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二章 7 『優先すべきは』


 騒ぎに気づいたのか進藤たちの周りには人だかりが出来始めていた。しかし進藤はそんなことには気にも留めずダリアという男だけを睨んでいた。


 「さあ!早くこの子に謝るんだ!」

 「なんだお前?誰に向かってそんな生意気なこと言ってると思ってるんだ?あん?」


 ここにきてダリアは強気な口調になった。なにやら自信満々な様子だ。ダリアの取り巻きの男たちもクスクス笑っていた。その様子がさらに進藤の怒りをヒートアップさせる。


 「お前が誰かなんて関係ないんだ!アイリスに一方的にぶつかっておいてその態度はおかしいだろ!」

 「へッ・・・どこの田舎者か知らないが俺はこのロマリス国でも上位に値する貴族だぞ!?なんで貴族の俺がいちいち頭をさげなきゃならんのだ?お前ら平民は俺らのおかげで生活出来ているんだ。逆にお前らが俺に頭を下げるべきだろうが!」


 トンデモ理論を言い出したダリア。どうやらこの男はそれなりに身分の高い人間のようだ。おそらくダリアはどこかのボンボンで他の男たちはその権力に群がる取り巻きなのだろう。勝ち誇ったように進藤の方を見ている。


 しかし進藤にはこの世界で貴族とやらがどんな立場かも良く知らない。貴族という言葉を聞いたところで怯む様子はなかった。


 「だからお前が貴族とかどうとか関係ないんだよ!悪いことをした方が謝るのが当たり前だろ!」

 「な、なにぃ!?」


 自らの立場を明かしても少しも怯まない進藤を見てダリアが少し動揺していた。周りの野次馬たちがざわつき始めた。


 「お、お前!俺が貴族と知ってなお頭を下げろというのか!?」

 「当たり前だ。俺はアイリスを傷つけたお前を許さない!」

 

  進藤は一歩も引かない姿勢を見せた。おそらくこんな反発をされるとは思ってもなかったのだろうダリアは歯ぎしりをしながら怒りの表情を見せる。


 「グギギ・・・!お前のような無礼者は初めてだ!お前!名を名乗れ!どこの田舎者だろうと俺に楯突いたことを後悔させてやる!」


 顔を真っ赤にして叫ぶダリア。


 「し、進藤お兄ちゃん・・・もう私のことは良いから、ね?もう気にしてないから。落ち着いて?」

 

 アイリスが進藤の腕を掴み落ち着かせようとなだめた。


 「アイリス・・・でも、こいつのせいでせっかくアイリスの買った薬が台無しになったんだよ?」

 「う、うん・・・でも薬はまた買えばいいから。ここであの人に楯突いて進藤お兄ちゃんになにかあったらその方が嫌だよ・・・!」


 心配そうな表情を見せるアイリス。やはり一般市民が貴族に楯突くというのはマズイことらしい。 

 

 「ふん・・・どうやらその小娘は理解してるようだな。さあお前はどうなんだ?俺は寛大なんだ。お前が今ここで土下座するなら今までのことはなかったことにしてやってもいいぞ?」


 ここにきて調子づいたダリアはまたトンデモ要求をしてきた。自分のことを棚に上げて進藤に頭を下げろと要求してきたのであった。


 「に、兄ちゃん!今のうちに謝った方が良いぞ!」


 野次馬の一人が進藤に向かっていった。どうやら進藤の身を案じての発言のようだ。


 「なんで俺が・・・っ!?」


 進藤の腕を掴んでいたアイリスの力が強くなった。見れば今にも泣きそうな顔をしている。おそらくこの騒ぎの責任を感じているかもしれない。しかし進藤に謝ってくれと言うわけにもいかずどうしていいかわからないようだった。その不安が進藤にも伝わった。


 自分のせいでアイリスにこんな表情をさせてしまったのかと進藤は思ってしまった。


 俺がここで土下座すればこの騒ぎは収まりアイリスも安心してくれるのだろうか・・・?俺が意地を張ってこのダリアとかいう男に頭を下げさせる必要はなかったのか?


 心の中で葛藤する進藤。優先すべき答えは出た。


 そうだな・・・俺がここでさっと謝ればこいつらもどっか行くだろうし、アイリスも怖い思いをしないで済む。俺が頭を下げれば・・・


 悲しいかな人に頭を下げるのは慣れている。進藤は半ばあきらめたような感情で土下座しようと片膝をつこうとした。


 その様子を見たダリアが満足そうに汚らしい笑みを見せた。

 

 「ハッ・・・!最初からそうしてればいいんだよ!さあその額を地面にこすりつけろ!ハハハ・・・!」

 

 ダリアとその取り巻きどもが笑い声をあげている。


 屈辱だ・・・しかしアイリスの為ならばどうでもいいことだ。さっさと終わらせてしまおう・・・


 そう思った進藤。


 「君が頭を下げる必要はない・・・」

 「・・・え?」


 頭を下げようとした進藤の肩を後ろから掴まれた。聞き覚えのあるその声に振り返るとそこにはシルバの姿があった。


 


 

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