二章 18 『進藤の決意』
「さっきのメイドが教えてくれたのはこっちだったよな・・・」
夕暮れの中、ダリアの取り巻き達と遭遇しないように注意を払いながら先程ルイズが教えてくれた方へ進んだ。
「・・・お!あった!さっきの場所はあそこだな・・・ん?あれは見張りか?」
進藤のことを諦めたのか幸運にも取り巻き達と再会することはなかった。無事ダリアの屋敷に戻ってくることが出来た。到着した時には日も暮れ夜になっていた。街灯は無く屋敷の中の明かりが外に漏れている。屋敷を囲むように松明を灯している屋敷もあった。夜の見張りと思われる騎士風の格好をした男たちがクラウド家の入口に二人立っている。
「さすが貴族だな・・・これじゃあ正面突破は無理か」
門番の姿を見て真っ当なやり方は諦めた進藤。屋敷の周りをコンクリートで作られた塀があった。高さは2メートルと少しくらい、進藤が手を伸ばしても塀に手をかけることは出来なかった。中の様子を確認することも出来ない。
「無駄に高い塀だな・・・仕方ない、やるか!」
進藤は塀にハシゴを作り出して立てかけた。
「よっと・・・夜で助かったわ。この暗さならバレないだろ」
はしごをよじ登り塀を越える。塀を越えた先は手入れの行き届いた庭が広がっていた。屋敷の内側に降りた進藤、忘れずにはしごを消し去る。
「さてと・・・あのボンボン貴族は何処かな?」
敷地内に忍び込んだ進藤は足音を立てないように気を付けながら屋敷に近づいた。
「・・・お?ここから中に入れそうだな」
屋敷に近づいた進藤は、屋敷の壁に喚起の役割を持っているであろう開口部分を見つけた。鉄格子がはめられている。
「仕方ない・・・どうせ玄関から入っても追い返されるのが目に見えている。ここは強行突破と行きますか」
社畜時代の経験から建物を構造を熟知している進藤。屋敷の壁にもはしごをかけ鉄格子に手をかける。
「なるほど・・・これはこうして・・・そしてこうすれば・・・よしっ、外れた!」
手慣れた手つきで鉄格子を外し屋敷の中に潜入することに成功した。大人一人がほふく前進で進んでいけるほど大きさの穴を頭にヘッドライトを作り出して前を照らしながら進んでいく。
少し進んだところで屋敷の一階部分の天井裏に出ることが出来た。天井に慎重に穴を空け下の様子を伺った。
「・・・誰もいないな。ダリアの奴はどこにいるんだ?」
ダリアの姿を求めながら屋敷の天井裏を這いずり回る進藤。すると声のする場所にたどり着いた。なにやら騒がしい様子だ。
「お?声がするな・・・この声はもしかして・・・」
進藤が聞き覚えのある声のする部屋の天井にたどり着き小さな穴を開けて下を覗き込む。そこにはダリアとその取り巻き達の姿があった。どうやら食い物や酒を並べて宴会を開いているようだ。
「いた・・・!あいつら呑気に酒なんて飲みやがって。しかしここからどうしたものかな・・・」
天井裏からダリア達の姿を眺めながら考え込む進藤。このまま下に現れたところで昼間の二の舞になるのは目に見えている。
そんな中ダリア達のいる部屋からの会話の話題が切り替わった。
「それにしてもよ!昼間のあの野郎、とんだ腰抜けだったな!」
「ホントホント!次、見つけたら土下座させてやるよ!」
「ガハハハ!あんな見事な逃げっぷりは初めてだったな!」
取り巻きどもが進藤のことを馬鹿にしているようだった。
「いいかお前ら、今度あいつを見つけたら絶対に捕まえろよ!俺のことをお前呼ばわりさせたことを絶対に後悔させてやるんだ!」
「おう!任せといてくださいよ!ダリアさん!」
取り巻きが気前よく返事をした。ダリアはさらに続けた。
「それとなあの野郎を捕まえたら、この前一緒に歩いていた女のことを聞き出せ」
(女・・・?アイリスのことか?)
進藤はダリアの言葉を聞き逃さないように聞き耳を立てた。
「女・・・?ああ、ダリアさんが突き飛ばした女のことですかい?」
「そうだ。田舎臭い女だったが、見た目はそれなりだったからな・・・あの男を拷問でもして居場所を吐かせてこの屋敷に連れてくるんだ!そしてこの屋敷で俺専用の付き人として面倒見てやるぜ!フヘへへ!」
下品な笑い声をあげているダリア。
「ダリアさんも物好きっすね!」
「貴族である俺に仕えることが出来るんだ、あの女もその方が幸せに決まっている!たっぷり可愛がってやるよ!」
「ハハハ!その時は俺らにも楽しみ分けてくださいよぉ?」
「フン・・・俺が飽きたら好きにするがいいさ!」
『ガハハハ・・・!』
進藤はクソみたいな会話に反吐が出そうになった。そして進藤の中でアイリスのことを侮辱するようなダリア達の会話を聞いて決意が固まった。
「こいつら・・・!話付けるだけで済まそうと思っていたがもう絶対に許さねぇ!」
怒りに身を震わせる進藤・・・
・・・・・・
進藤の心の中で考えがまとまった。
ヨシ・・・この屋敷ごと解体しちまおう。




