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四章 9 『選択』


 「ちょ、ちょっと!!声が大きいわ!サラスが起きちゃうじゃない!」


 驚きの声を上げる進藤の口を慌てて抑えるセシリア。そーっとサラスの方を確認する。サラスは気持ちよさそうに寝ているようだった。


 「・・・良かった」

 「わ、悪い・・・それでさっきの言葉、本当なのか?」

 

 セシリアの注意を受けて声のボリュームを下げる進藤。

 

 「絶対に・・・とは言えないけどね。昔、私のおばあちゃんに聞いたことがあるの。この世界には人を神にも悪魔にも変えてしまうような不思議な力があるってね」

 「不思議な力・・・それってギフトの事なのか?」

 「多分ね・・・私も幼い時に聞いた話だから確証を持って話すことは出来ないの」


 残念そうにセシリアが言う。


 「そっか・・・そのセシリアのおばあちゃんは今は?」

 「残念だけど、5年程前に死んじゃったの」

 「そうだったのか・・・ごめん」 

 「そんなに謝らまらなくても良いのよ。でもサラスの話を聞く限り普通の人間が湖で死んじゃったからって女神になるなんて・・・絶対特別な力が働いていると思うのよ。おそらく呪縛の一種のような・・・」

 「それじゃ、セシリアはそのサラスにかけられた呪縛を解いてやれば再び普通の人間に戻れると思っているのか?」

 「・・・」


 進藤の問いにセシリアは沈黙で答えた。何か言いにくそうな様子だ。


 「・・・セシリア?」

 「戻れるかもしれないし・・・もしかしたら戻れずに死んでしまうかもしれないわ」

 「っ!?死ぬかもだって!?」

 「だって考えてもみて?今のサラスは一度は死んだのだけどギフトによってその体と意識を保っているだけかもしれないのよ?その力を解いたら・・・」


 その先の言葉を発することをセシリアはためらっていた。すべて言わなくても進藤にも理解できた。


 確かにセシリアの言うとおり女神であることが呪縛であるのならそれを解けば人間に戻れるかもしれない・・・だが、一度死んだ人間をこの世に繋ぎとめるだけの力ならばその力が無くなれば『死んだ』という結果だけが残されるかもしれないのだ。


 「・・・一種の賭けということか」

 「でも、もしこれでサラスが死んじゃって二度と会えないなんてことになったら私・・・」

 

 不安な表情を見せるセシリア。


 「だから俺だけに話してくれたんだな、ありがとうセシリア話してくれて」

 

 進藤は軽くセシリアの頭をポンポンと叩いた。


 「健一・・・?」

 「確かに今は不確かな情報だから、サラスには聞かせない方が良いだろ。でも俺はもしサラスが元の人間に戻れる方法があるなら戻してやりたいと思うんだ」

 「それはどうして・・・?」

 「だってサラスは今のまんまだとずっとこの湖で過ごさなきゃならないだろ?俺らは年を取るけどサラスはあのままだ・・・俺らと会うまでもサラスはずっと一人でここで過ごしてたみたいなんだ。そんなの寂しすぎるだろ?だから俺はサラスの呪縛を解いてやれるなら解いてやりたいんだよ」

 「で、でも・・・!もしかしたらサラスが死んじゃうのかもしれないのよ!?」

 「だからその方法がはっきりしたらさきちんとサラスに話そうぜ?そしてサラスにどうしたいか聞こうぜ?それからどうするか決めても遅くはないと思うぜ?」

 「健一・・・そうね!まずはきちんと情報を集めることが大事よね!やっぱり健一に話して良かったわ!」


 進藤の話を聞いて少しは気が楽になったようだ。セシリアに笑顔が戻った。


 「とにかくギフトの事についてはまだ知らないことが多すぎるな」

 「誰か詳しい人がいれば良いんだけど・・・」


 セシリアの言葉に進藤はある人物を思い浮かべた。


 「ギフトに詳しそうな人・・・俺、一人だけ心当たりがあるよ」

 「え?それって誰?」

 「リサだ!占い師リサ!あの人ならもしかしたら何か知っているかもしれない!」

 「・・・リサ?」

 

 どうやらセシリアはリサの事を知らないようだった。キョトンとしている。


 「リチャードさんに紹介してもらって一度だけ会ったことがあるんだよ。多分ギフトに詳しい感じだったから話だけでも聞いてみる価値はあるはずだ!」 

 「そうなの!?」

 「ああ・・・!そうと決まれば明日にでも早速会いに行ってみよう!」

 「ええ!そうね!」

 「・・・うーん・・・あれ?私寝てたの・・・?」

 「!?」


 気持ちよさそうに寝ていたサラスがムクッと体を起こした。


 進藤とセシリアはアイコンタクトを取り合ってこの話は止めた。


 「よ、よう・・・やっと起きたかサラス?」

 「あーん!せっかく皆が来てくれたのに私ったら寝ちゃってたわ!起こしてくれたら良かったのに!」


 無念そうなサラス。


 「その・・・あんまり気持ちよさそうだったからな!まあそんなに気にするなよ!またゆっくり話せる時間はあるからさ」

 「ホント!?」

 「ええ!本当よ!私達もまた来るからね!」

 「そうですね。私もまたゆっくりお話ししたいと思います」

 

 セシリアが笑顔で言った。ルイズもそれに同調する。


 「アイリスも!アイリスもまた来るよ!」


 アイリスも負けじと声を上げる。


 「み、みんなぁー・・・・!」


 その様子に再び泣きそうになるサラス。


 「コラコラ、あんまり泣くといくら女神でも枯れちゃうぞ?」

 「な、泣いてなんてないわよ!これは・・・そう!欠伸のせいよ!」


 強がるサラス。だがその表情には嬉しさが滲み出ていた。


 それからサラスに別れを告げて進藤たちは湖を後にした。サラスがいつもより名残惜しそうに手を振り見送ってくれた。


 「それじゃあ明日またセシリアの家に迎えに行くからな」

 「ええ。わかったわ」


 そして再び会う約束をして進藤もセシリア達と別れて家に帰った。


 


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