03
もし駄目だと言ってしまったら民主主義思考に染まったこの集団は一気に反発心を抱く。賢い選択だろう。その発言に半数は安堵した。その時、近くに居た王女が前へ一歩出る。
「受けて下さると貴方達の健康状態を知る事が出来、わたくしはとても安心出来ますわ」
「ああ。君達が体調不良になるのは本意ではない。出来れば受けて欲しい」
上手いこと乗せてきた。彼らはきっと自分達がどう見られ、どう動かせばこうなるのか、というのを知っている。
案の定もう高校を卒業したばかりだというのに、二割が気を変えた。しかし、親や大人は厳しい目で見ている。
政治というものを見てきた大人だからこそ、だろう。しかし、親と子が一緒に召喚されるなんてラノベでも早々お目にかからない。
親子達が居ると子供達を戦士として動かしにくくなる。うーん、と同行を一人で予想するのはむりだ。グム辺りが知ってそうなので今夜聞こう。
取り敢えずステータスは知っているのでパスの方向で。パスする人は部屋に残る。パスしない人は城の案内人に付いていく。
説明されたので止まって人の流れを目で追う。部屋に戻ろうとした時、凛とした声に引き止められる。
「ちょっと良いかい」
振り返るとこの国の王子と自己紹介していたキラキラ金髪が居た。何故たくさん居る中で呼び止めたのが己なのか。怪訝に思い相手の言葉を待っているとフワッと香水の香りに包まれ、鳥肌が立つ。
ああああああ!!
叫びたくなるのを必死に押し殺し諸悪の根源を見ると案の定、元姉。
「私の妹に何の御用でしょう」
元を付けろ元を。悪態を付いて引き離そうと腕を伸ばす。端から見れば妹を庇う姉に見える構図。
だが、知っている。彼女は王子に近付く機会に元妹をダシにした。それが真実だ。鳥肌物の気持ち悪さに身体を押し返す。しかし、身体を抱き込まれて痛い。
「離してもらえます?―さん」
かつて、己の姉をミョウジで呼ぶ。悲しげな顔をする演技で弱々しくこちらに顔を向ける。白々しいんだよ。
「今直ぐ離れて下さい」
二度目を唱えると渋々離す。服を整えてから淡々ともう他人だから気安く近付くなと元親に言っておいたはず。もし、やったら接近禁止命令を出す。と、言っておいた。
ここか異世界だというのが誤算だ。王子は姉妹なのか、という質問をかぶせてきて元姉が答える前に他人だと告げる。そしたら彼女は突然嘘泣きしだした。
次は元親が飛んできて姉を囲むと各自罵り出す。
「今度は何をした」
「何も」
「嘘を付くな」
「嘘を付く理由もない。他人の癖に決めつけなんて大人としてどうなんです?」
「親に向かってなんて事」
「親っていうのは高熱を放ったらかしてお金を渡して小学生に任せる。旅行にも連れて行かず置いていくのが親なんですね、知りませんでした。後、絶縁したから今後親だとか言わないでいただきたい」
「私達がそんな事をするわけないだろ。どこにそんな証拠が」
「じゃあ聞きますけど、私の誕生日いつか知ってます?」
聞いたら絶句した三人。大声を出さなくても十分周りには聞こえていたし、親のクズさと評価も落ちた。
「親に向かってなんてそんないけない事言ったらいけないよ」
「絶縁したのでもう親では無いです。貴方も既に姉ではありませんから妹と呼ばないように」
「そうやって私達を悪者にするのね」
「私はもう関係ないのでご勝手に」
アホらしくなって踵を返す。待って、と腕を取られた瞬間。
「痛い!」
これは今までのお返しだ。




