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二章 16 『貴族区域』


 シルバの去った後、進藤は商人を捕まえてダリアのことについて聞いた。


 「なあ、ちょっといいか?さっきのダリアってやつはどういうやつなんだ?」

 「なんだいアンタは?今からセリの準備で忙しいんだが・・・?」


 商人は仕事の邪魔をされたことで少し不機嫌に答えた。


 「ちょっとだけだから!さっきシルバからタダで牛を貰っただろ?そのお代かわりに答えちゃくれないか?」

 「アンタ、シルバの知り合いかい?あいつには本当に申し訳ないと思ってるよ・・・」

 「どうしてシルバの牛を買い取れないんだ?ダリアが関係しているんだろ?」

 「ダリアってアンタ貴族を呼び捨てにするなんて、どれだけ怖い物知らずなんだ!?」


 商人は慌てて周りをキョロキョロしてダリアの姿がないか確認していた。そしていないことを確認して声を小さくして進藤に言った。


 「ふぅ・・・いいかい?あのダリアは正直そこまで大したやつじゃないんだ。あんなやつただの世間知らずの子供みたいなやつなんだ・・・」

 「じゃあ、どうしてなんだ・・・?」

 「それはダリアの一族・・・クラウド家がこの市場に対して権力を握っているからなんだよ!」

 「クラウド家・・・?それがあのダリアの家柄なのか?」

 「そうさ。クラウド家に市場での商売を禁止されたら私達商人はひとたまりもないよ!」

 「それであのダリアにシルバの牛を買わないように指示されているのか?」


 進藤の質問に商人は肩を落とし申し訳なさそうに答えた。


 「・・・ああ、詳しくはしらないが先日ダリアが突然やってきてね。カルバートの名を持つ者からの仕入れを一切禁止するなんて言い出したんだ。それを破った商人は今後市場の使用を永遠に禁止するなんて無茶言い出して・・・でも私たちはこの場所を追い出されたら生活できなくなっちまう。シルバとは昔からの付き合いだ・・・しかし私は・・・!」


 商人も葛藤してたのかもしれない。商人にもそれぞれ生活がかかっているのだ。進藤は商人のことを責めることは出来なかった。


 「そっか・・・経緯はわかったよ。おっちゃんも板挟みできつかったんだな。それじゃあダリアに会うにはどうしたらいいんだ?どこに行ったら会える?」

 「会うって・・・アンタ一体どうするつもりなんだい!?」

 「そりゃあ、こんな理不尽な事辞めさせるに決まってる。ダリアに直接会って話をするんだよ」

 「まさか貴族であるダリアに直接言いに行くつもりか!?アンタもどうなるかわからんぞ!?」


 進藤の言葉を聞いて焦っている様子の商人。それだけこの世界で貴族というものがどれだけ権力をもっているか伝わってくる。


 「大丈夫さ。俺はこの世界の貴族なんて怖くないからな!あんな奴に比べれば会社で働いていた時の上司の方が何倍も怖かったからなぁ・・・」


 社畜時代を思い出す進藤。毎日上司から罵声を浴びせられていた時代を考えれば、別にダリアに歯向かったところで進藤が仕事を失うわけじゃない。


 「貴族が怖くないって・・・アンタ何者だよ?」

 「俺?うーん・・・とりあえず通りがかりのただの元社畜だよ」

 「しゃ・・・ちく?なんだいそれは?」

 「お、俺のことは別にいいからさ!おっさんから聞いたなんて絶対言わないからさ教えてくれよ!ダリアの居場所を」

 「アンタ・・・」


 

 進藤は商人に頼み込んだ。進藤の熱意に負けた商人はダリアの家の場所を教えてくれた。王都の中に貴族だけが住むことを許された地域があるようだ。


 「ありがとよ!おっさん!また会おうな!」


 商人に簡単な地図を描いてもらい市場を後にした進藤。


 商人に貰った地図を頼りにダリアの家を探す進藤。しばらくしてそれらしき場所に到着した。王都の大通りがら離れた場所に区画された地域があった。


 「地図でいうならこの辺りか・・・」

 

 その一戸一戸の家がとてつもない敷地を持ち見たこともない豪邸がずらりと並んでいた。時折その区画の住人と思われる人が通ったが、その身なりからも裕福な人間だろうと予想できた。


 「どれだけ金かけて建てたんだこのあたりの家は?日本で建てるならどれも億は下らないだろ・・・」


 進藤は豪邸の凄さに驚いていた。そしてダリアの家を探し歩いていた。


 「えーっと・・・たしか地図だとこの辺かな・・・ん?」

 「・・・それでよー!ハハハ!」


 進藤の背後から聞き覚えのある声が聞こえて来た。振り返るとそこには取り巻きを連れたダリアが下品な笑い声を挙げながらこちらに歩いてきていた。


 「・・・いた」

 「ん?なんだお前?・・・ってお前、確かあのくそオヤジと一緒にいた奴だな・・・?」


 進藤に気づいた様子のダリア。



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