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PK集団

 MaSコラボが始まり、数十分、何事もなく俺と桜さんはレベル上げをしたり視聴者のみんなと雑談をしたりしていた。


「おっと…雑談に集中しながらはなかなか難しいですね」

『私はもう何回もしてるので慣れてますけど、冬雨さんからしたら難しいかもですね』


配信も数回目、しかもこんな感じで戦いながらコメントを読み続けるということをしてこなかったため、なかなか慣れない。コメントを見ると敵の攻撃に当たってしまい、戦闘に集中しているとコメントが読む余裕がなくなってしまう。


「これは慣れるまで結構かかりそうです」

『冬雨さんならいけますよ!なんたって私の自慢のマネージャーなんですから』


《信頼関係よき》

《質問です!冬雨さんと桜ちゃんの同人誌は書いていいですか?》

《冬咲尊い》


「同人誌ですか…私が特殊な立ち位置なので事務所に聞かないことにはなんとも言えませんね」


俺の立ち位置は言ってしまえば中途半端な場所だ。同人誌として扱うには色々めんどくさそうなポジションのため独断でこの質問には答えられない。


「ふぅ…というか桜さん、前より上手くなってないですか?」

『あ、わかりました?これでもかなり練習したんですよ!前回の冬雨さんとのコラボの時は全部持ってかれちゃいましたから』


前回というのは二回目の配信のことだろう。その時と比べると見違えるように上手くなっている。何より、一個一個の繋ぎが上手い。一振り目の攻撃と二振り目の攻撃の間に無駄がない。以前見た時にはほんの少しだが隙があったのだが、今はそれがなくなっている。それだけでどれだけ桜さんが練習をしたのかが伝わってくる。


「凄いと思います。そこまで努力できる人は多くないと思うので。ただ、まだ私も負けてはいられませんがね」


目の前のオークが一瞬で切り傷に覆われた。俺だって裏で多少はしている。桜さんほどの成長はしていないが、まだまだ追い抜かれるわけにはいかない。その理由はやはり視聴者は桜さんより強い俺を追い抜こうと頑張っている桜さんが好きな人が多いからだ。もし簡単に追い抜かせたら視聴者も物語性を感じないだろう。そこに物語があるからこそ見てもらえるのだ。


『ぐぬぬぬ…まだまだ勝てそうにはないですね…でもいつかは追い抜いて見せます!』

「その時が来るのを待ってますね」


《この関係がいい!》

《やっぱり冬咲なんだよなぁ》

《尊い》


そんな感じで俺たちがゆったりと配信をしていた時だった。後ろから何かの気配がした俺は一瞬で危険を察知し前に全力ダッシュをする。遅れて桜さんも走る。流れるように後ろを振り向くとそこには三人の男性が立っていた。


「チッ…おい!ゲン!ちゃんとやれよ!」

「あ?お前がミスったんだろうが!」

「二人とも黙れ」


話し方からして三人は仲間なのだろう。目的はなんとなく察しがつくが念の為聞いてみる。


「誰ですか?私たちに何か用でも?」

「あ?わかるだろ?PKだよ!PK!」


PKとはプレイヤーキルの略称、MaSなどのMMORPGでよく見られる行為で、悪質行為としても有名だ。


「なるほど…桜さんどうしますか?」

『うーん…そうだねぇ…他の被害者が出るのも嫌だし、ここで倒しちゃおうか!』

「あ?舐めてんのか、テメェ」


《悪党成敗キタァ》

《俺も前、PKされたことあるから買って欲しい!》

《おいおい…死んだわ、あいつ〈PK集団〉》

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