6話 言葉の力
「りょうちゃん、頼みがあるんだ!!」
そう言って、遠くから駆け寄ってきたマー君は、中学2年生になっていた。
お兄ちゃんが野球をしていたこともあり、中学では野球部に所属しているとのことで、元々なんでもできる器用なタイプのマー君は、もうレギュラーとして活躍しているらしい。
「マー君、頼みってなんだい?」
「俺、中学校で野球部に入ったって言っただろ。そのつてで、時間がある時に兄貴が小学生の時に所属していたクラブチームのメンバーに、野球の指導をしているんだ。覚えているだろう。りょうちゃんが一年生の時、俺と一緒に球拾いしたチームのことさ!!」
「懐かしいね!!そのチームがどうしたの?」
「いつも練習している、河川敷が使えなくなったらしくて、練習場所がないから解散するらしいんだ。」
「場所さえあったら解散しなくていいの?」
「そうさ。それで俺は中学校のグランドを貸してもらえるように校長先生に頼んでみたけど、毎日放課後はいろいろなクラブの人が使うから、現実的には無理だって断られたんだ。だから、小学校のグランドに目を付けた俺は、今から小学校の校長先生に交渉に行こうと思っているんだ。りょうちゃんも一緒について来てくれない?」
「いいよ!!僕、校長先生大好きだし!!」
そう言って、僕たちは校長室に向かった。
「失礼します。」
「おっ マー君久しぶりだね!!りょうちゃんも一緒かい?」
元気よく挨拶をして校長室へ入る僕らに、校長先生は冷たいお茶を出してくれ歓迎してくれた。
マー君はしばらく中学校生活についての雑談をしていたが、その話が落ち着いたところを見計らって、本題のクラブチームの練習場として小学校のグランドを貸してほしいという事を校長先生に伝えた。
「うーん・・・。わしの一存ではなあ・・・」
校長先生は少し厳しい顔をしながらそう一言もらしただけで、あとは何も進展はなかった。
しょんぼりとして校長室を出る僕とマー君は、自宅の方へ向かって歩き出した。
「どうする?マー君。」
「そうだなぁ・・・・。チラシを作って、近所の人たちを味方につけるか・・・・」
「じゃあ、とりあえずやってみよう」
僕は家に帰りマジックペンでチラシを作った。
出来上がりは小学生の作ったもの程度であったが、パパに頼んで自宅のプリンターを使って300枚印刷をしてもらった。
次の日からマー君と力を合わせて、同じ学校の小学生や近所のおばちゃんに事情を話しながらクラブチームを残すために力を貸してほしいとチラシを配ったが、誰もが快くもらってはくれるものの手ごたえは全くなかった。
「どうしよう、マー君・・・・」
「うーん。むずかしいね・・・・」
僕も、マー君もお手上げ状態になった。




