四章 2 『赤面の誘い』
「いやーうちも随分華やかになったもんだなぁ!」
「本当ねっ!アナタ!こんなに綺麗な人達を連れてくるなんて進藤君も隅に置けないわねぇ?」
「いやー別にそう言うわけでもないんですが・・・ハハハ・・・ハハ」
アイリスの父であるシルバと母親のセリカが嬉しそうに会話をしているが進藤はそれどころではなかった。
四角いテーブルには席が6つ。シルバとセリカは少し離れた窓際でニヤニヤしながら進藤の方を見ていた。
テーブルの席は向かい合うように3席ずつ用意してあるのだが、なぜか現在進藤の右側にアイリス、左側にセシリア。そして向かい合う席にルイズといった状況に置かれていた。
「あのーこの席順はなんか不自然じゃないでしょうか・・・?」
「あら?そうかしら?まあ、たしかにこれじゃあなんだかルイズが仲間外れみたいだもんね」
「いやそうじゃなくてね?セシリアさん今日はなんか変じゃ――」
「セ・シ・リ・アでしょ?もう呼び方忘れちゃったのかしら?」
意地悪そうに言うセシリア。これには進藤もたじたじである。
「あ、そうでした・・・セシリア」
「うん。それでいいのよ!フフフ」
「セシリアお嬢様・・・少しはしゃぎすぎですよ」
「あらルイズ、ごめんなさい。確かにちょっと浮かれちゃってたわ」
ルイズに注意されて少し冷静さを取り戻したようなセシリア。そんなやりとりを見ていたアイリスが進藤の服の袖をツンツンと引っ張る。
「ねぇねぇ、この人達は進藤お兄ちゃんと一体どういう関係なの?」
「うん?それはね、えっと・・・なんて説明したらいいかわからないんだけど、まあ俺が王都で迷子になっていた時に声をかけてもらって知り合ったんだよ」
「あ、そうなんだね・・・良かった。てっきり進藤お兄ちゃんの恋人なのかと思っちゃったよ・・・」
進藤の答えを聞いてアイリスが安堵したように呟いた。
「どうしたんだアイリス?」
「う、ううん!なんでもないよ!そっか!進藤お兄ちゃんを助けてくれた人たちなんだね!お姉さん達、進藤お兄ちゃんのことを助けてくれてありがとうございます!」
何かの誤解が解けたアイリスがセシリア達に礼を言った。
「いえいえ、私たちのしたことなんて健一にしてもらったことに比べたら些細な事よ。それよりも今、私たちの事をお義姉さんと呼んでくれたのかしら!?」
「え?ええ・・・はい。お姉さんと言いましたけど・・・?」
「きゃー!ルイズ聞いた!?お義姉さんですって!これってもうそういうことで良いのかしら!?」
なぜかテンション高めのセシリア。アイリスはそんなセシリアを見て戸惑っている。
「セシリアお嬢様。さすがにそれは頭の中がお花畑過ぎます・・・」
ルイズが呆れ気味に言う。
「もう・・・ルイズったら、わかってるわよ。ただこんな可愛い子にお姉さんなんて呼ばれたらやっぱり嬉しいじゃない?」
いじけるセシリア。
「そんな可愛いだなんて・・・!どうしよう進藤お兄ちゃん!こんな綺麗な人達に褒められちゃった!」
今度はアイリスが顔を赤らめて照れている。進藤の右腕を強めに引っ張る。若干関節を逆に極められている。
「イデデデ・・・!アイリス痛い・・・!」
「あっ!ごめんなさい!嬉しくってつい・・・」
「ハハハ・・・なんだこの状況は?」
いまだにこの状況になれない進藤。引っ張られて歪んだ襟を直した。
「さてと・・・健一をからかうのはこれくらいにしといて・・・」
セシリアが満足したように腕を上に伸ばしながら言った。
(やっぱりからかってたんかい!)
進藤は心の中で突っ込む。
「それじゃあ今日来た本当の理由を言うわね・・・」
セシリアは姿勢を整えて進藤の方を改めて向きなおした。何か言いにくそうな表情をしている。
(ん?なんだろう?またガウェンの事で面倒ごとに巻き込まれているのか・・・!?)
進藤の脳裏を一瞬よぎった。セシリアが深呼吸をして口を開いた。
「・・・ふぅ。ヨシッ!」
覚悟を決めた様子のセシリア。進藤は固唾を呑んでセシリアの言葉を待った。
「私と・・・その・・・・デートしてくれないかしら!?」
「・・・はい?」
(もしかして俺まだからかわれてる・・・?)
しかしセシリアの表情は真剣そのものだった。




