第2話 勇気
2年生に進学した僕は、多くの友達が出来ていたと言いたい所だが、現実は甘くなかった。
おじいちゃんの教えの“誘いを受ける”という事は根付いていたが、残念なことにあれからマー君以外は誰も僕を誘ってくれなかったので、同学年に友達と呼べるような仲間はいないのだ。
そんなある日、僕の環境を大きく変化させる事件が起こった。
その日は、おなかが痛くなりトイレの個室で用を足していた。
すると、後からトイレに入ってきた2人の同級生が何やら僕の事を話している。
「りょうちゃんはどう?」
「う~ん・・・。 俺は反対かな。あいつはちょっと苦手かも」
「確かにそうだよなぁ・・・。 」
・・・・・
浩二君と宏君だ。
僕の頭の中は真っ白になった。目の前で悪く言われるなら仕方ない。でも、陰でうわさ話をするなんて男らしくない。カーとなった僕は、個室を飛び出し大声で叫んだ。
「男なら陰口をたたかず、正々堂々と面と向かって意見してこい!!」
急に現れた僕に驚いた浩二君は、「なんだよ、お前。急に大声でさけぶからびっくりするじゃないか。なんか、嫌な気分になった」と言いながら教室に帰ってしまった。
後味悪い言い争いをした日から、僕は教室に入るといつも周りの目が気になった。
あの子、今僕の方を見て笑った気がする。
きっとバカにしているんだろう・・・
なんか、教室の隅でコソコソ話をしているあの集団嫌な感じ・・・
先生も僕が仲間外れになっていることを知っていて、哀れな目で見ているんだろう・・・
そんなことばかりが頭に浮かび、学校にいること自体が苦痛になっていき、1週間がたったころ「学校に行ってきます」と元気に家を飛び出したふりをして、近所の公園で時間をつぶし両親が仕事に出かけるタイミングを見計らって家に戻った。
人生初のずる休みは、ワクワクすると思いきやそうでもなかった。撮りためたテレビ番組や、YouTubeを見たが全く面白くない。お昼には、昨日の残りを冷蔵庫から出し電子レンジで温めて食べたがおいしくないのだ。
僕は、その理由がよく分かっていた。間違っていることをしているとの罪悪感が、普段ならうれしいこと、楽しいことをそうではないようにしてしまうのだ。
パパもママも、今、一生懸命働いてくれているだろうな。
僕を一人前の大人に育てようと頑張ってくれている。
それなのに僕は・・・・
自然と目から涙がこぼれ落ち、もう一度学校に行く準備をするため子供部屋に向かった。制服に着替えランドセルを背負い玄関から一歩出た瞬間、僕の足は震えだし動かなくなった。
どうして??
動いて、動いて!!
僕は学校に行くんだ。
パパもママも頑張っているのに、自分だけここでさぼっているわけにはいかない。
太ももを手で持ち上げ前に進めようと試みるが、どうしてもその場から動くことはできない。数十分格闘したが、ついに根負けしてリビングに戻って大声で泣いてしまった。




