人生における最大の友、マー君との出会い
今日こそ友達を作るんだ。
僕は覚悟を決めて学校に向かったが、誰一人として声をかけてくれなかった。
まぁ、そのうち誰かが声をかけてくれるさ!!
現状はそんなにうまくいかないと感じつつも、なぜか僕は暗い気分にはならなかった。
その日の昼休み、いつものように1人で砂場で遊んでいると、2つ年上のまさし君が声をかけてきた。
「今日もお前1人なんだな。寂しいやつ。俺が一緒に遊んでやろうか」
僕は、ガサツで人の気持ちを考えないような失礼な発言を平気でする“まさし”が苦手だった。
最悪だ・・・・
教室に戻ろう・・・・
そばに置いていた荷物を手に取り、その場から立ち去ろうとしたその瞬間、ふっと温かい空気が流れ込んできた。
りょうちゃん、男の子が一度決めた事だよ・・・・
ここで、逃げるとカッコ悪いよ。
分かったよ、ミーサー。
僕は、まさし君の目を見つめ、「遊んでくれるの。ありがとう」と大きな声で答えた。
まさし君はうれしそうにその場を仕切り始めた。
「お前、名前なんて言うの?」
「僕は、りょうっていうんだ。君はまさし君だね」
「おう!! マー君って呼んでくれ!! 」
「じゃあ、マー君。何して遊ぶ?」
「砂団子爆弾を作ってあそこに見える鉄棒を破壊しよう!!」
「うん!! 楽しそうだね!!」
僕は、砂を一生懸命に固めて団子を作ろうとした。
でも砂で作った団子はすぐに崩れ、固まることがなかった。
「バカだな・・・。いいか、砂だけでは固まらないんだ。砂に土を混ぜてさらに水を混ぜるんだ。そしたらいい爆弾ができるんだぞ」
そう言って、マー君はカチカチの団子を作り始めた。
「マー君は物知りだね。誰に教えてもらったの?」
「兄貴さ!! 今6年生でクラブチームで野球をやっているんだ。そういえば今日兄貴に頼まれて球拾いの手伝いに行くんだけど、りょうちゃんもおいでよ 」
「どうしようかな・・・・」
「じゃあ、16時に河川敷に集合ね!!」
「えっ まだ行くって言ってないけど・・・」
強引なマー君は、僕の返事も聞かず勝手に球拾いをすることを決めてしまった。
その日の放課後、僕はマー君と約束をした通り河川敷に向かった。
グランドに着いたらマー君が僕を監督とマー君のお兄ちゃんの所に連れて行ってくれた。
監督は、“けがをしないように気を付けるんだぞ”と僕が球拾いをすることを快く許してくれ、マー君のお兄ちゃんは“雑用ばっかりだけどよろしく頼む”と拾った球を入れるかごを手渡してくれた。
小学校に入って誰からも相手にされなくなってしまった僕は、人から頼りにされることが本当にうれしくてたまらなかった。
練習が始まると、ズバン!!とキャッチャーミットに収まるマー君のお兄ちゃんの投げる球の速さに圧倒され、遠くでは打撃練習をする選手の打ち返した球が見えなくなる所まで飛んでいく光景に、僕は球拾いという仕事を忘れ見入ってしまった。
「おーい りょうちゃん!! お前球拾いをしないと!!」
マー君のお兄ちゃんの大きな声で我に返った僕は、全力疾走で遠くまで転がっていったボールを追いかけていった。
やっぱり、体を動かすと気持ちがいい。1人で砂場で遊んでいるよりも、こっちの方が断然楽しいのだ。
その日の練習が終わり家に帰る途中、僕とマー君とマー君のお兄ちゃんは駄菓子屋さんで買ったアイスを食べながらあたりが暗くなるまでたわいのない話で大笑いをした。




