三章 2 『両手に花・・・?』
偶然にも再会を果たしたセシリアとルイズ。セシリアは相変わらず高そうな服を着ている。今日はサラサラした生地の白のワンピースを着て同じく白の日傘を右手に持っている。ルイズは変わらずメイド服を着用している。
「あ!あなた達はあの時の親切な人達!あのときは助かりました!」
進藤は道を教えてもらった時の礼を言った。
「いえいえ、そんなお礼を言われるようなことはありませんわ。それでクラウド家には無事たどり着けたのですか?」
「ええ。おかげさまで!」
「では、ここ最近のクラウド家周辺の騒ぎの原因はあなただったのですか?」
ルイズが進藤に厳しい目線を向ける。どうやら進藤が起こした騒動のことを知っているようだ。
「ハハハ・・・いやーそれはなんというか・・・」
ルイズの問いに言葉を詰まらせる進藤。
「もうルイズったら。別にそんなことどうでもいいじゃない!困ってるじゃないの・・・えっと・・・」
「あ!進藤です!そういえばまだ名前を言ってませんでしたね!」
「進藤さんね!確かに、私達も自己紹介がまだだったわね?私はセシリアよ!それでこっちの目をいつもつり上げて怒ってるみたいな表情をしているのが私の付き人のルイズよ」
「セシリアお嬢様・・・余計な情報があるようですが」
「あら?そうだったかしら?」
不機嫌そうなルイズにすっとぼけるセシリア。
「セシリアさんにルイズさんですか。二人はこのあたりに住んでいるのですか?」
「そうよ。まあ私たちの屋敷はここから少し離れた場所にあるの。進藤さんはまたクラウド家に用事があったの?」
「まあ、そんなところですね。もう用事は終わって帰るところだったんです。セシリアさん達は一体何をしているのですか?」
「私たちは天気もいいからこうして散歩をしてたところなの。突然外に出たくなっちゃってね!私って思い立ったらすぐに行動しちゃうの!でもそのおかげで素敵な出会いがあったわ!」
「素敵な出会い・・・?」
セシリアの言葉に進藤はキョトンとした。
「そうよ!それは貴方に出会えたことよ!今日はなんだか貴方にまた会えそうな気がしてたの!私ってツイているみたい!」
「はぁ・・・俺との出会いが素敵って・・・?」
嬉しそうにグイグイ話すセシリア。進藤はセシリアの勢いに圧倒されていた。
「これが素敵と言わず何と言えるのかしら!貴方と出会ったことで私は王都を逆立ちで一周しなくて良くなったんですもの!」
「逆立ちで王都一周!?そんなことするつもりだったんですか!?」
「フフフ、今日あなたと出会えなかったらするつもりだったんですよ?」
驚く進藤にセシリアは悪戯っぽく微笑む。
「出会える自信があったくせに何をおっしゃいますやら・・・白々しい」
「ルイズー??心の声が漏れてるわよー?」
「失礼しました。これからは心の中に留めておきます」
不満そうな表情を見せるルイズ。相変わらず付き人なのにこの言動と態度。一体どういう立場なんだと進藤は不思議に思った。
「本当にこの子たら正直なんだから!フフフ、まあそこが可愛いんですけどねー?」
不満そうなルイズを見て満足そうな表情を見せるセシリア。
「随分仲が良いんですね・・・それじゃあ俺はこの辺で失礼させてもらいますね」
「あら?もう行ってしまいますの?」
「ええ。帰る前に王都でお土産とか買って帰りたいですし・・・」
「お買い物!?それは素敵ね!良かったら私もご一緒してもいいでかしら!?」
進藤の言葉を聞いてセシリアが目を輝かせた。そんなセシリアを見てルイズはやれやれと言った風にため息をついている。
「えぇ・・・!?一緒にって俺とですか・・・?」
「もちろんそうよ!それともご一緒だったらご迷惑だったかしら・・・?」
「あ!いや、そんなことは無いんですけど・・・!その・・・俺なんかがお二人と一緒にいても良いんですか?」
見るからに上品そうな服を着て付き人を従わせて歩くセシリアはほぼ貴族と思って間違いないだろう。この世界での貴族の立場を考えれば庶民である進藤がセシリアと一緒に人通りの多い王都に行けば何かしらの騒ぎになるかもしれない。
「ん?どういうこと?私と一緒だとなにか問題があるのかしら?」
「セシリアお嬢様・・・少しはご自分の立場を理解した方がよろしいかと・・・」
「もうっ!いいのよ!私がそうした方が良いって感じちゃったんだから!きっとあなたと一緒にお買い物したほうが何かいいことが起きると思いますもの!だから是非ご一緒させてもらって良いかしら?」
ルイズの言葉にもセシリアは引こうとしない。
「はぁ・・・まあセシリアさん達がそれでいいなら俺は別に構わないんですけど・・・」
セシリアの勢いに折れた進藤。道を教えてもらった恩もあるし無下に断るわけにはいかない。
「ありがとう!私と一緒にいればきっと進藤さんにも良いことがあるはずですわよ?」
「そ、そうなんですか・・・?」
セシリアの言葉にも正直嫌な予感しかしない進藤であった。
「ええ!きっとそうよ!ではさっそく王都に行きましょう!」
ご機嫌なセシリアに半ば強引に連れていかれるように進藤はアイリス達へのお土産を買うべく王都の大通りにセシリアとルイズと共に向かうことになった。




