四章 3 『交錯』
「えっと・・・デート・・・ですか?」
聞き間違いの可能性も捨てきれない進藤は聞き直した。
「そ、そうよ!デートよ!ほら!この前言ってたでしょ!?また王都に一緒に行きましょうって!だからその・・・また一緒にお出かけしたいなって・・・ダメかしら?」
セシリアがモジモジしながら言う。
「あ!そういうことですね!それなら全然構いませんよ!いやー、いきなりデートって言われたからビックリしてなんか変に身構えちゃいましたよ!」
「あら、そ、そうだったの!?それは私の言い方が悪かったかしらね!?ね!?ルイズ!?」
「はぁ・・・セシリアお嬢様もお嬢様ですが進藤さんも進藤さんですね・・・」
何故か不満げなルイズがため息を漏らす。
「進藤お兄ちゃんまた王都に行くの・・・?」
隣にいたアイリスが不安そうに聞いてきた。ついこの間まで長いこと留守にしていたのでまたいなくなるかもと心配しているのかもしれない。
「え?そうだね。あ!そうだ!今度はアイリスも一緒に行こうか!?この前の王都は色々とあったし改めてってことでさ!ね?セシリア、アイリスも一緒にいいかな?」
「え?あー・・・うん!そうね!全然いいわ!私もアイリスちゃんと一緒にお買い物とかしたいもの!」
謎の若干の時差はあったが快諾の返事を貰えた。
「ホント!?私も一緒に行って良いの!?やったぁー!!」
再び王都に行けると知って嬉しそうなアイリス。前回はダリアのせいで後味の悪い王都となってしまったのでその思い出を塗り替えたいと進藤は考えていた。
「良かったなアイリス。もちろんルイズも一緒に行くんでしょ?」
「いえ私は・・・」
そう言ってルイズの視線がセシリアの方へ動いた。セシリアが無言で何回も顔を縦に振っている。それを見てルイズがやれやれと言った表情を見せた。
「・・・そうですね。セシリアお嬢様をほっとくと何をしでかすかわかりませんので保護者的な存在でついて行くとしますね」
ルイズの言葉を聞いてセシリアが安堵した表情を見せていた。
「それじゃあ王都に行く日にちはいつにしますか?」
「日にち!?あ、そうね!日にちね!えっと・・・それじゃあ三日後でどうかしら?」
「三日後ですね?俺は全然構いませんけど・・・シルバ!三日後にアイリスと一緒に王都に行っても――」
進藤がすべて言い終わる前にシルバが離れたテーブルから親指を立てて答えた。
「もちろんいいとも!思う存分遊んできなさい!なんなら泊ってきても構わんぞ?」
「もうあなたったら!気が早いんじゃないの!?ウフフ・・・」
なにやら嬉しそうなシルバとセリカの様子に少し疑問を抱いた進藤だったが了承を得られたのでまずは良しとした。
「・・・?ま、まぁ許可も貰ったことだし、それじゃあ王都で待ち合わせでいいかな?あ、でもそれじゃあ人が多くて待ち合わせが難しそうだからセシリアの家まで行った方が良いかな?」
「え?私のですか!?私のお部屋に来てくれるんですか!?嬉しいんですが、あまりにも急すぎて・・・」
「・・・セシリアお嬢様。嬉しさのあまり耳が馬鹿になってますよ。進藤さんは私達の屋敷まで迎えに来てくれると言ったのです」
「あ!そうだったわね!でも、私から誘ったのにお迎えに来てもらうなんてなんだか悪い気がするのだけど・・・」
「ハハハ・・・それは全然構いませんよ。それじゃあ三日後に迎えに行くのでよろしくお願いしますね」
「はい!お待ちしてますわ!」
笑顔でセシリアが答えた。王都に行く約束を交わしたところでセシリアとルイズたちが馬車に乗って帰って行った。気のせいかセシリアの足取りが軽やかになっていた気がした。
セシリア達の乗っていた馬車を見送る進藤。見えなくなるまでセシリアが馬車から身を乗り出して手を振っていた。
「あらら、あんなに体を乗り出しちゃって落ちたらどうするんだか・・・」
セシリアの様子を見て心配をする進藤。
「進藤お兄ちゃん、あのセシリアさんって人の事好きなの・・・?」
一緒に見送っていたアイリスが突然聞いてきた。
「え!?いきなりどうしたんだアイリス?」
「だって、進藤お兄ちゃんなんだか嬉しそうに話してたしもしかしたらそうなのかなぁって」
「ハハハ、まさか。そんなこといったらセシリアに怒られちゃうよ。ちょっと最近セシリアは色々とトラブルに巻き込まれていたからね。あんな風に普通に話してる姿を見てたら安心しただけだよ」
「本当に?それだけなの?あんなに綺麗な人なのに?」
「うん?まぁ確かにセシリアは綺麗だな。だからあんなに綺麗な人に俺なんかじゃ釣り合わないよ」
「ふぅーん・・・そうなんだ。それじゃああのルイズさんって人はどうなの?」
「ルイズ?ルイズも良い子だよ。少し口の悪いところはあるけど根は真っすぐで素直なんだよ。多分アイリスと同い年くらいだと思うしアイリスもきっと仲良くなれると思うぞ?」
「私じゃなくって進藤お兄ちゃんのことだよ・・・!」
アイリスはなんだか納得のいかない様子だった。
「ど、どうしたんだいアイリス?」
「もう、なんでもないよっ!それよりも三日後の王都楽しみだね!」
「そうだな。今度はきっと最後まで楽しい時間を過ごせると思うよ!それまでは精一杯お家のお手伝い頑張らないとな!」
「うん!そうだね!」
そう言った進藤達はセシリア達を見送った後で再び庭の草むしりに精を出したのだった。




