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二章 2 『地味だけど大切な事』


 「じょう・・かそう?」


 聞きなれない言葉を聞いたアイリス。頭の上にクエスチョンマークが見える。


 「浄化槽さ。それがあればこの嫌な臭いの元を失くすことが出来るんだ!」

 「そんな凄いものがあるの!?」


 進藤の言葉を聞いて目をキラキラさせるアイリス。


 本来進藤は湖から引っ張ってきた水道を家の中に繋ぎたかった。そのほうがわざわざ外に水を汲みに行く必要がなく一番楽だからだ。しかしそれは出来なかった。


 その原因が『排水』の問題である。水を出せば必ずどこかに出した水を流さなければならない。これが綺麗な水なら問題ないのだ。


 綺麗な水ならその辺の地面にでも流せばそのうち浸透していくし臭いもない。しかしそれが生活排水となれば話は別だ。そんなものを家の周りに無造作に垂れ流せば悪臭がするし変な病気になりかねない。


 だからまだ進藤は家に直接水道を繋ぐことをやめた。


 この排水の問題をクリアすればいくら水を流そうが気にしなくても良くなる。


 そのために必要なものが浄化槽と呼ばれる物だった。詳しい仕様はまた後述しよう。


 「まあね。そのためにはまず初めに場所を決める必要があるな」


 そう言い進藤はアイリスの家の周辺を歩いた。そして良さげな場所を見つけた。家の西側の少し空いたスペースがある。ここなら今までのトイレよりもすぐそばになりトイレをするのも楽になるだろう。


 「こんな近くにトイレを作るの・・・?」

 

 アイリスが心配している様子だった。やはりまだあの臭いの発生源が近づくことには抵抗があるようだ。


 「そんな顔しなくても大丈夫だって!もう臭いもなくなるんだし、ここなら近いから楽になるでしょ?」

 「う、うん。まあそうもそうだね」


 それからシルバたちにトイレを新しく作る許可を貰った。そしてさっそく工事を始めた。


 ショベルカーで穴を掘り始める進藤。縦、横共に3mほどの広さで地面を掘り上げる。必要な深さは2m弱程、大人がすっぽり入ってしまうほどの深さを掘る。


 あっという間に穴を掘り切った。やはり機械の力は偉大だ。これをスコップで掘ろうと思えば2,3日はかかってしまうだろう。アイリスもみるみる深くなっていく穴を見て驚いていた。


 「進藤お兄ちゃんが動かしてるショベルカー・・・っていうの?ホント凄いね!こんな大きな穴があっという間に出来上がっちゃったよ!」

 「まあね!これがあればどんな落とし穴だって作り放題だぞ?まあそんな危ないもの作らないけどな!」

 

 次に穴の底を綺麗に均していく。これが結構大事な作業である。底がボコボコだと浄化槽を設置した時に上手く処理できなかったりする。


 そして綺麗に均した地面に用意したセメントを広げていく。これは重い浄化槽が沈んでしまわないための処置だ。アイリスと二人で地盤を整えていく。


 「なんだか泥遊びしてるみたい!」


 ほっぺに土をつけながらアイリスが笑っていた。アイリスはこういう汚れるようなことも抵抗がないようだ。幼い時から家の手伝いをしっかりしていたおかげだろう。


 地盤が完成したら進藤は穴に向かってイメージを固めていく。この穴に設置したい浄化槽のイメージだ。大きさ、必要な機能などを一つ一つ丁寧に想像していく。


 進藤の脳内で徐々にしっかりしたイメージが出来上がっていくのがわかる。


 「・・・きたっ!」


 水道工事の時にわかったが、進藤は想像したものを実態出来る瞬間を察知できるようになっていた。何度も反復して行った結果だろう。


 次の瞬間、掘り上げた穴の大きさに丁度いいサイズの浄化槽が現れていた。見た目は超巨大な四角いタンクに見える。タンクの上部に丸い蓋が付いている。これは中の点検を行うときに必要な蓋だ。タンクの中には水が満水になっている。しかし中に入っている水はただの水ではない。


 この水の中には微生物が存在している。この微生物がタンクの中に入ってきた生活排水の汚れを分解して浄化してくれるという代物だ。


 「これが進藤お兄ちゃんの言っていた浄化槽っていうのなの?」


 目の前に現れた浄化槽を見て尋ねるアイリス。突然現れた浄化槽を見てもあまり驚かなかった。おそらく進藤の不思議な力もこういう物だろうと納得してくれているのかもしれない。まあその方が色々聞かれるよりも気が楽で助かる。


 「ああ、そうだよ。これを使えばあのトイレの臭いの元を綺麗にしてくれるんだ!」

 「これがそんな凄いことしてくれるんだ・・・!楽しみだね!」

 

 具現化した浄化槽を埋める進藤たち。浄化槽から一本のパイプを地面に出しておく。このパイプにトイレから流れる汚水を流すためだ。


 これで排水先の設置が完了した。次はいよいよトイレの建設を始める。



 

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