三章 8 『未来視』
「さて・・・アンタは自分のギフトを改めて理解したところでこれから一体何をしようってつもりなんだい?」
自分の力を改めて認識して驚いている進藤にリサが問いかけた。
「・・・え?いや、別にこれと言って考えていませんでしたけど・・・?」
「はぁ・・・これだけの力を持っていて何も考えていないなんて宝の持ち腐れってやつだね。その気になればこの王都の・・・いや、世界中のパワーバランスを覆すことだって出来るんじゃないのかい?」
進藤の気の抜けたような返事に呆れ気味のリサ。
「そ、そんな怖いこと考えてもいませんよ!正直言って今もこういう力があるって説明されても実感だってわいてないし・・・」
「・・・そんなもんかねぇ?まあ本人がそういうなら私がそれ以上とやかく言うことは無いね。それじゃあギフト診断も終わったことだし私の仕事は終わりだね?支払いはリチャードで良いんだね?」
「ああ、もちろんだとも。毎度君には色々世話になっているからね!いくらでも希望の金額を言ってくれて良いよ!」
「・・・そうだねぇ」
リサはそう呟いて少し考え込んだ。
「今回は金は要らないよ。その代わりアンタの髪の毛を少し貰おうか?」
「俺の・・・髪の毛!?」
リサは進藤の毛髪を要求した。
「そんなに驚いた顔しなくてもいいじゃないか。何も全部の髪をよこせと言ってるんじゃないよ。少しばかり切って貰うだけさ」
「はぁ・・・まあそれくらいなら別に良いですけど。なんでまた俺の髪の毛なんですか?」
「それは・・・私の趣味みたいなもんさ。まあ悪いようにはしないから安心しな」
「趣味・・・ですか?ハハハ・・・」
髪の毛を集める趣味って・・・やっぱりこのリサって危ない人なんじゃないのか?こんな場所に住んでるし・・・何かヤバい人と関わってしまったんじゃないかと進藤は不安になった。
「ハハハ、進藤君。そんなに怯えなくても大丈夫だよ。言動はアレかもしれないがリサは良い人だよ。それは私が保証するよ!」
リチャードが進藤の肩に手を置き言った。まあリチャードがそこまで言うのならそうなのだろうと進藤は少し安心した。
「まったく・・・ヒドイ言われようだね。せっかく人がタダでしてやろうって言うのに・・・それじゃあ、アンタの髪を少し貰うよ」
そう言ってリサはハサミを取り出して進藤の髪を少し切った。切られたのが目立たないように切ってくれたのはリサの気づかいなのかもしれない。リチャードの言うことも説得力を増した。
「さ、これで私の役目は終わりだよ。用が済んだらさっさと帰んな」
「久しぶりに会ったというのに冷たいなぁ。せっかくだからお茶でもどうだい?」
「ふん・・・私は色々と忙しんだよ。そんなに私と話がしたいなら最高級の場を用意してから言うんだね」
「そうか。ならその時は是非、最高の場を設けさせてもらおうか」
そう言ってリチャードは笑みを見せた。
「やれやれ・・・アンタは相変わらずだね」
「それはお互い様だよ。それじゃあリサ、また来るよ!」
「ふん・・・」
リサは終始素っ気ない態度を見せた。しかしリチャードはそれに対してどうこう言うつもりは無いようだ。一体二人はどういう関係なのだろうと進藤は不思議に思っていた。
リサの部屋を後にした進藤。外に出るとさっきまで快晴だった空模様は不穏な曇り空に変わっていた。
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進藤たちが帰って一人になったリサは小さな部屋で何やら儀式のような準備をしていた。暗い部屋に蝋燭を灯して地面に魔法陣のようなものが描かれている。その中心に先程切った進藤の髪の毛を置いて水晶玉に向かって何か投影しているようだった。
「さてと・・・本人には自覚は無いようだけど実際の所はどうなんだろうねぇ」
リサは水晶玉を覗き込んでいる。そこに映された何かを見て驚いたような表情を見せる。
「これは・・・!フフフ、そうかい。これはまた面白いことになりそうだねぇ」
映し出された何かを見てリサは楽しげな笑みを見せた。
「神にも届きうるギフトの所持者・・・進藤か。どうやら当分退屈はしないで良さそうだねぇ」




