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三章 1 『再会』


 カーン!カーン・・・ドッドッドッ・・・!


 王都の貴族区域の中に騒々しい音が聞こえる。クラウド家の敷地内で進藤が新しい家を建て直している最中だった。敷地を囲むように防音壁を立て周りからは中の様子がわからないようになっている。


 急に現れた謎の建造物に周りの貴族と思われる人の姿がチラホラ見える。一体何事だろうと中の様子を伺おうとしていた。防音壁の外にも見張りを立てリチャード達に協力してもらい中の様子を見えないようにしてもらっていた。


 進藤の能力をあまり公にはしない方が良いというリチャードの助言を受けての措置だ。


 「凄いな・・・みるみる家が出来上がっていくぞ」


 進藤の仕事っぷりを見て感心しているリチャード。


 「ねぇ!進藤!あれ!あれ絶対つけてよね!あのシルバの家に会ったトイレ!あれ絶対欲しいよ!」


 テンション高めに要求しているデミウス。シルバの家での最新のトイレを体験してすっかり虜になっていしまっていた。


 「わかってるよデミウス!リチャードは何か新しい家の要望はあるかい?」

 「そうだな・・・それならばゆっくり仕事のできる書斎が欲しいな。静かな環境で仕事がしたいんだ」

 「おっけー!それなら完全防音の部屋を用意しよう!」

 

 リチャード達の要望を取り入れながら屋敷の立て直しを進めていく。脳内に描いた設計図通りに材料を作り出して組み立てていく。またトイレなどを使えるようにするために今回は敷地内にあった井戸を整備してポンプで水を吸い出して屋敷内の水道環境を作り出していった。


 外観は周りの屋敷に溶け込むように意識してこの時代にあった西洋風にした。しかし中身は完全に別次元の設備だ。


 完全断熱使用の外壁。LEDの明かりに床暖房。エアコン空調設備や大理石の浴場にと至れり尽くせりの豪邸を用意した。屋敷を壊してしまった進藤なりの罪滅ぼしを兼ねて進藤の考えられる最大限の豪邸を用意した。ちなみに電気は太陽光発電システムを導入しており屋敷の設備全ての電力を賄えるようにしてある。


 約一週間ほどかけて新居が完成した。


 「・・・ふぅ、やっと出来上がったぜ!さすがにこのサイズの屋敷を作るのは時間がかかったな。っていっても普通に建てるなら数か月はかかる規模か」 


 完成した屋敷を見上げ余韻に浸る進藤。


 「本当に君一人で屋敷を完成させたようだね。まさかここまで凄いとは思わなかったよ」

 「スッゲー!もう中見てもいいの!?」

 

 完成した屋敷を見て感心しているリチャードと興奮気味のデミウス。


 「ああ。もう中に入ってもいいぜ!俺の全力のプレゼントだから良く見てくれよな!」

 「わかった!早速行ってくるよ!」


 子供のような笑顔で屋敷の中に走っていくデミウス。


 「やれやれデミウスめ・・・頭はキレるのだがまだまだ子供のような部分があるからな。あいつも」

 

 少し呆れたように言うリチャード。


 「でもそれがデミウスの良いところでもあると思いますよ?それにあんな風に喜んでもらえるなら俺も作った甲斐があるというものですよ。リチャードさんは俺が屋敷を案内しますよ」

 「フッ・・・そうかもな。それではよろしく頼むよ」


 リチャードを連れて新しい屋敷の中を案内する進藤。さまざまな新しい設備の使い方も説明した。その一つ一つに目を見開き驚いた様子のリチャード達。


 「おぉ・・・!これが君の言っていた完全防音の部屋か!この静かさ、これなら心置きなく仕事に集中出来そうだ!」


 進藤の用意した防音室が気に入った様子のリチャード。デミウスも最新のトイレを気に入った様子でトイレの個室に籠り中から気持ちよさそうな声が漏れていた。


 「素晴らしいよ進藤君!正直ここまでの屋敷を用意してくれるとは思いもしなかった!君の力は本当に素晴らしいものだ!心から礼を言う・・・!」


 一通り説明を終えたリチャードが心の底から感動したように進藤に礼を言った。


 「気に入ってもらえたようで何よりだよ」

 「いやいや、これほどの屋敷を建ててもらったのだ。一体いくら払えばいい?我が家の資産で足りるだろうか?」

 「そ、そんな礼だなんて良いですよ!これは俺が好きでやったことですし、もとはと言えば屋敷を壊したのは俺なんですから」

 「そんなわけにはいかない!ここで何もしなければクラウド家末代までの恥になってしまう!なんでもいいんだ!何か願いを言いてくれないか?」

 「うーん・・・」


 リチャードに言われ考え込む進藤。何もいらないって言ったら怒られそうな雰囲気まで感じる。


 「何か決まったかい?」

 「えっと・・・すいません。正直今は何も思いつかないので、思いついた時にまたお願いしてもいいですか?」

 「そうか・・・思いつかないのならとりあえずは仕方ないな。だが良いかい?絶対に忘れずに何でも言ってくれよ?」

 「わ、わかりました。その時は是非頼らせてもらいますよ」

 「ああ、楽しみに待っているよ。それとこの前馬車の中で話した君のギフトの件なのだが占い師リサの所にはいつ行くか決めたかい?」


 屋敷の再建に夢中ですっかり忘れていた。この不思議な力を調べてくれる占い師とやらのことを紹介してもらっていたんだった。


 「あ・・・そうですね。とりあえずは一回シルバたちの待つ家に帰りたいと思います。しばらく戻ってないので心配しているかもしれないので。それでまた落ち着いたらリチャードさんを訪ねさせてもらってもいいですか?」

 「そうだな。そんなに急いでいくこともないだろう。その時はいつでも来ると良いさ」

 「ええ、ありがとうございます」


 リチャードに礼を言ってアイリス達の元に帰るべく屋敷を後にした。


 「進藤ー!!ありがとうねー!」


 デミウスが窓から手を振り見送ってくれた。


 「さてと・・・王都で何かアイリス達にお見上げでも買って帰るか」


 疲れた体を背伸びしながらほぐし王都の中の大通りに向かって歩いていた進藤。少しして背後から声をかけられた。


 「あら?あなたはいつぞやの迷い人ではありませんか?また道に迷っているのですか?」

 「え?」


 進藤が振り返るとそこには以前会ったセシリアとその付き人ルイズの姿があった。



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