三章 7 『ギフト名判明』
机越しにリサと向かい合うように座る進藤。緊張からか肩に力が入っている。そんな進藤にリチャードが優しく声をかけた。
「進藤君、そんなに緊張しなくても大丈夫だよ」
「す、すいません!なんだかこういうの慣れてなくて」
まるで今から面接でも受けるかのような緊張の仕方だ。
「まったく私を何だと思ってるんだか・・・それじゃあさっそく始めるよ」
そう言ってリサは進藤に目を閉じて両手を向けた。ゆらゆらと手のひらを動かして何かを探っているかのような仕草をしている。
その間進藤は身動き一つせずただじっと構えていた。
「ん?・・・これは・・・」
リサは何か違和感を覚えたような声を漏らしている。それが進藤の不安を煽っていた。そして少ししてリサがため息をついて目を開けた。どうやら終わったらしい。
「はぁ・・・本当にどういうつもりなんだか」
不満そうに呟くリサ。
「彼のギフトはどうだったんだい?リサ」
「アンタ一体どこの貴族・・・ってわけでもなさそうだね。こんなギフト今まで聞いたことも見たこともないよ」
「そうか、君でも初めて見る類のギフトなんだね・・・」
リチャードとリサだけでどんどん会話が進んでいって進藤は置いてきぼり状態だ。
「え?え!?何か俺の力、マズかったですか・・・?」
「いや・・・マズイなんてことはないね。むしろ至高のギフトって言っても良いんじゃないかい?ただ私も初めて見るギフトだ。ギフトに名前を付けるとしたらそうだね・・・『解析創造』ってところかね」
「『解析創造』・・・?」
リサの口から出た進藤のギフト名。今までは錬金術(仮)だったのだが、リサにギフト名を言われても進藤はイマイチ理解できずにいた。
「そう、アンタ自分で自由に物を作ったり消したり出来るんだろ?試しに何か出してみなよ」
「ええ、まあ・・・それならとりあえずこんな感じで」
そう言って進藤はリサの目の前に使い慣れた工具を作り出した。
「へぇ・・・実際に目の前で見て見ると便利なもんだねぇ」
進藤の能力を見て感心した様子のリサ。
「ただ一見なんでも自由に作れるように見えるその力も制限がある。それはアンタが作り出そうとする対象について理解をしていることが大事なようだね。試しに・・・そうだね、この水晶玉と同じ物を作ってみてくれるかい?ただし手で触れたりしては駄目だよ」
そう言ってリサは進藤の前に一つの透明な水晶玉を置いた。大きさは直径20センチくらいの水晶だ。
「これと同じ物を・・・?」
戸惑いながらも進藤は目の前に置かれた水晶玉を観察する。見た目はほとんど透明で形は球体・・・重さは・・・わからない。材料はガラスか?もしくは何か特別な石なのか?手に取っていないのでわからない部分もある。なんとなく脳内でわからない部分を補完して作ってみようとした。
リサの置いた水晶玉の隣に似たような水晶玉がノイズ混じりに現れようとしていた。
「おぉ・・・?これは!?」
リチャードが驚きの声をあげる。
「・・・これでどうだ!」
見た目はそっくりな水晶玉が進藤の目の前に二つ並んでいる。
「とりあえず形にはなったみたいだね・・・それじゃあ手に取って持ってみてごらん」
「はい・・・あれ!?」
リサに言われるままに二つの水晶玉を手に持った進藤は驚きを隠せなかった。見た目はそっくりな水晶玉だが違いは明らかだった。
進藤の作り出した水晶玉の方はガラス製でスカスカで軽い。しかしリサの用意した方は見た目以上にずっしりと重かった。
「わかったかい?その水晶玉は一見ガラスに見えるかもしれないが特別な石から削り出された逸品なんだよ。素人では見ただけでは判断が出来なかっただろ?」
「え、ええ・・・リサさんに触るなって言われたのでわからない部分は想像で補ったんですが、全然違う物が出来てしまいました。」
「それがアンタの能力の重要な所さ。作ろうとした対象のことを良く理解しなければ作り出すことはできない・・・まあ逆に理解さえしてしまえば何でも作れちゃうわけなんだけどねぇ」
そう言ったリサは呆れたような顔だった。さらに続ける。
「多少の制限はあっても十分に釣りの帰ってくるギフトだと思うけどねぇ?こんなのまるで神の領域の力だ。そんなギフトなんて聞いたこともないよ」
「便利な力だとは思っていたけど、まさかそこまで凄いものだったなんて・・・」
進藤は今まで何気なく使っていた自分に与えられた力の凄さについて再認識した。




