第4章:学び舎と職人
この頃から、ワカやナツ、そして職人の親方たちを巻き込んだ少人数での「学び舎」の基礎が作られ始める。後々の教師陣となる面々だ。
卑弥呼は壱与に「一人で抱え込むな」と温かいアドバイスを送った。
壱与が12歳になった頃、「水車」の導入が徐々に始まった。
粉挽きや揚水に絶大な効果を発揮し、職人の親方達は増産に大忙しになる。
ある日、壱与やワカの所に、若い職人を伴った親方がやって来た。
親方「おう、久しぶりだな、嬢ちゃんたち」
ワカ「おっちゃん、久しぶり! 忙しいって聞いてるよ」
壱与「お久しぶりです。親方さん、お忙しい中何か有りましたか?」
親方「おう、嬢ちゃん話が早えや。こいつイブキって言うんだがよ。水車でキリ(ドリル)が回せねえかってよ」
ワカ「滑車使えば出来るよな?」
壱与「そうですね。それに、水車じゃなくて足踏みでも回せると思いますよ?」
親方「足踏み? 足でキリを回すのか?」
ワカ「あ! 親方、糸車、糸車だよ!」
親方「おお、アレか! でも向きが違わないか?」
ワカ「向きは滑車で革紐捻れば変えられるよな、壱与?」
壱与「本当なら『かさ歯車』が良いんですが、作れます?」
この時代の鉄製品は叩いて作る基本一品物。
鋳造の場合でも、歯車はそれぞれの歯の間隔も統一しないとまともに噛み合わないし回せない。
親方「かさ歯車? なんじゃそりゃ?」
壱与がアイから預かっているかさ歯車を取り出して見せるが、親方もイブキも諦め顔であった。
親方「いや、流石にこいつは無理だわ。揃い過ぎてる」
イブキ「ああ、これ揃ってないと引っかかるのか」
壱与「滑車でひねるのも『理』としては出来るはずですけど」
ワカ「要は、やって見ないと、わからないって事」
親方「おお、若いの。えっと、イブキだっけ? 行けそうだぞ」
イブキ「あ、はい」
ワカ「親方、やってみるか?」
親方「おう! イブキも来い!」
イブキ「うぇえ、引っ張らないで!」
壱与「え? 行っちゃった……」
鍛冶職人まで巻き込んで水車駆動の『丸鋸』『自動金鎚』まで開発してしまうワカ達であった。
ワカ「やりきったぜ……!」
親方「気持ちは分かるがよ、嬢ちゃんは巫女だよな?」
ワカ「あははは……(汗)」
夏から秋にかけては「千歯扱き(せんばこぎ)」や「唐箕」が導入され、稲作の効率が向上した。翌年にはさらに「塩水選別」や「正条植え」が少しずつ試されることになる。
だが、邪馬台国が急速に豊かになり力をつけ始めたことは、周辺諸国に知られていった。




