな生活をする羽目になってるんだよ!少しは責任取って俺にいい思いさせやがれぇ!!」


 男はセシリアを見てさらに興奮気味に叫んだ。セシリアに対しても角材を振り下ろそうとする勢いだ。


 「セシリア・・・!」


 進藤がセシリアを庇うように男の角材を受け止めた。男の振り下ろした角材は進藤の頭を再び直撃した。


 「ぐっ・・・!」

 「健一!!」


 セシリアの叫び声が聞こえる。しかし殴られた衝撃で進藤の意識は朦朧としていた。


 やべぇ・・・!このままじゃセシリア達が・・・!


 しかし進藤の意図とは別に体の力が抜けていく。


 殴られた進藤は意識を失った。




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