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挫折ばかりだった僕が立て直した人生  作者: 桜影 はる(さくらかげ はる)
27/30

僕にはこんなに頼りになる友達がたくさんいるんだよ

その日から僕の選挙活動が続いた。

ライバルは、隣のクラスの拓哉君だ。


拓哉君は先生からの信頼も厚くイケメンで学年をこえて多くの女性ファンが存在する文武両道の手ごわい相手だ。


「りょうちゃん、俺が調べたところによると今回の選挙はどうも実力が均衡しているらしいよ。やっぱりイケメン拓哉のファンの存在は大きいよ」


そう報告してくれた浩二君は、情報収集係を担当してくれた。

沙奈ちゃんと博美ちゃんは、りょうちゃんの良さをSNSで発信すると言って、僕の生徒会長に向けたマニュフェストを乗せたページを作ってくれた。

太一君と翔太君はポスターを作製し校舎の至る所に貼ってくれた。

宏君は、“ここにいる全員で何とかりょうちゃんを生徒会長にさせるぞ!!”とムードメーカーとしてみんなをまとめてくれた。


ありがとう・・・・

仲間の頼もしさに心が熱く震えた僕は、残された日々にすべての力を注ぎこみ選挙に向け全力で頑張った。


選挙1週間前になると、マー君が僕に電話をかけてきた。


「もしもし、どうしたの?」


「りょうちゃん、選挙勝てそう?」


「拓哉君と接戦なんだ。微妙な所だね・・・」


「大丈夫、なんとかなるから!! りょうちゃん、がんばってね!!」


マー君は根拠のない大丈夫との言葉を連呼し電話をきった。


選挙2日前になると、両陣営がザワザワとしている。

情報収集係の浩二君の話では、両候補の差はほとんどないらしくどちらが生徒会長に当選するかは分からない微妙な関係が続いているとの事だった。


「りょうちゃん、どうするの?」


「沙奈ちゃん、後は神様に祈るのみだよ」


「そんなのんきなことを言ってないで何かしないと」


「大丈夫だよ。ここまで頑張ったじゃないか。きっと天国のママが味方してくれるよ」


そう答える僕に余裕はなかった。


選挙前日になると、僕はもうどちらに転んでもいいから全力で頑張る事のみを決めていた。

昼休みには、宏君、太一君、翔太君、そして沙奈ちゃんと博美ちゃんが集まっている。


「りょうちゃん、今から最後のお願いに行くよ!!」


「沙奈ちゃんは頼もしいな!!」


「早くいくよ!!」


「分かったよ、博美ちゃん」


僕は、女子2人に背中を押され席をたった。

すると、情報収集係の浩二君が息をきらせながら教室に飛び込んできた。


「そんなに慌ててどうしたの?」


「りょうちゃん大変だよ!!なんか知らないけどりょうちゃんの人気が高まってるよ!!」

誰もが一斉に僕の方を見た。


「えっ?? なんで??」


沙奈ちゃんが浩二君にその理由を聞いた。


「分からないんだ。でも誰もがりょうちゃんに生徒会長になってほしいって言っているんだ」


「何が起こってるの?」


結局その真相は全く分からないままその日は終わった。


選挙当日の朝はすがすがしい天気だった。

庭からはスズメが鳴く声が聞こえ、キッチンからはソーセージが焼けたいい匂いがした。


僕は制服に着替え、リビングに降りた。


「パパ、おはよう!!緊張から少し早く目が覚めたよ!!」


「パパもさ!!りょうちゃんの出陣祝いだ!!一緒に朝食を食べよう!!」


どう見ても僕より緊張しているパパは、笑顔がぎこちない。

そんなパパを見ていると、なんだか笑えて来た。


パパに学校に行く挨拶をして家を飛び出すと、浩二君と宏君と翔太君と太一君が家の前で僕を待っていた。


「どうしたの?」


「今日は大切な日だろ!!固い結束で結ばれているこのメンバーで登校すると、なんかいいことがあるような気がしてみんな集まったんだよ!!」


「そうなんだ!!ありがとう!!」


僕は、自分の事のように考えてくれる友達がいることが嬉しくて、選挙結果は本当にどうなってもいいと思えた。


学校に着くと、さらに多くの友達が僕の周りに集まってきた。


「絶対りょうちゃんを生徒会長にするからね!!」と翔太君が僕の肩を叩き励ましてくれ、「絶対大丈夫だから!!」と沙奈ちゃんと博美ちゃんが元気づけてくれた。

宏君と太一君は「やることはやった。後は神に祈るだけだ!!」と言って手を合わせて神様に祈ってくれている。


僕は窓際まで歩いて行き、雲一つないきれいな空を見上げた。


ママ、僕にはこんなに頼りになる友達がたくさんいるんだよ。すごいでしょ。だから僕は頑張れるんだ。力を貸してくれたみんなのためにも必ず生徒会長になってみせるよ。だからママも天国から見守っててね。


そっと目をつむってママに出陣の挨拶をした瞬間、「生徒会に立候補する者は体育館に集合して下さい」と校内放送が鳴った。


「がんばれ、りょうちゃん!!」


クラスのメンバーの応援に背中を押され、僕は教室を出た。


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