02
ネア以外にもそんな顔をしている人が居る。誘拐を正当化してるのだこの国は。体は良い奴隷にするつもりかもしれないい。そんな警戒をしている人も居た。
この世界には無いのだろうけど、元の世界には想像が無限にあるラノベが沢山あるから色々想定出来る。
「私はこの国の第一継承権を持つ王子である」
自己紹介がいきなり始まった。次に王城が出てきて男子の目が血走る。成程、どっちも顔が整っているからね。
「今日は流石にお疲れでしょうし、一部屋ずつ案内させてもらいます。明日には説明を挟ませてもらいますのでご安心を。どうぞごゆるりとお休み下さい。」
説明は明日らしい、今して欲しいんだが。がっかりだ。付いていくと一部屋に通される。元姉と元両親を見ると守るように佇んでいた。いつもの光景なので塵にも心は動かない。
部屋に入って鞄を漁る。何かめぼしい物でもと漁っていると一枚の下敷きがあった。それは小学生の時に見たステータス版だったので驚く。これは家にあったはずなのに。
なんでだろう、これはもしかしてこの世界では有効に使えるのかも。そう思って傍に置いてベッドにごろりと寝転ぶ。正直救世主なんて面倒だしやりたくない。
辞退も視野に入れておこう。色々設計を組み立てていると視界の上ら辺にふわりと陰が現れる。
「よお」
「……………………」
「見えてるか?」
「見えてます、けど」
「ふふ、流石に驚くか。俺はお前の悪魔付きの加護をやった悪魔族のグムだ。以後宜しく」
なんでもない風に言ってきた自称悪魔に無言で枕を投げつける。しかし、スカッと枕は空気を通ったように擦り抜けた。ポカンとなるとグムはくく、と笑みを深める。
「悪魔だからそんなのを投げつけられても平気だ。これで信じたか?」
「微妙なとこ」
「お前らの世界にはラノベがあんのに理解するのが遅いんだな」
「あれは想像の産物だから」
苦笑して答えるとグムは恍惚とした表情で口を開く。
「こうやって話せるのを今か今かと待っていた。ずーっと」
それの意味する事は聞かない方が良い様な気がして敢えて会話を流す。
「このステータスの下敷き、もしかしてグムの?」
「いいや?特注で作ってお前に渡したからお前のだ」
らしいが、いつの間にか譲渡されていたので嬉しくなって抱きかかえてしまう。優しくされるとコロッとなりやすいのが悪い癖だ。悪魔に転がされるのならばそれも当然かもしれないが。悶えているとグムが笑って続ける。
「そのステータスについてだが。この世界の人間の平均レベルを超えてるとたげ伝えたくてな」
「え?もしかしてお約束の…………」
「ああ。出来る」
「ほ、本当?俺ツエーがやれるの?」
「ああ。ここに来た奴もそれに向けて秘密裏に動いてるが、今回はお前が一番群を抜いてる。何年も経験値を溜めたらそうなるが」
これは朗報だ。あの元姉すらも凌駕する事が出来る。今まで後手に回ってきたが、今日から惑わされることも煩わされる事もない。
丁度運良く絶縁出来たのだから最良だ。機嫌が良くなるのを見ていたグムが上から浮遊して近付いてくる。
「だが、お前のあの性悪な姉が何かを仕掛けてくるかもしれねェから用心しろよ」
「うん。グム、あの」
「?、何だ?」
「あ、ありが、とー」
人にお礼を言うのは言い慣れない。けれど、精一杯の感謝を込めて言う。それに驚いた顔をしたが、フッと頬を緩ませてこちらを眺めてくる男に俯いた。
「おやすみ。また明日も会いに来る」
グムが性悪の姉を性悪と認知しているから少しだけ信用出来そうだ。彼からは悪い感情は感じられない。
悲しい感だが、親があんなせいで人の機嫌や感情に機敏になってしまう。その自分の感を信じるまでだ。疲れたし、もう寝よう。明日も来てくれるというし。
次の日扉のノック恩で目を覚ました。横を向くとビクトリア調のメイド服に身を包んだ本物のメイドが入ってきた。ノックしたのに入っても良いかの了解しないのか?逃げられない為に無理矢理捩じ込んできたのかも。
「朝食が出来ましたのでご案内します」
「はい」
鞄を持って外へ向かう。置いていかないのは無断で調べられる恐れがあるからだ。元親なんて部屋を漁るのもやってたから癖みたいなものだ。
本人達曰く、余計な物を買ってないか見る為らしい。お小遣いなんてないのに。ご飯だって札を渡して後はご自由に式だから、お金でも探ってたんじゃないかな。元姉には好きなだけ買ってたのにねー。
連れられてやってきたのはバイキング形式の会場。流石に円卓の食事会とかじゃなくて良かった。緊張するし、何より食べるつりないから。何が入ってるか分かったもんじゃない。
皆は無防備に食べているけど。中には同じように警戒して食べているフリをしている人も見掛けた。こういう人達がグムが言っていたチートに向けて励んでる人達かな。
周りを何気なく見回してから食事を食べるフリして終える。戻ろうとした所で入り口から出られない人間達が騒ぐ。どうやら説明をするようだ。
「皆様、お疲れは取れましたか?昨日の説明の続きを述べたいと思います。どうか聞いてください。今日は皆様のステータスを確認したい予定しております」
ザワザワとする周りに対して、質問が飛ぶ。
「勿論拒否する事は出来ますよね」
それは質問というより、確定だった。ステータスとは言わばプライバシーの塊。それらを無理矢理覗くなんて下衆のやる事だ。
説明していた彼は困った顔をして、また笑みを浮かべて拒否出来ると言い放つ。いや、ここは言うしか選択肢がない。




