第5章:製鉄の芽生えとレンガ
イブキ「水車を使って、こんなにいい道具ができたのに、鉄材が足りねえ。全部、半島からの輸入じゃあ、やりたい放題にはならねえ」
ワカ「じゃあ、自分たちで作ればいいじゃない」
イブキ「はあ!? 鉄を自分たちで!? そんなことできるわけ…いや、でも」
ワカ「壱与に聞いてみようか」
壱与「アイさん、鉄を自分達で作ることはできますか?」
アイ『鉄を作るには、もっと高い熱が必要です。そのためには、まず熱を逃がさない「炉」——つまり、粘土を焼き固めた「レンガ」で壁を作る必要があります』
壱与「では、その炉をどう作るのですか?」
アイ『まずは、一度壊れることを承知の炉を粘土で作りましょう。その炉でレンガを焼き、そのレンガで次の炉を作る——これが「物の理」の歩き方です』
ワカ「つまり、最初の炉は生贄ってこと?」
アイ『表現はともかく、そういう認識でも間違いではありません』
壱与「レンガを作る為の炉を作るレンガ。それを少しずつ鍛えていけば、いずれ作れると言う事ですね」
アイ『はい、理として合っています。ですが、苦労しますよ』
ワカ「少しずつ、かぁ」
壱与「レンガを作るレンガからだよね」
ワカ「アイさんの言い方じゃぁ、面倒そうだったよねえ」
イブキ「なんで、レンガの話になってるんだ?」
耐火レンガの性能を上げる為には高温で焼き上げる必要があるのだが、その炉を作るには耐火レンガが必要になると言うジレンマがあった。
そして、十分な性能の耐火レンガが無いと製鉄は出来ない。その事をイブキに伝えるワカであった。
壱与「邪馬台の民の為になることだからね、そこは諦めて、やるしか無いよ」
イブキ「本気で言ってるのか?」
壱与「本気だよ。でも、今はまだ他のことが先だ。人が足りないし、炭も足りない。学び舎がもっと大きくなってから、だね」
イブキ「わかった。それまでに、俺はもっと鉄を叩く技術を磨いておく。レンガ作りの時は呼んでくれ」




