第6話 感謝の気持ちを込めて大掃除!
ここに落ちて4日目から、俺の日課も定まり始めた。
毎朝(時間がわからないので、目が覚めたときを朝と決めた)起きて、キノコと薪にする枝を手に入れた後、
枝には硫黄をつけておき、昨日作っておいた薪を使って一日分の食事を作り、
合間に拠点の片づけも並行して進めた。住む場所の見た目は心を映すと思ったので、廃材のうち使えそうな鉄片と木片は集め、いらない古い資材やごみは一か所にまとめておいた。
その途中、倉庫の古い樽を片づけていると、その中に入っていた
「すり減っていない袋」に入っていた「正体不明の種」を見つけたのだが。
長いあいだ放置されていたはずなのに、種はまるで収穫したばかりのように傷んでおらず、驚いた!
いつか使うことがあるのかな? それより、この袋……ものすごく欲しいんだけど?
拠点の中でも水を使うことが増えたので、比較的状態がよさそうで取っておいた樽を半分に切り、水を貯められるようにした。
水辺で水をたっぷり汲み、拠点の中まで運ぶのは、「実戦圧縮筋肉」を持つ俺にとってもかなりの重労働だった。
それほど重くて「非効率」だが……水を溜めておけるだけでもありがたい!
こんなふうに6日目までは時間が空くたびに拠点を片づけ、それからは時間があれば運動がてらメェの毛を刈ってやろうと、メェの後を追いかけ回した。
そうするうちにわかったことも多い。ここには思ったより、俺が食べられる植物がたくさんあるということだ。
メェを追いかけていて、メェが立ち止まって何かを食べ、また逃げていくと、俺はそこへ戻ってメェの歯形がついた植物を味見する。
「うっ……これは苦いな……。子供の頃、父さんが残した酒を飲んだときみたいだ……」
「ん? これはかなり甘いな……。地下版の『サトウキビ』みたいなものか?」
「えっ!? 野生のニンジン? でも……どういうわけか、こんな状況なのに、カレーに入っているのでなければニンジンは避けたくなるんだよな~」
「おっ! このぴりっとした独特の風味……この実は『コショウ』に似てるのかな?」
おかげで食事の種類も味も、少しは豊かになった!
もちろん……焼いたキノコにほかの草を加えただけなので、自分がだんだん羊になっていく気もしたが……。
「ああ……鍋かフライパンでもあればどんなによかったか……」
一日の締めくくりは、疲れを癒やすための温泉浴。
そして温泉へ行くときは、のみとハンマーを持っていき、石英をさらに採ってきた。
俺が計画した「ヤリスの3週間拠点開発計画」を滞りなく進めるには、斧がどうしても必要だったからだ。
石英はうまく採れば鋭く、大きさもちょうどいいものが出てきたので、斧の刃に使えそうだった。
比較的太い枝を手に合うように整え、上部に溝を作り、整えた石英の欠片が抜けないように調整してから、
ロープで抜けないようにしっかり固定する。
そしてキノコが自生していない若木を見つけて、
「斧を振るう!」
〈ガツッ!〉
「おお! このずっしりした感触……ストレスが抜けるな! 最近、この手応えをまるで味わえていなかったから。だが……耐久性はいまいちだな……。ああ~、エクスカリバーが恋しい!」
ほかに変わったことといえば、いつからか、一日を終えて石像さんにその日にあったことを話すのが日課になっていた。
「それで、今日もメェの毛を刈ってやるのに失敗したんですよ~」
「今日はニンジンみたいなものを見つけたんですけど! ……やっぱり餓死寸前でもない限り……まあ、石像さんは根っこがお好きそうなので、少し持ってきました」
「空に何か鳥みたいなのが飛んでたんですけど……俺の知ってる鳥の姿ではありませんでした。でも、捕まえたら肉が手に入るのかな~」
「うう、地上では足元に転がっているほどありふれていた鉄器が、こんなに貴重なものだったなんて! フライパン! 鍋! 斧! 鉄器が作れるなら殺人だって……い、いや……もちろん冗談ですよ! ははは」
まあ、こんな一方的な会話でしかなかったが、石像さんは暗いところで見ると本当に人間に見えるほど精巧に作られていたので、
話しかけていると本当に人と会話しているような気がして、一方的に話すのをやめられなかった。
一年中にぎやかな宿屋で暮らしていると、会話や人の温もりを恋しく思うことはまったくなく、
その二つの大切さも忘れてしまう。
だが、ここは話す人間が俺しかいない地下のダンジョン。
ここに落ちてから、俺が受けていた人の温もりや関心が、どれほど大切だったのかよくわかる。
だから俺は、この石像さんだけでもここで俺と一緒にいてくれることに、心から感謝している。
「ありがとうございます……」
俺は初めて石像さんに感謝の気持ちを表した。
意図したというより、いろいろな考えが浮かんで、自然と感謝の言葉が口から出たのだった。
「……こんなに助けていただいているのに、これ以上先延ばしにはできないよな?」
しばらく石像さんをじっと見つめた俺は、再び体を動かし始めた。
先延ばしにしていた大掃除を始めるために。
◇ ◇ ◇
大掃除に必要なのは、箒とたわし、そして大量の水!
前の野原で、硬くてしなやかなストローほどの太さの小枝と、枯れた葦の茎を集めてから、あらかじめ選んでおいた長い枝に編み込み、魔女がまたがって飛びそうな、単純な箒を作り、
樽の破片を集めて、粗末ながら片手で持てる水桶まで作った。
そして……掃いて! 拭いて! 水を撒いて! 片づける!
これを繰り返すだけだ。いつまで? 拠点がきれいになるまで。
◇ ◇ ◇
「ふう……もう少しだ」
ここに落ちて14日目に始めた掃除。
数時間で終わると思っていた掃除は、休む間もなく続けてきたのに、もう3日目に入っていた。
拠点の中はかなり広く、水を汲んでくるのにも長い時間がかかり、なおさら長くかかった気がした。
そして、待ちに待った17日目の夕方。
この日はただ、残った部屋と倉庫、ホールの掃除を終えてから、最後に石像さんを拭いてあげようとしただけだった。
「ついに最後だ……。でも、やっぱり時間をかけた甲斐がある!」
埃の匂いも壁の苔も消えた、すがすがしい雰囲気のホールをしばらく眺めた俺は、これが最後の掃除だと思い、たわしと籠を手に、にこにこしながら石像さんに近づいた。
「これまで苔がべたべたして、気持ち悪かったですよね? 遅くなってすみません! 石像さんだけは手をかけたかったんです。すぐきれいにしますから~」
俺は近くに生えている葦を採り、かまどで乾かして作った葦のたわしに水を含ませ、石像さんの頭からゆっくり苔を落としながら、隅々まで拭き始めた。
「石像さん、もともとこんな色だったんですね……? お肌がきれいですね~」
そんな冗談を言いながら、俺は熱意を込めて石像さんの長年の汚れを落としていった。
そして、すべての仕上げに、石像さんが身につけていた首飾りの埃と苔を、藁で作った刷毛で払っていたとき……。
〈キラッ〉
「……ん……? 何か光が……」
〈キラッ、キラッ〉
「へえ……俺が磨きすぎたのか……? こんなの漫画の中だけの設定だと思ってたのに~」
〈キラッ……キラッ、キラッ、キラッ、キラッ、キラッ、キラッ、キラッ〉
「……あれ……?」
〈ピカッ!!!〉
俺は石像の首飾りから放たれた強烈な光を浴び、そのまま意識を失ってしまった。




