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小学生の頃、つまりは自我というものがあった時。生まれたばかりの意識で初めに思ったのは、親に見向きされていないという悲しい事だった。しかし、それも慣れた頃、不思議な事が起きた。
寝ていると、いつも語りかけてくる存在が居る。それは、悪魔のような笑みを浮かべた何か。絡まれるように、とぐろを巻かれる感覚と共に目覚めると汗だくな身体を感じて気持ち悪い。
傍らに見慣れないものもあった。それはなんの変哲もない下敷き。に、見えたがどうやら何かステータが書いてあった。説明もご丁寧に書いていて、日常生活での事を経験値化出来るらしい。
試しにこの遊びをやってみることにした。親とも離さないし、暇だったから。試しに家を歩いたりご飯を食べると下敷きに文字が浮かんで数値化される。
面白い。これを何年も続けるとどうなるんだろうという純粋な好奇心が疼いた。
それから二年。相変わらず親はもう一人の子供にベッタリだ。
思い出したように呼び出しては「お姉ちゃんが呼んでる」「お姉ちゃんがこれ欲しいって」「お姉ちゃんが」お姉ちゃんがお姉ちゃんがお姉ちゃんが。
一言目の決まりだった。こちらの所有物を欲しておいて、それを拒否するとなんて冷たい子なの。それでも私達の子供?
こんなに姉は出来が良いのにあんたって子は。口を開けば比較され貶される。
そりゃあグレる、捻くれるよ。逆に聞きたい、それでも親か。ってね。でも、自立心が早くから目覚めたお陰で十八歳の日に絶縁状を渡して、そのまますんなり学校に行けた。
家からはもう通わない。るんるんと気分が良かったのに卒業式の席に元姉と元親が座っていたから気分は最悪だ。
きっと姉があの演技を駆使して行きたいだなんだと言ったんだろう。全く、とんだ女優だ。
卒業式が終わって教室に戻ると入ってくる関係者達。姉が入ってきて、今日の主役の卒業生たちが彼女を主役にしていく。
「あの人ってもしかして」
「あの人のお姉さんだよ、ほら」
「えっ、全然似てない」
だからどうした。ほっとけ。視線を無視して前を向いていると突然教室が光に眩くなる。
「な、何だ!?」
「手榴弾か!」
「きゃー!」
雑音が激しい。周りを認識する間もなく場面がスイッチを押されたように変わる。
「ようこそ我らが救世主様の方々」
テンプレ来たよこれ。所謂、集団召喚だ。これには男子も気付いたのかざわめきが広がる。こういうテンプレをやられるのは嫌だ。特に姉と同じ世界に居るのは最悪だ。
そうこうしている間に魔法使いみたいなグムブをした男性が優しげな笑みで周りを誘導する。
「突然このようになって皆様はさぞ混乱しておいででしょう。簡単に説明させていただきます。ここはヘイ・ミン王国の王城の召喚の間。そして、貴方達は私達が召喚したところへ呼びかけに答えてくれた方達です」
いやいや、答えてないし。




