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二章 14 「アイリスの相談」


 サラスを王都に連れて行った翌日、進藤の部屋にアイリスの姿があった。


 「あのね進藤お兄ちゃん・・・相談があるんだけど」


 深刻そうな表情でアイリスが切り出した。


 「アイリスどうしたんだい?そんな暗い顔して・・・?」


 いつもと違うアイリスの様子に進藤も心配になった。


 「実は・・・お父さんのことなんだけど・・・」

 「シルバ?シルバがどうかしたのかい?」

 

 どうやらアイリスの父、シルバについての相談だったようだ。

 

 「うん・・・お父さんどうも最近様子が変というか・・・何か隠してるんじゃないかなって思って」

 「変・・・?何かあったのかい?」

 「ここ最近なんだけど、たぶん牛とかの出荷がうまくいってないみたいなの・・・」

 「牛・・・?それって定期的に王都に売りに行ってるやつのことかい?」

 「そうなの・・・進藤お兄ちゃんがいない時も王都に何頭か牛を連れて行ったのだけど馬車に乗せたまま帰ってきちゃったの」

 「・・・そういえばこの前もそんな状況があった気がするな」


 アイリスの相談で進藤は以前シルバが勘違いしたと言って牛を馬車に乗せたまま帰ってきていた時のことを思い出した。


 「そうだ!あの時は市場の日にちを間違えてたとか言っていたけど、まさかそんなに何回も間違えるはずないよな・・・?」

 「うん・・・お父さんが市場の日を間違えるなんて今まで一回もなかったことなの!だから私、お父さんが何か隠してるんじゃないかと思って。こんなことお父さんに聞けないし、お母さんにも言えなくて・・・だから進藤お兄ちゃんしか頼れないの!」


 アイリスが意を決したように懇願した。どうやら相当シルバのことを心配しているようだ。


 「確かに・・・あのしっかりしたシルバがそんな間違いするはずないよな。それじゃあ牛を持って帰ってきていることの原因は王都の市場の方にあるのか・・・?」


 そう言って進藤は考え込んだ。


 牛を持って帰ってくるということは市場で売れなかったからだ。でもシルバの持っていった牛に不備があったとは考えにくい・・・ということは市場で何かしらトラブルが起きている可能性の方が高いだろう。


 ここで進藤はあることを思い出した。それはあの時王都で揉めた貴族を名乗るダリアの存在だった。


 「まさか・・・あいつが関係しているのか?」

 「・・・?進藤お兄ちゃん心当たりがあるの・・・?」

 

 進藤の様子を察したアイリスが不安そうに尋ねてきた。


 「いや・・・ちょっとね。これは王都に行って確認してみる必要があるな」


 進藤はアイリスにダリアのことは言わなかった。アイリスにとってあの時の思い出は忘れたいことだろうしもしあの事が原因だと知ればアイリス自身を責めるかもしれなかった。


 まだあくまで可能性の一つの段階だ。不用意に不安にさせる必要はないと考えた。


 進藤は立ち上がりアイリスの赤毛の頭をポンポンと軽く撫でた。


 「大丈夫だよアイリス。俺が王都に行ってきて調べてくるからさ!任せといてくれよ!」

 「うん・・・進藤お兄ちゃんお願い!お父さんを助けてあげて!」

 「ああ!」


 進藤はアイリスと約束を交わした。


 それから数日、進藤はアイリス共に手伝いをしながらシルバが馬車に牛を乗せて王都に行く日を待った。


 いつもはどこに行くのか伝えていくシルバがまるで王都に行くのを悟られないようにでもしてるような動きで馬車に牛を乗せて王都に出発するのを確認した。


 「やっぱりおかしいな・・・シルバらしくもない」


 シルバの不自然な行動に気づいた進藤はシルバが出発したのを確認してその後をばれないようについていくことにした。


 「それじゃあアイリス、俺はシルバを追って王都に行ってくるよ。もしかしたらしばらく帰ってこないかもしれないからその時はうまくごまかしておいてくれないか?」

 「うん・・・進藤お兄ちゃん無理はしないでね?」


 不安そうなアイリス。


 「俺は大丈夫だよ。王都のことは俺に任せてアイリスはシルバが帰ってきたら優しく迎えてやってくれよ」

 

 進藤は優しく微笑みアイリスを安心させようとした。


 「・・・うん!お父さんじゃだけじゃなくて進藤お兄ちゃんのこともいつでも待ってるからね!」

 「ああ!絶対帰ってくるからさ!それじゃあ行ってくるよ」


 そう言い残した進藤は馬にまたがりシルバの後を追った。アイリスは進藤の姿が見えなくなるまでずっとその場から離れようとせず見送ってくれていた。


 「さてと・・・どうやら今度の王都は楽しくデートなんてお気楽な物じゃなさそうだな」


 進藤は嫌な予感を感じつつもシルバの後を追って王都を目指した。




  

 

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